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(左)代 表 佐々木征子さん
(右)副代表 佐々木由美子さん
(idea 平成30年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆店 長:小野 政隆 さん
◆住 所:〒029-0302 一関市東山町長坂字町327
◆電話/FAX:0191-47-4149
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「歴史があっての地域のお菓子。その思いを引き継ぎつつ新しいことにも挑戦」と語るのは、平成26年に東山町長坂にオープンした洋菓子店Patisserie fujiの店長・パティシエの小野政隆さんです。
Patisserie fujiは、創業約70年の地元銘菓製造店(有)冨士屋製菓(東山町松川)の洋菓子製造販売部門※にあたり、小野さんは三代目。これまで地元の方々に親しまれた郷土菓子に自らが学んだ洋菓子テイストを加え、新たな商品開発に取り組んでいます。
母体となる(有)冨士屋製菓は、創業者(小野政隆さんの祖父)が戦後に立ち上げ、復興と地域発展の願いも込めて、当時は貴重な砂糖を飴や和菓子などに加工して販売していました。社名は日本一の山「富士山」が由来ですが、「日本一の和菓子屋になったら『ワカンムリ』の上に点を付けて『ウカンムリ』にしよう」という先代の粋な思いが込められているのだそうです。
※(有)冨士屋製菓は、洋菓子製造販売部門のほか、旧東磐井郡全域に提供している学校給食用ご飯製造の2つの部門に分かれており、学校給食部門の工場内で継続して地元銘菓も製造していますが、販売はPatisserie fujiさんとなっています。
「地元には必ず戻る」という強い意思があったと語る小野さんは、中学までを東山町で過ごし、高校からは地元を離れ寮生活を送り、調理師専門学校を経て東京の洋菓子店に就職し修業を重ね、平成22年にUターンしました。「地域に根付いた地元の菓子(もともとあるもの)に現代のアイディアを加え、自分が修業してきた洋菓子で地元を盛り上げたい」という思いから岩手県南で広く郷土菓子として親しまれている「雁月(がんづき)」に着目し、パティシエとして洋菓子の技術を注ぎ込み、試行錯誤を重ねて洋菓子テイストの“がんづき”が誕生したのです。「商品化に至るまでには、『これでは“がんづき”ではない』という声もあり、自分の予想以上に地元の方々は“がんづき”に愛情と誇りがあるのだなと気づくきっかけにもなりました。そういったご意見も踏まえて自分にしか作れない、岩手にしかない菓子をと挑戦を繰り返しました」と当時を振り返ります。「ちなみに、この時期のおすすめは“がんづき”の材料を使ったアイス(商品名:黒糖アイス)です」とニコリ。“がんづき”は小野さんのアイディアによって可能性を広げているようです。
また、市内のじゅうね(エゴマ)を使った商品開発にも取り組み、実際に販売しています。新たな特産品ともなるであろう、その名も「十年プリン」です。「ネーミングもお客様との言葉遊び」だと語る小野さんは、「エゴマで健康寿命が十年延びるということと、『じゅうね=十年』という語呂に掛けて」と教えてくれました。やはり粋なネーミングセンスは小野さんの祖父譲りなのかもしれません。
地元中学校の校外学習先として生徒を受け入れている小野さんは、「子ども達と触れ合う中で、一度は外に出てみたいと思う子でもいつかは地元に戻ってきたいという思いがあるようです。私もそうでした。その時に地元(大人)がどのように受け入れ応援するかが大事だと感じます。せっかく地元を愛し学んでいるのだから、何事においても地域の良いところを引き継ぎつつ、その時代なりのアイディアをプラスしていつまでも子ども達が誇れる環境を整えなくてはなりませんね」ね」と地域への思いを語っていただきました。
ティータイムや手土産にと、幅広く対応できる品揃えも魅力的です。