※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
鉄、コンクリート、木部、革布、プラスチックなどに使用可能な新素材の開発・製造・施工を行う。平成14年、自動車板金保修材の開発・製造を行う(株)テロソンコーポレーションは、ナノ単位の粒子が素材の表面に密着し、多種多様な素材を質感そのままで塗装ができるコーティング剤「染めQ」の開発に成功。平成22年、製品名である「染めQ」を用いた現社名に改称。2010年代は「世の中の『困った』を解決」をテーマに、新素材を用いた技術や工法の開発に力を入れ、2020年代からは「大改修時代」をテーマに、これまで取り換えるしかなかったモノの再生・延命、そして補強まで可能にする同社製品や補強工法で、老朽化した施設建物、社会インフラの大改修に挑みます。
(idea 2023年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
塗料界に革命をもたらす画期的な製品「染めQ」が誕生したのは平成14年。瞬く間に塗料を取り扱う様々な業種・個人から好評を得たことで、発売から間もなく、東北工場の創設が検討され始めました。
当時の大東町が誘致に成功し、町の厚い期待に応えるように地元高校生の採用にも尽力した同社(代表取締役 菱木貞夫)。「当時はいわゆる就職氷河期で、地元企業でも高校生の採用が厳しい時代でした。そんな中で当時11人も採用したのが弊社で、その当時は『そんな企業はなかなかない』とまで言われていたようです」と語るのは、第1期生で大東工場課長の菊池真広さん。「『塗料メーカーですか?』とよく聞かれますが、我々は『技術開発研究所です!』と自信をもって答えています」と続けます。
工場は平成17年に完成し、第1期生も入社。まずは本社研修でスキルを身に着け、そのノウハウを活かし「みんなで作り上げていったのが東北営業所・大東工場」だと菊池さん。ここ数年で、市内でも少しずつ「染めQ」という製品とともに、その一風変わった社名の認知度も上がってきましたが、同製品以外にも知る人ぞ知る新素材の開発・製造を行っており、大東工場では車を修理する人(工場、個人)から人気が高い「ミッチャクロン」という板金塗装向けの製品を主に製造しているのです。「あのミッチャクロンの製造工場が一関にあるの 」と、驚かれることも多いのだとか。大東工場で作られた製品は、国内のみならず、海外にも出荷されています。
「一人ひとりの成長を応援する企業」である同社社員の肩書は、全員が「研究員」であり、人として常に成長できるよう毎月の研修制度や担任制度を導入しています。
「弊社はお客様の『困った』を解決すべく新製品の開発や工法の検討そして製品試験など、工場や営業所という部署間の垣根を超えて業務にあたっています。そのためには、社員全員が同じ方向(経営理念や企業テーマの認識統一)を向くことが大切」として、スポーツ大会や誕生日会などの行事、食堂の充実(ビュッフェスタイルやドリンクバーの完備)など、福利厚生や社員の親睦交流にも力を注いでいます。
そんな同社が2020年代からテーマに掲げるのが「大改修時代」。高度経済成長期に建設された建造物について、「再生・長寿命化・延命化」するための新素材の開発・施工技術を目指し、情報交換や互いの技術を磨いています。
「我々にはこの工場を守り、地域の雇用の場として根付かせることが求められる。地域のインフラを守り、社会に貢献していきたい」と菊池さん。「社長は一番下。役職がつけばつくほど下に行き、上を支える。だから新入社員はトップ」という同社の理念が、新たな製品を生み、地域の雇用の場も守り続けます。
「染めQ」と「ミッチャクロン」を手にする菊池真広大東工場課長。
市内施設等に寄贈(令和2年)した同社開発の除菌・抗菌スプレー。
同社製品でDIYした雑貨たち。