毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第29話(idea 2021年8月号掲載)
「まちづくり」や「地域づくり」と言えば「ワークショップ」というほど、様々な場面でワークショップが開かれています。市民参加、住民参加を促すきっかけでもあり、不特定多数の意見を引き出し、合意形成をすることができるという意味では、ワークショップはとても有効的な手段です。しかし、単にワークショップをするだけでみんなの納得が得られるか?というと、そうではありません。
‐‐‐参加型会議≒ワークショプ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ワークショップ」という言葉を様々な分野で聞くようになりましたが、ここで言う「ワークショップ」は、「参加型会議」のことです。型にはまった会議ではなく、参加者がより柔軟に声をあげられるような「話し合いの場」の1つがワークショップです。ワークショップ(workshop)の語源自体は「作業場」や「工房」を意味します。決められたものを大量生産する「工場」に対し、全く同じものは作れない、手作りの一点ものを生み出す「工房」のイメージから、参加型会議や体験型モノづくりの機会にも、広く使われています。
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それでは、何のためにワークショップは開催するのでしょうか?
「まちづくり」や「地域づくり」に取り組むためには、そこに住む人や関わりのある人など、多くの人の了解が必要です。一部の人の意見でモノゴトを決めて進めてしまうと、納得しない人からの不満やクレームにつながるため、「みんなで議論できる場」としてワークショップを開催します。
当センターは、これまで多くのワークショップに関わってきましたが、ここ最近のワークショップでは、参加者がずいぶんと建設的な議論ができるようになったと実感しています。10年前のワークショップの現場では、声の大きい人の発言で他の参加者が発言できなかったり、「そもそもワークショップの意味が分からない」と言われたりと、なかなかの状況だったからです。ワークショップが浸透してきた背景には、一関市が「話し合い」の「協働」を掲げ、地道に市民参加と向き合い、ワーククショップなどを通し、市民の意見を施策に反映するように努めてきた結果でしょう。
※一関市では、平成20年から協働のまちづくりの検討をはじめ、一関市における協働のまちづくりを、「協働の主体である市民組織、企業、行政がお互いの立場を尊重し、公共的、公益的な活動を継続的な話し合いと合意により、協力して行動すること」と定義しました。
しかし、事ある毎にワークショップを開催すればいいかというと、そうはいきません。ワークショップを開催するためには、そのワークショップをしなければいけない明確な理由が必要だからです。ここ最近は「まちづくりだからワークショップ」という合言葉にもなりそうな社会的イメージが定着しつつあることに落とし穴が……。
自治会や地域協働体など、地域運営組織においては、住民の話し合いの機会として、ワークショップが積極的に展開されていくことは良いことだと思っています。地域においては、アイディアの枯渇という自然現象(いわゆるマンネリ化)が起こっているため、結論を求めない話し合いからアイディアを沢山生むようにし、その中から必要なこと、事業になることを拾い出す必要があります。ですが、関係者のような一部の人だけのワークショップを開催するといつも同じような意見となってしまい、盛り下がるということも(もちろん、普段はワークショップ形式ではない会議が多いので、盛り上がる場合もあります)。
「ワークショップの要素を取り入れた話し合い」をする地域は増えてきています。
(写真は日花里の郷日形)
地域づくりは、住んでいる人たちの参加がないと多様なアイディアやニーズの掘り起こしができず、成立しません。なので、常に住民の参加を意識して企画することを心掛けましょう。そして、ワークショップの開催の目的をしっかりと創り出し、みんなに伝えることです。
何のためにワークショップを開催し、その話し合いの結果は、どのようになるのか(していくのか)?
人は、興味関心の無いことには関わりたくないものです。これまで関わったことの経験(行事や役割)から、「もう関わりたくない」という気持ちになっている人も少なくありません。だからこそ、関心を持ってもらうために、「参加してもいいかな?」「行ったら楽しそうだな?」「少しは期待持てるかな?」そんな印象を与えられるような場づくりを意識して欲しいと思います。