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~いのちを生み出す農業を地域と共に~
(idea2012.vol9掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
今回の企業の地域づくり取材は、地域食材の安心と安全を守り、希望を持てる農業をモットーに地域に根差した活動を行う、一関市藤沢町の株式会社 館ヶ森アーク牧場へお邪魔し、取締役会長兼牧場長の橋本さんにお話しを伺いました。
一関市藤沢町の吉高トンネルを抜けると、まるで北海道の大草原の様な光景が目に飛び込みます。夏は牧草が青々と茂り、色とりどりの花に心を癒され動物たちと触れ合うことができる、館ヶ森アーク牧場。冬は一面の雪景色で、幻想的な雰囲気をかもしだしています。今から40年前、埼玉で生まれ育った橋本ご夫婦は、ご主人が元々大きな農家をしていたこともあり『有限会社 橋本ファーム』を設立。数頭の母豚から300頭まで増やすことに成功しました。夢を大きく拡大したいと考えていたご夫婦は、ご主人の恩師が藤沢町の出身であった事をご縁に、昭和51年に移住。「当時はね、まだ水道も電気もなくて、地元の人も来たことがないんじゃないかってくらいの山だったのよ。地域の方々からはなかなか受け入れてもらえなくてね、反対運動もあったみたいよ。私たちを受け入れてもらえるきっかけになったのは子どもたちが先に地域に溶け込んだから。」と振り返る橋本さんの笑顔からは、母として、妻として、農家の嫁として鍛えてきた力強さと、大地のような心の広さが伺えます。
高度成長期であった当時は、「安いもの・使い捨て」が世に溢れ、生産物には大量の農薬を使用し見た目を重視していた時代でした。もともと農薬の使用や食品添加物の使用は良くないと感じていた橋本さんは、家族や従業員で囲む食卓の素材にこだわり自分が納得できるものを使用。「見た目が悪くとも愛情を込めて育て安心して食べれるものを食べさせたい。それを皆で囲み食をいのちへとつなげる。」会社の経営理念の一つである『食はいのち』は母の愛と『食卓』から生まれたのです。
館ヶ森アーク牧場では、4年前から地域農家・JAとの連携で荒れた休耕田の有効活用と、地域の農業を少しでも守りたいということから、地元契約農家と飼料米の生産・加工利用に取り組んでいます。生産された飼料米は放牧豚に給与し『大地の米豚』ブランドで拡販中。また、この飼料米を育成するにあたっては同牧場で出る豚や鳥の糞尿や館内レストランの生ゴミなどをリサイクルした栄養たっぷりの堆肥を使用し、さらに同牧場内で生産している甘くて美味しい野菜を栽培する際にも使用しており『すべてのものを無駄にしない循環型農業』となって地域資源の循環と共に、地域農業の活性化にも貢献しています。
観光地として発展している館ヶ森アーク牧場周辺施設の8団体で結成されているエコール館ヶ森では、子どもからご年配まで楽しめるイベントをたくさん企画しています。さまざまなイベントは町内だけではなく、県外からの旅行者にも人気があり、地域活性化の一つとなっていますが、冬の集客にはいまひとつ。『雪は降るけど、北のようにたくさん積もるわけじゃないから雪まつりはできないしね…風はとっても強いのに…』という思いから発案された冬のイベント『館ヶ森風祭り』も来年で4回目を迎えます。手づくりで凧を制作し凧揚げ大会を行い、館ヶ森アーク牧場ならではのテナントが立ち並び、餅つき大会や雪上ジャンボかるた取りやそり滑りなど、冬の寒さも吹き飛ばせるイベントのようです。イベントは2013年1月27日(日)と2月3日(日)いずれも10時~15時まで。総合のお問い合せは0191-63-5100館ヶ森アーク牧場まで。