毎月さまざまなテーマで地域づくりについて考えていくコラムです。
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第63話(idea 2024年6月号掲載)
本来「引き継ぐ」べきものとは?
新年度も始まり、期待に満ちた日々と同時に「季節の変わり目でもあるのでご自愛ください」……なんて表現を使ったりします。季節の変わり目には、気圧の変化や気温差があり、その変化に体が適応しようとエネルギーを消耗することから、体調不良を引き起こしやすいと言われています。このことは、先人たちが1年の生活サイクルの経験から身につけた習慣であり、それを伝え続けてきているから当たり前のように気にしているのでしょう。
でも、「組織の役の変わり目(改選期)だから注意しましょう」とは、なかなか言わない、というか、聞いたことがありません。「役を受けてくれる人が見つからない」という課題についての対策は必死に行うものの、いざ次の役のなり手が見つかっても、単純な‘業務の引継ぎ’をするのみにとどまってしまいがちで、「変わり目の変化」に対する意識は薄いのではないでしょうか。もしくはつなぐことができたという安堵感……?
こと‘業務の引継ぎ’については、令和4年、市内の民区長・集落公民館長・自治会長に対し、引継ぎの現状等に関するアンケート調査を実施したことがあるのですが、「書類を渡されただけ」「過去の資料などが入った段ボールを渡された」「パソコンが使えないのにUSBで渡された」など、‘書類(業務内容)の引継ぎ’が中心になっており、その役の背景や位置づけ、機能の伝達が不十分であることが分かりました。
これまでも何度か書きましたが、地域の「役」について知らない住民が増えてきているのも事実。とすると、何も知らないところに突然頼まれても、拒否反応がでるのは仕方のないことだなと納得もしてしまうのです。
輪番制というローカルルールが適用されている地域もありますが、1~2年の輪番だと、どうしても「業務=最低限こなす内容」の引継ぎになってしまうようです。きっと始めのうちは、丁寧に引継いでいたのだと思いますが、次から次に代が変わる度に、伝言ゲーム状態で、引継ぎ内容が簡略化されていったのかもしれません。
役の変わり目によって、組織の力も浮き沈みがあったりするのは要注意ですよね。これまでは良かったのに、「人が変わってから質が低下した」なんて言われるようになったら大問題です。
だからこそ、役の変わり目には丁寧に説明し、新役員たちが理解した状態で、具体的な動きをスタートさせたいものです。上部組織がある場合は、上部組織が時代に合わせて研修や説明の内容を見直して、より機能するように、対応の変化も求められるでしょう。特に、「地域協働体(RMO)」は、市の施策や設立の背景、目指す機能など、「背景の引継ぎ」がとても重要だと感じています。
しかし、最近は、改選期に次期区長(自治会長)が決まらなかったり、前任者の急逝などに対して後継者が見つからないなど、‘トップ不在’の期間を生んでしまったという地域も……。こうなってしまうと、地域内の情報伝達や有事の際のネットワークも崩れてしまい、大変なことになると危惧してしまうのですが、それは、地域づくりに関わっている立場の視点であり、住民からしたら「特に大変な事態ではない」そうです。まさに個の時代です。
私たちが季節の変わり目で体調を崩すように、地域も組織も、人の変わり目で体調を崩すことがあるのです。役のなり手が見つからないのも体調不良です。特効薬がある訳ではないので、お医者さんに相談するように、みんなで相談しながら、変わり目を乗り越えていくような処方を考えましょう。