毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第8話(2019年11月号掲載)
これまでは行政主導型で進めてきた地域づくりですが、これからは地域協働型に変わっていく必要があります。地域協働型と言うとコラボレーションをイメージする方も多いと思いますが、一関市の地域協働型は、コラボレーションではありません。一関市の協働の定義が「継続的な話し合いと合意形成」であることから、地域協働型=話し合いを基本とした取り組みと言えます。
行政主導型は、行政で発想し「施策」として画一的に進めるため、取り組みの優先順位は、地域状況を加味したものではありませんでした。さらに、合併市である一関市は広域で、地域の成り立ちや特性、抱えている課題も異なり、公平平等を原則とする行政の取り組みではカバーしきれなくなってきています。そこで、地域の課題や発想を基に、取り組み優先順位を地域で決め、地域の望むことを優先的に行う地域協働型に転換していこうというのが「協働によるまちづくり」です。
結果として地域の特色を活かすことが可能になるのですが、少子高齢化や人口減少により、市政、地域づくりの両面で資源の有効活用も考えなければいけない時代。ヒト、モノ、カネ、ジカン全てが限りある資源で、一切の無駄遣いは許されない時代になります。コラボレーションで事業するのではなく、行政、地域をはじめ関係する団体や人が集まり、課題や状況を共有し、話し合い、課題解決のために考え、納得しながら取り組むことが「地域協働型」です。
地域協働型の地域づくりを進めるとき、「定義づけ」すれば発展するかと言ったらそうではありません。地域協働型を進めていくためには、仕組みを丁寧につくることが必要で、一関市では、「地域協働推進計画」という行動計画を策定し取り組んでいます。
第一次地域協働推進計画(平成25年~平成30年)では、地域全体の調整と、推進役を置き、行政との連携を強めることの必要性を重視。そして地域協働体を設立することで地域運営の見直しを図ることを目的としました。
地域協働体は、集落機能を補完する役割を持ち、基本は円卓会議を行う話し合いの場です。集落機能の補完とは、基礎集落ごとに人口の増減や年齢構成のばらつきが目立ち始め、多様な活動を行うための担い手の確保が困難になってきているため、市民センター単位レベルの広域的な取り組みを必要に応じて行うことを指します。地区民運動会で選手が足りないから隣近所の自治会で選手の補完をしていることを例に挙げればイメージしやすいかと思いますが、そのような取り組みを日常的な地域づくりに取り入れて支え合いの仕組みを再構築すると言えば伝わるでしょうか?
地域協働体の設立は、これまであった基礎集落を廃止するということではありません。むしろ、基礎集落機能を重視するために、補完の仕組みを構築するものです。
慣習的行事が多い自治会に対して、地域協働体は、地縁でつながる様々な人、組織、団体が連携し、子どもから高齢者まで性別に関わらず、単位自治会だけでは解決が困難なことを、地域の総合力で解決することが目的であり、自治会とは性格が異なります。
そのために、地域や各種団体の課題、想いを持ち寄り議論する円卓会議の場が重要なのです。