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令和元年7月に法人化し、大林製菓株式会社として名称を改めた同社は、昭和元年、田舎饅頭など和菓子製造販売業(大林屋)として創業。創業当時は気仙沼方面への行商を行っていましたが、昭和20年頃からは市内錦町に店舗を構え、和菓子に加え洋菓子の製造販売(市内で最初の生シュークリームの製造販売)も展開。昭和50年代にスーパーマケットが普及すると、店舗販売をやめ、餅や団子などの製造・卸販売へと経営転換しました。三代目で現代表取締役の大林学さんは、餅を中心とした商品製造の過程で、自社開発だけではなく市内企業・学生・地域などとコラボレーションし、地域の餅文化や伝統を広く発信しています。
(idea 2020年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「創業から間もなく100年。三代目として私が引き継いだことで、伝統に基づいた餅商品をどのように進展させていくか、企業体としてはまだまだ新米ですが、餅文化における『一関らしさ』を表現できたらいいなと思います」と語るのは、大林製菓㈱代表取締役の大林学さんです。
「地産地消」にこだわる同社では、使用するもち米(こがねもち)やうるち米(ひとめぼれ)は地元の農家と契約しており、その多くは須川パイロット(須川地区国営総合開拓パイロット事業)で生産されています。
一関市では古くから冠婚葬祭や季節の行事、人生の節目など多くの場面で餅が食べられてきました。また、餅に関する作法や言い伝え、地域によっては餅つき音頭なども残されています。一関もち食推進会議の委員でもある大林さんは、「一関の餅は、約300種類の食べ方があります。昔ながらの味以外にも最近では洋風の食材を使用した創作餅も複数開発されてきました」と餅文化の広がりについても冷静に見守っています。
同社では、一口サイズの餅(土産・店舗食材から上棟式用まで)から、のし餅(延し餅)、角餅(切り餅)、1歳の誕生日に背負う一升餅(しょい餅)のほか、うるち米を餅状にした柏餅や桜餅も含め、約30種類を製造。個人や企業(業務用)からの依頼対応のほか、市内スーパーマーケットなどで販売しています。
同社のこだわりにもう一つ「つきたてのお餅(食感・風味)の持続」があります。それを可能にするため、平成29年から岩手県南技術研究センター(同市萩荘)と共同研究を行ってきました。そして令和元年には無添加にも関わらず自然解凍でつきたてのしっとり感が3日以上保てる商品(ふわmochi)の開発に成功、製法特許を取得しました。「この製法によって、飲食店などでも餅製品取り扱いのバリエーションが広がれば」と期待を込めています。
同社では、約4年前から一関市社会福祉協議会の依頼も受け、生活困窮者(世帯)支援の一環として年始用の切り餅を配布しています。「たぐいまれな餅文化を持つ一関。多くの人に一関の餅を食べ、希望ある一年を迎えてもらいたい」そんな願いがこめられています。
また、今年度は市内の高校生実行委員とともに「全国わんこもち大会※」の会場で販売するお土産版の「わんこもち」を企画開発。
「これまで、企業とコラボレーションした商品開発を行ってきましたが、高校生の純粋な発想には驚きを隠せません。消費者目線・若者目線はとても大事なことだなと改めて感じます」と大林さん。最後に「今後も餅文化や伝統にちなんだ商品を企画・発信していきたい」と語っていただきました。
※もち文化伝承のまち・一関を全国にアピールするため、岩手名物わんこそばをもちに代え、制限時間内に食べた「わんこもち」の数を競う。同実行委員会主催。
一つ一つ丁寧な手作業で作業していきます
代表取締役の大林学さん
全国わんこもち大会高校生実行委員との会議風景(右:大林さん)
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