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代表取締役社長 佐藤幸淑 さん
(idea 平成28年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役社長:佐藤 幸淑(ゆきとし)さん
◆連絡先:〒029-0303 一関市東山町松川字台101
◆電 話:0191-48-2013
◆FAX:0191-48-2277
“マイカー元年”と言われ徐々に自家用車が普及していった昭和40年代。平成3年には自動車生産が過去最高の1325万台となり、各家庭で1台以上を保有するまでになりました。地方にも大手自動車産業の誘致が進み、協力会社や下請け工場などが地元起業家の手で立ち上げられ、地域が潤い発展していきました。
東山町に自動車部品用ハーネス※1の製造業として、昭和51年に設立された有限会社大工業。「一時期は100名ほどが生産に携わっていましたが、大手産業の地元撤退などの変化があり、現在は25名ほどで農耕機械用を中心とした各種ワイヤーハーネス、ケーブル※2加工を行っています」と語るのは代表取締役の佐藤幸淑さん。「震災から5年が経ちましたが、今も厳しい状況です。そんな中でも沢山の方々に支えられ、助けていただき今日に至っていることに感謝しながら、しっかりとした経営基盤を築くことが今の課題。その上で、できる限り地元の人が地元で安心して働ける環境を整え、地域の雇用の場として貢献したい」と続けます。
震災前は農業法人ハッピートマトと協力し地元農産物のインターネット販売事業も行いながら、“地元の情報発信”を行っていた同社。「震災後、風評被害や主製造業の状況変化で農産物の販売事業は休止している状況です。楽しみにしてくださったお客様もいらした中での休止だったので申し訳ないなという思いがありますが、主たる製造の基盤がしっかりと整った後で再開できればと考えているところです」とチャレンジ精神を忘れません。
清掃がしっかり行き届き、明るい雰囲気の工場内。「それぞれ特徴的な動きのある作業工程で、人数も限られていますから、従業員とともに設備環境の工夫を行っています。共に考え工夫することで、互いを思いやる心とともに、仕上がる製品への愛着や技能の向上、チャレンジ精神が芽生えてきます。お互いが尊重し合いながら働きやすい環境をつくり、チーム力を高めています」と語る佐藤さん。「現在は障がいを持った方でも働きたいという意思があれば雇用できるように、企業側として勉強しているところです」と続けます。
昨年の5月には、障がい者雇用に向けて数名の工場見学を実施し、就労希望をされた方の研修を行いました。現在では1名の方が従業員の仲間となっており、「作業に馴染み、会社に馴染み、これから一緒になって成長することを望みます。今年も10月に開催される一関地区障がい者自立支援協議会主催の就労支援ワーキングに参加し誰でもが安心して働ける環境づくりに努めたい」と語る佐藤さんです。
少子化・若者の地元離れなど、各地域の課題として頻繁に耳にします。佐藤さんは「『地元に働き口がないから離れる』なんて考え方は本当に寂しすぎる。私も3人の子どもの親ですから、一緒に暮らさずともいつまでも近くにいてもらいたいもの。“ない”のであれば、どういった環境の職場を求めているのか?どういった職種なら働きたいと思えるのか?今は企業人としてそういった視点にも向き合いたい」と語ります。
最後に、佐藤さんが会長を務める一関商工会議所青年部が実施した将来の起業家育成「ジュニアエコノミーカレッジinいちのせき」について、「地元で起業を目指す人材が現れることに期待し、自信を持って輝ける未来になるよう我々も地域の良さを伝えていきたい」と語っていただきました。
※1 電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にした集合部品 ※2 ロープ、設延滞と保護被覆で覆われた電線の総称
株式会社 大工業外観
自然豊かな環境に包まれています