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(idea2017年5月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
調査のきっかけ
毎月、各市民センターや地域各所を訪問しているスタッフたち。最近では特集を企画するにあたり、地域独自の風習や文化などのさまざまな調査にもご協力いただいております。
さて、今回は訪問先の千厩町の方からこんなお話を伺いました。「大東町内の屋根って特徴的ですごく立派なんだけど、なにか理由があるの?」この疑問にお答えすべく、さっそく大東地域に向かい聞き込み調査をしてきました。
市内でも家全体を覆い被すような屋根はよく見かけますが、大東地域では写真①のように、方形と呼ばれる形状の屋根の上に小さな屋根や長い棒のような立派な飾りがある特徴的な屋根をあちらこちらでよく見かけます。
今回この調査にご協力いただいたのは大東町曽慶地区の岩渕さんです。立派な屋根についてお伺いすると、「数十年前に町内で茅葺き屋根のリフォームが流行って、我が家でも茅葺の上にトタンを被せただけ。普通だと思うよ」とのこと。屋根の上の小さな屋根については、岩渕さん曰く「屋根は家の顔だから『見た目がいい』という理由で茅葺き屋根時代の煙出し窓を残した」そうです。
(写真②参考:煙り出し窓)
ではなぜ大東町内にはこのような屋根が多いのか、同じく曽慶で大工さんをしている佐藤さんからお話を伺うと、「当時、大東にきていた業者さんが胆沢(現奥州市)の人でね、この形が流行りだったんだね。『なぜこの形なのか?』と聞かれると今までそんなふうに感じたことなかったから、考えたこともなかったね」との回答。ちなみに、佐藤さん宅も同じように屋根の上には煙出し窓を活かした飾りがあるそうで、「だいたいおんなじ時期ぐらいにリフォームしたから大東町内には同じような屋根が多いんじゃないかな?ほかの地域からは『特徴的な屋根』と思われていたんだね」と岩渕さんも佐藤さんもビックリしている様子でした。
確かに写真③のように、大東町内にはこの形の屋根をたくさん見かけるため、なにか由緒ある屋根の形なのかと調査をすすめてみましたが、以外にも結果は「当時流行った、屋根をかっこよく見せるための飾り」ということでした。
写真②の茅葺き屋根には、小さな屋根「煙出し窓」がついています。この役目は、文字通り煙を外に出すための換気口にあたるもので、囲炉裏の煙を排出させるための小窓です。
岩渕さん宅でも、昔は囲炉裏があったそうですが、屋根のリフォームと同時に家の中もリフォームし天井は塞いだため、煙出し窓としての本来の機能はしていません。
写真①大東曽慶地区の岩渕さん宅
写真②藤沢砂子田地区の時田さん宅
写真③大東町渋民地区の屋根
写真④屋根の内側
※写真撮影等ご協力してくださった地域の皆さん、情報協力していただいた有限会社佐藤工務店様(奥州市)ありがとうございました。