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(idea 平成28年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代表取締役社長:黒澤(くろさわ) 一成(かずしげ)さん
◆連絡先:〒029-3103
一関市花泉町老松字蛭沢102-1
◆電話:0191-36-1100
◆FAX:0191-36-1110
こんにゃく類の製造加工販売を行っている株式会社須藤食品は、昭和39年に花泉町で製造販売を開始し、昭和62年に現本社工場に新築移転。紆余曲折を経て、平成16年に群馬県内でこんにゃく原料問屋を経営していた黒澤一成さんが代表取締役に就任し、地域食材とは何か、地域企業とはどうあるべきかを考え動き、60名の従業員と共に同社を盛り上げています。
「全国各地を自分の足で営業してきた中で、人々とのふれあいや地域ならではの人情を肌で感じてきました。特に東北、一関、中でも花泉町の方々は人と人との繋がりを大切にしている方が多く温かみのある地域」と語る黒澤さんは、こんにゃくと葱の生産で有名な群馬県下仁田市出身で農林業経験を経てこんにゃく原料問屋を起業。営業として全国を回り、株式会社須藤食品とは昭和53年からの長い付き合いとのこと。代表取締役社長として就任して以来、持ち前の営業力と地域企業を地域の外から見る視点を生かしさまざまな課題を乗り越えてきました。
同社が製造・加工している原料は、群馬県産が主力ですが、ミャンマーにもアルコール精製製粉工場(ミャンマー初)の協力工場を持ち、8年前より、全国初のミャンマー産こんにゃくの販売を行っています。また、旧花泉、千厩、藤沢町の農家にも契約栽培をしており、今後、自社栽培も検討しているとのことです。
未曽有の東日本大震災から5年が経過します。当時を振り返る黒澤さんは、「当社も大きなダメージがありました。地域企業間の横の連携がどれだけ必要かということがこの時身に染みました」と語ります。
「当社は、食品を扱う企業ですから万が一にも備えて貯水タンクがあります。断水時には、地域住民の生活用水に充てていただこうと貯水タンクの開放を行いました。緊急時ですから、地域への協力は当然のことだと思います。しかし、従業員がいる以上企業復興もしていかなければなりません」と続けます。
「いわいの里クオリティフードグループ」が発足したのは震災後まもなくのこと。中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業の相談をする中で、室根町の株式会社オヤマとグループを組むこととなり、「企業間の復旧が整ったら、地域の皆さんにお返しをしていこう」という強い意志を持ち企業復興に取り組みました。
今回の震災を機に、食品加工製造業の横の連携が図れるようになり、同グループ(現在は5社が加入)は情報交換や共有の場となっているのだそうです。「万が一の災害時に、ぞれぞれの食品加工商品を提供する。当社ではこんにゃく・糸こん3千キロを2時間で準備し市に提供するということで協定を結びました。また、通行車両へ災害の情報提供を行うこととしています」と、今後予想がつかない緊急時の対策を企業連携という形で地域に貢献しているのです。
地元小中高等学校の企業見学や企業体験受け入れを行い「地域企業に興味を持ってもらいたい」と育成にも力を入れている同社は、日本の伝統食材として海外に向けて流通拍車をかけるため、ハラル認証※を取得し、日本の伝統食材こんにゃくのグローバル化も目指しています。