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(idea 平成27年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会 長:熊谷保治さん(2代目会長)
◆連絡先:〒029-1201 一関市室根町折壁新館前77‐1(熊谷さんご自宅)
◆電 話:0191-64-2033
五穀豊穣を祈り踊る「田植踊り」は、東北地方を中心に小正月などに行う民俗芸能です。
かつて室根地域では、毎年1月17日に行われる南流神社の縁日の際に各地区の田植踊りの組が踊りを披露していましたが、現在田植踊りを継承しているのはわずか2団体。その内の1つ「大里田植踊り保存会」は、室根町の大里地区の住民を中心に結成された会です。
いつしか大里地区でも踊られなくなっていた田植踊りですが、昭和50年、大里地区の盆踊り大会に田植踊りの衣装で仮装して参加した人がいたことをきっかけに、「せっかくだから田植踊りを復活させてみようか」と、20~50代の若者たちで会を結成。彼らは田植踊りの経験がなかったため、地区内の経験者に指導を頼み、同年12月から練習を開始しました。
当初は大人たちだけでの活動でしたが、仕事との両立が難しく、昭和56年から地区の小学生を中心にした踊りへと変更。しかし、小学生の人数は毎年変わるため、人数不足により活動を休止せざるを得ない状況が数年続いてしまいました。
3度目の活動休止期間に入っていた平成21年、「子ども会で田植踊りに取り組みたい」という声が地区内の育成会から上がります。その時の育成会というのが、小学生を中心に踊り始めた第一期生の世代。小学生の頃の経験を思い出し、親となった今、「自分の子供たちに指導していきたい」という嬉しい声でした。
活動を再開した当初は、地区の敬老会で披露する程度で良いと考えていたそうですが、練習を重ねるにつれ、地域内の老人ホームでの新年会や、各種芸能発表会など、イベントなどに呼ばれて披露することも増えてきたそうです。
現在、地区内の小学生ほとんどが田植踊りに取り組んでいますが、それでも人数は13名。大里の田植踊りは、主役の弥十郎2人に、カッコと呼ばれる太鼓を叩きながらの踊り手が基本となり、そこに下座(歌あげ)と笛吹がつくため、最低でも10人は必要になります。また、子供たちは下座や笛吹の習得までは難しいため、大人たちが担当していましたが、近年は地区の中で笛吹を立てられず、他の団体にお願いしていました。しかし、発表の場が増えるにつれ、日程が合わずに引き受けてもらえない時があるため、地区内での笛吹の養成が今後の課題だと言います。
小学生が中心になっている以上、安定的に活動を続けることは難しい現状ですが「人数が減ってしまった時には大人たちが代わりに入り、発表の場も敬老会への参加のみにするなどして、休止ではない形で続けていきたい」と熊谷会長は今後を見据えます。「これからの目標は地区内の大人の参加。今は一期生だった若い女性たちが頑張ってくれているので、そこに続いて欲しい」と続けます。
幾度も休止時期を迎えながらも地区の若者によって復活を繰り返してきた大里の田植踊り。今後も地区内の交流を促す大切な橋渡し役として、何世代にも受け継がれて欲しいものです。