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(idea 平成28年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代 表:佐藤敦子さん
◆連絡先:小山裕子さん(収録担当)
〒029-0803 一関市千厩町千厩宮敷90-3
◆電 話:0191-52-5382
千厩地域で、視覚に障がいのある方々へ一関市の広報いちのせきや議会だよりなどの音声テープを作成し配布している「声の広報」の皆さん。今回は、いつも音声を収録している千厩図書館で収録の様子やこれまでの活動について伺いました。
声の広報の活動は一関市内外でも様々な地域で取り組まれていますが、千厩地域では昭和52年に始めた1人の住民の取り組みが徐々に広がり、社会福祉協議会の協力も得て現在では12名の会員で活動しています。
岩手県立図書館の中にある点字図書館主催の音声訳研修に参加し、ノウハウを学んだり、他地域で同じ活動をしている人達と情報交換して、自分たちの活動に活かしてきました。
音声テープの収録は、毎月広報いちのせきの全市版と地域版が発行されたら、千厩図書館のミニシアターを借りて行われます。限られたテープの容量の中で、できるだけ多くの情報を伝えるために、読むページや特集を選び、メンバーの声や読み方の特徴に合わせてページを分担します。「声の広報は地域に暮らす人達へ発信された情報を、誰もが平等に得られるようにする活動。見て読んで話せれば誰でもできます」と話す収録担当の小山さん。しかし、いざ収録ブースに入ってマイクを前にすると緊張してしまう人もいます。小山さんは機材の扱いだけでなく、音声訳研修で学んだ知識や持前の明るさで、収録の合間にメンバーに声をかけ、読み方のアドバイスをしたり緊張をほぐしていきます。「姿が見えなくても、声を聞けば相手の姿勢や態度もイメージできます。聞き手に伝えようという気持ちが入ると読み方も変わり、読み手も読みやすくなります」と朗読の奥深さを語ります。
音声テープは音だけで情報を得るため、耳慣れない言葉や造語はその場で相談しながらわかりやすく言い換えするなどの配慮もされています。また、発音なども意味が伝われば、正しさにこだわり過ぎず、訛りや少し噛んだりしたところも愛嬌として残して「楽しく聞き流せる」をコンセプトに収録も和気あいあいと進められます。利用者の方からも「聞いていて少しくらいとちった所があってもクスッと笑えていい」という感想をもらったり、初めて会った際にも声で「いつも読んでくれている○○さんですね」と名前を呼んでもらえることもあるそうです。
これまでの活動を振り返り、「FMあすもが開局して、ラジオでも声の広報が始まった時に活動を続けるか悩みましたが、自分達だから伝えられることもあるかもしれないし、テープなら何度でも聞き返すことができます。また、声に出して読むことで広報の内容をより理解できるようになりました」と話す佐藤さん。メンバーの方々も「橋と端、箸のイントネーションの違いなどを瞬時に見て読むことは自分達の脳トレにもなっているんですよ」と笑顔で話します。
今回の取材では、音声収録も体験させていただきました。はじめは緊張して読み方も固くなっていましたが、「上手に読むことよりも伝えることを意識してみて」というアドバイスで気持ちも読み方も軽くなったのが自分でもわかりました。
声の広報の活動は情報だけでなく、まごころも一緒に届けていると気づくことができ、心が温かくなる取
材になりました。
収録の様子