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会長の菅野保宏さん
(idea 平成30年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会 長:菅野保宏さん
◆住 所:〒029-0302 一関市東山町長坂字久保208-8
◆電 話:0191-47-3141
◆活動日:毎週土曜日 18:30~20:00
◆場 所:旧松川公民館ホール(松川郵便局隣)
平成2年、東山町に新しい郷土芸能として創作太鼓「げいび大獅子太鼓」が誕生しました。演奏の途中で一対(雄雌)の大きな獅子が登場するのが特徴で、こうした形式は東北の中でも珍しいのだとか。奈良県を拠点として和太鼓で世界的に活躍する傍ら、全国各地で和太鼓グループを育成する活動も行う飛鳥大五郎氏が作曲と太鼓指導を手がけたこの「げいび大獅子太鼓」の誕生と同時に、会員の和をもってその太鼓を維持継承し発展させていこうと結成されたのが「げいび大獅子太鼓の会(以下「同会」)」です。今回は同会の三代目会長である菅野保宏さんにお話を伺いました。
同会が設立された平成2年頃は和太鼓のブームがあり、岩手も含め全国的に和太鼓のグループが誕生したそうです。「初代会長からの誘いで平成8年頃から入会した」という菅野さんですが、「数ある出演の中でも大相撲東関部屋が東山に巡業に来ていたご縁で平成13年に第64代横綱の曙(あけぼの)関の引退セレモニーに招待され、東京高輪のホテルで演奏したのが一番印象的」と振り返ります。かつては週2回の練習で腕を磨いたという同会は、平成9年にハワイで開催されたホノルルフェスティバルなど、地元東山だけでなく各地の大小様々なイベントや結婚式などにも出演し、日本太鼓ジュニアコンクールで平成23・24年に東北大会に出場するなどジュニアの部(高校生以下)の活躍もあり、輝かしい歴史を刻んできたと言えます。
しかし菅野さんは同会の現状について、「悩みも多い」と危機意識を隠しません。「全国的な人口減少もあり太鼓人口も減少しており、太鼓団体の中にも継続できなくなって解散している所もある」と語る菅野さんは、別に大人の練習参加率の低さも悩み。それぞれ事情もあるだろうが、意識の持ち方次第な所もあると思う。若い会員もおり、太鼓の活動を通じて人間的な幅も広がると思うので、意識を前向きにしつつ行動に繋げてもらえれば。私自身も気持ちや言葉だけでなく行動を伴わせていきたい」と、会員と自分自身へのある種の歯がゆさに対し、期待と決意の言葉を口にします。
平成25年の水害で、浸水により同会の太鼓がほとんど駄目になってしまった時に、宝くじの助成金に助けられた経験もある菅野さんは、「会員やイベントを通じて関わった方だけでなく、様々な人の支援を受けている。今でも口伝えで出演依頼の声をかけていただくのもありがたく、できるだけ断らないようにしている」と、『人との繋がりを大事に』という思いを語ります。
また、現状大人の参加が少なく順風満帆とは言えない練習の中にも明るい兆しが。「イチ・ニ・サン・シ~」と準備運動で始まり、ひとたびバチを持てばその目は小学生とは言え真剣そのもので、激しく太鼓を叩き続けます。太鼓の楽しさを尋ねるとある小学生は「みんなと協力して良い演奏が出来た時」と答えてくれましたが、これは『和太鼓は人の和をもって音とする。自己鍛錬し全員の和がとれたとき、それは完成する』という同会のモットーと期せずして合致しており、理念が継承されている証に思えます。さらにジュニア経験者が大人会員として参加し、自身の技術向上とジュニアの指導に関わる好循環も。響く「ヤーッ!」の掛け声と太鼓の音が、同会に灯る希望の光のように感じられました。
いわて太鼓フェスティバルにて。
※参加者大歓迎です!一緒に太鼓を叩いてみませんか?