(idea 2014年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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対談者 ジョブカフェ一関 金野響さん
一関社会福祉協議会 菅原敏さん
一関コミュニティFM(株) 河合純子さん
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹
【小野寺】今年度から、FMあすも「人そだて地域そだて」のコーナーは私達4名が順番に出演するという新体制に変わりました。本日は、「一関のまち」と「地域」を私達の共通のテーマとして、お話を伺っていきたいと思います。私は10年前と比べ、一関の人達の思いやポテンシャル(潜在能力)が高まってきたと感じておりますが、就労支援をしている金野さんは一関のまちをどう感じていますか?
【金野】今、皆さんに知ってもらいたいことは「産業界そのものの土台が変わってきている」ということです。典型的な例で言うと、大手家電企業の下請け工場が多くあった時代は、そこが市民の働く場所の主体でした。しかし、今はテレビ、携帯電話、パソコン等の電化製品を、単体ではなく複合的に製造するという構造に変わりつつあり、地方の工場は減ってきています。
また、西日本や関東方面では、事務的な仕事のほとんどは在宅で行うことが当たり前になっています。わざわざ会社に出勤し、机を用意して行う必要はなくて、データさえあれば給与計算も帳簿づくりも自宅でできるのですから。
今は非正規というとマイナスのイメージが強いのですが、一日3~5時間はアルバイトで食費分を稼ぎ、残りは個人で事業を行い、合計で月20万円の収入を得るという、それぞれの生き方により働き方も多様化してきています。今は、「働く=会社勤めだけではない」ということです。労働時間については、昔は二交代や三交代勤務でしたが、今は同じ職場でも、勤務開始時刻と終了時刻が違う時差勤務を行っている企業は、全体の9割にものぼります。企業を経営する側も、こういった労働形態の変化に対応できる経営をしてほしいですね。
今は、ちょうど“過渡期”なのでしょう。社会システムの土台が変わろうと始まったばかりなので、そこに注目をしてほしいし、一関でも働き方の多様化が進むと思います。一関で働く人も、経営する方もそこを気にしてほしいですね。
【小野寺】地域福祉の部分では、今の一関をどんな風に見ていますか?
【菅原】一関では、福祉の理解がまだ広がっていないと思います。福祉はどちらかというと、高齢者の介護や児童保育など、専門的な資格を持った方が行うイメージがあると思います。しかし、福祉は私達が身近でごく当たり前のように行っていることです。
福祉は「普段(ふ)の暮らし(く)を幸せ(し)にすること」であり、皆が幸せになるためとか、自分の幸せって何か?とか、そういった所から始まるんだと思います。これは協働のまちづくりにも関係する部分ですが、今までは共助が一生懸命だったので、行政はなんとか地域を運営することができていました。しかし少子高齢化が進み、果たして今のような共助が将来もできるのか。少子高齢化の推移をグラフで示すと、皆驚きますよね。実態を知ると「自分達がやらなきゃ」と思うのですが、私達がその実態を十分に伝えられていないから、まだ「やらされ感」を感じてしまうのかもしれませんね。
【小野寺】毎日、地域の実態を伝えている河合さんは、客観的にどう感じていますか?
【河合】今日お集まりの皆さんにはFMあすもで毎週水曜日放送中の「人そだて地域そだて」のコーナーにご出演いただきありがとうございます。
FМあすもは開局して3年目になりますが、今はまだ、行わなければならないことの1割もできていないと思っています。私達の仕事は、大町の事務所でマイクの前で話すことだけではありません。自分達の足で市内各所に伺い、その景色を見て感じたことを、その場所に行けない人に伝えることが1つの役割だと思っています。
例えば、田植えをしている様子や雲の流れが速いこと等、その場にいない方にも、同じ空気を吸っているかのような情報発信ができたらと思いますし、あわせて皆さんの生活の中に日常的にラジオが流れることで、自然と情報収集をしていただけるといいなと思います。
それから、私達は新しい文化圏をつくることを目標に掲げています。平泉にお住まいの方が、FMあすもから室根や藤沢等あちこちの地域の情報が流れているのを聴いた時に、「一関は広くなったと感じました」と話していました。市民である私達が、一関は広くなったと実感することもありますが、その周辺の方々が一関をイメージした時に、こんな文化圏があるんだということを感じてもらうような情報発信ができればと思います。
また、市役所の市政情報課や市民課、消防署、警察署等から提供いただいている情報をなんとか束ねる横の繋がりをつくっていく事が出来ればと思います。色々な所から発信されている情報を一元化して、皆さんにラジオを通して渡し、その情報を皆さんが日頃の生活に役立ててほしいなと思います。しゃべることが最終目標ではなく、その先の情報を皆さんに活かしてほしいという所に重きを置いています。
【小野寺】地域づくりについては、原点回帰かなと思います。人と人とが繋がるコミュニティがあるからこそ地域や人が成長します。今は世の中が便利になりすぎていますが、ちょっと不便だった時代は、知恵を絞ることと、声を掛け合い助け合うことに一生懸命で、互いに支え合って生活していました。少し前の時代に戻り、今住んでいる所のコミュニティも、新しいコミュニティも、両方作り上げていくということが、人と地域をつくることになるのかなと思います。
会話の中のキーワードを上げると、今はちょっとした「過渡期」であり、変わらなければいけない時期なんだろうなと思っています。地域づくりにおいては、市民の方はまだ「やらされ感」を感じていると思います。その「やらされ感」をなくすように、地域の実態をリアルに伝えたり、横の繋がりを作っていくことが大事かなと思います。これが出来ていくと、きっと新しい文化圏になっていくと思いますので、私達が“人そだて地域そだて”や日常を通じて皆さんに伝えつつ、皆同じ空気を吸っているということを感じてもらえる情報発信ができればいいなと思います。
【ジョブカフェ一関】
住所:〒021-0881一関市大町4-29なのはなプラザ4F
電話:0191-26-3910 FAX:0191-26-6007
【一関市社会福祉協議会】
住所:〒021-0877 一関市城内1-36
電話:0191-23-6020 FAX:0191-23-6024
【一関コミュニティFM株式会社】
住所:〒021-0881一関市大町4-29なのはなプラザ4F
電話:0191-48-3651 FAX:0191-48-3652
紙面で紹介しきれなかった部分は、「こぼれ話」としてブログに掲載しています。気になる方はチェック!
URL:http://www.blog.canpan.info/ichinoseki/category_15/1