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公演後の集合写真(令和4年8月)
(idea 2022年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
一関市立千厩図書館を拠点に活動。市内の幼稚園や子育て支援の場で、子どもや親子を対象にした人形劇や朗読劇などの公演を行っています。現在の会員数は7名。
※同会への連絡は一関市立千厩図書館へ
TEL:0191-51-1122
一関市立千厩図書館内のミニシアターから聞こえてくる子どもたちの楽しそうな声。「夏のおはなし会」と題したイベントを開催していたのは、同館を中心に、市内の幼稚園・保育園、小学校などからの依頼に応じて子どもたちへの絵本の読み聞かせや人形劇等の公演を行っている「おはなしグループ マザーリーフ」です。
「本の楽しみかた」「読書の楽しさ」を伝えるべく活動している同会は、同じお話でも、スタイル(エプロンシアター/パネルシアター/紙コップ等の小道具を使用するなど、表現手法)を変えることで、様々な表現を楽しめるよう、日々工夫を重ねています。
その前身は「人形劇団たんぽぽぽ𝄾(さらに前身は「人形劇団たんぽぽ」)」。長い歴史がありますが、メンバーや活動の方向性を整理するべく、一度解散し、方向性を同じくする人たちでそれぞれ再結成しましょうという運びになり、平成14年にマザーリーフが結成されます。千厩図書館が活動拠点ですが、会員は一関市内各地に点在しており、月4回の練習の度に千厩に集まってきます。
人形劇団が前身ということもあり、今でも「劇」を主軸にしている同会。公演の依頼に応じ、メインの題材を決めると、小学生には朗読劇、未就学児には人形劇、というように、対象者に合わせて見せかたを変えています。
朗読劇にも様々な工夫が。劇の進行・場面に合わせ、打楽器を使った生音を入れるなど、臨場感を持たせ、来た人を楽しませます。
人形劇で使用する人形はメンバーの手作り。練習を重ねる中で、一つの物語をいかに来場者に見せるか、すり合わせていきます。
また、自分たちの感性を豊かにし、劇のクオリティを高めていくため、プロの劇団公演も積極的に鑑賞するなど、研修も忘れません。実際に劇などを鑑賞したあとにはメンバー同士で気付きを共有し合い、表現の仕方など、自分たちの劇でも取り入れられる部分は反映させていきます。その際には、演じる側も見る側も、「劇を構成する一員」として、「お互いを考える気持ちが大切」と同会会長の千葉典子さんは語ります。
そんな同会にはモットーが2つあります。1つ目は「自分たちが楽しむ」こと。「絵本や劇は誰でも楽しめるものですが、演じる自分たちが誰よりも楽しむことが大切。自分が楽しめていないと長続きしない。好きな気持ちがないとできない」と、口々に語るメンバーたち。上演中でもまずは自分が楽しむことを大切にしています。
2つ目は「子どもが相手だからと言って手を抜かず、本気になってやる」こと。「本気度は観客に伝わる」ということをプロの公演から感じたことから、子どもたちにこそ本気を伝えるべく、常に全力で臨んでいます。
コロナ禍になってからは、公演依頼が激減(それ以前は年に30回以上公演)しましたが、練習だけは欠かさずに続けてきました。それは「セリフが飛んでもアドリブで合わせて演技をするため」なのだとか。何度も繰り返し練習することで、誰かがセリフを忘れてしまっても、他のメンバーがフォローに入れるようになると言います。
練習は重ねながらも公演活動は自粛していた同会ですが、今年に入り、感染対策を講じながらの公演を仕掛けはじめました。その一つには子ども食堂などと連携した公演の場も。千厩地域のみならず、一関全域で公演活動を行うべく、活動の幅を広げています。
「私たちの劇は、日々の日常を忘れられ、チームワークがないとできない劇」と語るメンバーたち。公演を見ていた観客も「一度見ると忘れることができないくらい生き生きと劇を演じていた」と称賛します。
メンバーの中には、公演で使用する道具を借りたことで縁がつながった人や、「夏のおはなし会」で人形劇を実際に見て入会を決めたという人も。「子どもが大きくなると絵本に触れる機会が少なくなるが、絵本には大人になったからこそ気づける視点もある」と、絵本に触れ続けられることも活動の醍醐味であるというメンバーたち。
「生きがい」を与えてくれる居場所であり、メンバーにとっても、観客にとっても「日常から少し距離をおける場所」として、絵本を通じた「心の栄養」を届け続けます。
ちば のりこ
千葉 典子さん
同会結成時からの代表(前身団体から参加)。多くの人に劇を届けるため、メディア等を通じた活動の紹介に尽力中。
A.居場所
かねこ りつこ
金子 律子さん
前身団体から活動に参加。同会の参謀的存在。メンバーで話し合ったことを実現させるため、具体的なアクションを常に考えています。
A.ひとしずくのエッセンス
同会が主催し、20年続けている夏休み特別企画「夏のおはなし会」。1時間の中に4つメニューを組み込みました。
エプロンを舞台に見立て、ポケットなどから人形を出したり付けたりしながら物語を展開する人形劇。もちろん手作りです
今回披露した人形劇は『ともだちくるかな』。手作りの愛嬌満点な人形たちが繰り出す一挙手一投足にみんな釘付け!
ホワイトボードを使って観客と一緒に楽しむ「絵かきうた」。おはなし会のはじまりに持ってくることで場が和みます。