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平成27年、一関市弥栄(平沢地内)でオープンした古民家カフェ「HIRASAWA F MARKET」(1号店)。地域食材などを使用したランチ・デザート等を提供するほか、地域の野菜・農産加工品等の販売、店内で展示会・イベント等を開催するなど集いの場となっていました。平成30年には一関市三関に2号店として「HIRASAWA F MARKET SANNOSEKI」をオープン(※)しますが、2号店が軌道に乗った直後にコロナ禍となり、1号店を閉店(令和元年)。令和4年、弥栄字久保田の自宅に拠点を移し、「自宅カフェ」で再出発。あえてコンセプトを明確にはせず、その時々の想いや考えを形にしたカフェを展開しています。
※現在、カフェ部分は別オーナーが展開し、他スペースはHIRASAWA F MARKET惣菜製造の施設として使用中
(idea 2024年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
令和4年4月、一関市弥栄にオープンした「かりんの木 from HIRASAWA F MARKET」は、オーナーの熊谷志江(ゆきえ)さんの自宅を店舗に構えた「自宅カフェ」で、1号店のオープンから10年目で、「かりんの木」に名前を変更しました。
1号店となる古民家カフェ「HIRASAWA F MARKET」が開店したのは平成27年9月。田畑が広がり、兼業農家も多い弥栄・平沢地区に嫁ぎ、仕事と子育てで忙しい毎日を送っていた熊谷さん(埼玉県出身)は、農家のお母さん方が、丹精込めて育てた野菜を「食べきれないから」と廃棄処分している事実を目の当たりにしました。
「もったいない」と感じた熊谷さんは「地元野菜・加工品をおしゃれな空間で販売できたら」という構想を練るように。そんな折、地区の新年会に初めて参加することになり、「話題提供の一つに」と、自身の構想と重なる雑誌の切り抜きを持参します。
緊張しつつも「ちょっとおしゃれな野菜の販売所」と「その野菜を用いた料理提供の場」の話をすると、「いいね。出来ることがあれば手伝うよ」という反応が!
その後、地区民から改修可能な古民家を紹介いただき、起業へ向けた専門家からのアドバイスも受け、「地元野菜も購入できる古民家カフェ」の思いを形にしていきます。
空間づくりが得意な熊谷さんの構想をベースに、地区民にも協力をもらいながらリノベーションを進め、夏休みには、子ども会行事の一つとして「漆喰塗り体験」も企画。「地域の方々に支えられてのスタートでした」と、当時を振り返ります。
地元小学校の探検授業や高校等の職場体験も受け入れるなど、地域への機会提供も惜しまず、さらには2号店を市内三関に展開するなど、事業を拡大する中でコロナ禍に突入。苦渋の判断で1号店を閉店します。
「自粛せざるを得ない状況や、交流活動ができない状況が続き、『これまでのこと』や『これからのこと』をゆっくりと考える期間でした」と熊谷さん。令和4年4月、原点に立ち返る意味で、自宅をカフェの拠点とすることを決断します。
ランチの食材は地元食材を取り入れつつもそこにこだわらず、「自然を楽しみながらゆっくり過ごせる場所」を目標にするため、あえて「カフェのテーマやコンセプト」は設けず、「ストーリー性」よりも「ゆとり」を大事に運営しています。
令和6年2月には、千厩町の「酒のくら交流施設」内に姉妹店となる「雑貨屋KAEL」をオープン。扱うのは熊谷さんのご主人がセレクトしたお取り寄せ品が中心です。
「地元の物や手づくりの物じゃなくても、『人を思う気持ち』には、そんなに差はないんじゃないか」と考える熊谷さん。
これまでの想いと経験を活かした「くつろげる空間」が、地域住民の心の拠り所となっています。
「かりんの木」オーナー熊谷志江さん。
自宅の間取りやインテリアを工夫しカフェ空間に。
田園風景や蓮池を眺めることができるデッキ席も。
DATA
〒029-0211
一関市弥栄字久保田121
TEL 090-7522-2103
Instagram 「Karin no kiかりんの木(@hirasawafmarket__karin.noki)」