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(idea 平成27年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役兼料理長:原田 良一 さん
◆連絡先:〒029-0803 一関市千厩町千厩字宮屋敷43-8
◆電 話:0191-52-2325
◆FAX:0191-52-2425
「自分が伝えたいことを伝えているだけで、特別なことをしているわけじゃないよ」と語るのはレストランあさひや代表取締役兼料理長であり、子どもたちが食を通じて学ぶ「味覚の授業」や各種団体、地域などへの食育支援、また被災地復興支援などに地元食材を用いて積極的に活動を行っている原田良一さんです。
昭和27年、千厩町町浦地内の東山病院付近(岩手県立千厩病院の前身)に、原田さんのご両親があさひや食堂を開店。昭和40年頃、同町宮敷地内に千厩病院が新設されることをきっかけに、現住所に移店しました。地域からの後押しもあり、病院内食堂も任され「職員や介護付添人、見舞いに訪れた方々の癒しの場になれれば」と営むご両親の姿を見ながら育ってきました。
「当時の職員やご家族の方々から『ここの食事で力をもらったんだよ』なんて後で言われてね。そう思っていただけるなんてありがたいなって」と振り返る原田さん。「地域の方々に支えられながら、父と母が築き上げたあさひや食堂なんですよ」と続けます。「学生時代は料理の道に進もうとはっきり決めていなくてね。口では何も言わなかった父親だけど、その背中から感じるものはあったね」と振り返ります。一度は大学進学も考えたが、たまたま見たテレビの料理番組でフランス料理に出会い「自分も料理の道に進もう。洋食を極めよう」と決めたのです。
高校を卒業と同時に上京し、9年間有名レストランで修業した原田さんは、昭和52年に帰郷しご両親が営んでいた、あさひや食堂を地域食材にこだわった洋食と本格フランス料理が味わえる「レストランあさひや」としてリニューアルオープン。当時はフランス料理そのものが珍しかったこともあり、翌年から同レストランを会場に料理教室を開催しました。
地域の方々と料理を通じて情報交換しているうちに、子どもの食べ残しや食物アレルギーに悩んでいる主婦が多いことに気が付きました。このことに関心を持った原田さんは、町内小学校や各地域に出向き、地元食材を用いた食育を教え料理を普及してきました。「今は飽食の時代。私が子どもだった頃は、今のようにたくさんの料理はありませんでしたが、母親が作る自然のうまみを生かした料理は、私の手本となっているんですよ」と語る原田さんは、全国展開されているフランス発祥の「味覚の一週間」という教育イベントに県内で唯一参加しているシェフでもあり、「味覚の授業」を通し、五感を使って味わうことの大切さや食材にも命があることを児童に体験学習させています。
「料理で幸せになってもらいたい。笑顔になってもらいたい」従業員一丸となり被災地支援活動も行っているレストランあさひや。実は原田さんは気仙沼市内の高校を卒業していることもあり、沿岸部には強い思い入れがあります。「なにが自分にできるか、どうすれば笑顔になれるかを考えたとき、自分は『料理』という食の力で寄り添いたいと感じたのです」そう震災当時を振り返る姿から、今後も食を通じた支援をしていくという気持ちが伝わってきました。