※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
加賀家は江戸時代から続く商人一族で、もともとは一関市地主町で古着屋(着物屋)を営んでいました。その後、唐桑町(気仙沼市)からお嫁さんを迎え入れ、浜から直接仕入れた魚を売る鮮魚店を経て、魚の粕が農作物の肥料に適していたことから、明治時代から大正時代に移り変わるころ、当時の店主(現店主の曾祖父)である加賀長吉さんが肥料の専門店として「加賀長商店」を起業しました。昭和47年からは、萩荘地区に移り住み、肥料の他、農薬、各種苗・種、農業備品などを販売しています。
(idea2019年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
一関市萩荘地区にある加賀長商店は、肥料販売の専門店として107年の歴史があり、変化する地元の田園風景を見守り支えてきました。「北海道で農薬会社に勤務していた頃、畑作や水稲にも関わっていたので、ある程度農業に関する知識はあるものだと思っていました。しかし、実際農家さんと一緒に仕事をしてみると、農業に対する細かな作業の多さや『育てるための管理』の重要性など見えない部分の苦労がたくさんあるということを教わりました」と語るのは、4代目の加賀直樹さんです。農薬会社に勤務後、そのノウハウを活かそうと30年前にUターン。「自分が見ていた農業とは何だったのかと考えさせられた」と語る直樹さんは、後継者不足などの課題に直面している農家の切実な思いを聞くたびに「なんとか解決できる方向性を一緒に考えていきたい」という思いを募らせてきました。
その一歩として、直樹さんは平成18年に農産物検査員資格(米の年産、銘柄、品質などの検査を行い、米の格付けをする国家資格)を取得し、米の集荷も行えるようになりました。さらに今年から、「高齢になって田んぼの維持管理ができなくなったが、田畑を荒らしたくない」という地元農家さんの相談を受け、直樹さんが地元の水田管理(稲作自体)そのものを引き受けることになり、5月には初めての田植えを行いました。
自らを「農業者1年生」と語る直樹さんですが、圃場の管理、肥料や農薬に関する知識は「先生」です。初代から育まれてきた農家さんとのお付き合いの中で、その時代に合わせた農業のあり方を常に研究し、指導も行っています。平成24年から開催している「菜園塾」は、「創業100年を過ぎ、地元に何か恩返しを」という三代目店主(直樹さんのお父さん)の熱い想いから始まり「農業に関する話を聞ける場、相談できる場」として萩荘地域外からも参加があるほど好評となり、年1回の収穫祭(11月)には、それぞれの農家さんが育てた野菜を持ち込み芋の子汁を作ってその年の収穫を祝い住民の交流の場ともなっています。
また、年2回(7月と2月)開催している稲作勉強会は、農産物検査員である直樹さんが、農家さんが持ち込んだ稲株や土壌を診断し生育状況分析を行うなど収穫に向けての指導や情報交換を行い、店舗周辺の試験圃場では、稲の病気について実際に見ながら消毒方法や追肥について指導しています。
最後に、「数年前からは地元の小学2年生に食育授業の一環で、トマトの栽培指導にもお伺いしています。こういった活動を通して、将来を担う子供たちが農業に関心を持てるような活動を広げていきたい」とご夫婦そろって笑顔で語っていただきました。
4代目 加賀直樹さん(左)
妻の麻衣さん(右)
アイディアガールの麻衣さんは
お米のパッケージイラストなどを発案
お米をさらにおいしく
食べてもらえるように考えた
アドベントカレンダー
DATA
〒021-0902 一関市萩荘字高梨東11-1
TEL:0191-24-3188 FAX:0191-24-3189
FB:https://www.facebook.com/kagacho.Iwate/