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「袰先陣」行列の様子
(idea 平成29年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆会 長:千葉 繁美 さん
◆事務局長:小山 眞正 さん
◆連 絡 先:〒029-1201 一関市室根町折壁字大里201-1
◆電 話:0191-64-2347
※上記連絡先、電話番号は室根市民センター
国の重要無形民俗文化財に指定されている「室根神社祭りのマツリバ行事」。養老2年(718年)に室根山へ熊野の神様が迎えられたことを記念する祭りで、平成30年には1300年祭が開催されます(※)。
この祭りの大きな特徴として、各種役割が先祖代々の世襲制によって受け継がれており(熊野の神を迎えたときの奉仕者の子孫など)、その役割の数は約60、人数にすると2500人以上にもなるとのこと。家系での継承のほか、集落単位で継承される役割もあり、地域の結束を強める要素ともなっています。
その半面、時代とともに、後継者の確保が厳しくなってきている現実も。「信仰心の薄れや金銭的な負担も影響している。昔は名誉だったものが、今では負の遺産と感じる人もいる」そう現状を見つめるのは「室根神社祭『マツリバ行事』袰先陣保存会」会長の千葉繁美さんです。千葉さんの住む折壁地区が担当するのは祭りの盛り上げ部分である「袰先陣」と「袰まつり」。折壁地区の7集落が担当ではありますが、これまでその取り仕切りは「家元」と呼ばれる家系が代々行ってきました。しかし、家元の家系で後継者の擁立が難しくなってきたことから、今後を見据え、今年3月に発足したのが同保存会です。
「祭りはみんなのもの。新たなつながりの中で良いものを創り出していくことが大切なのでは」との思いから、千葉さんが呼びかけ、検討を重ねました。足掛け3年で発足した同会は、54の構成団体の下に実行部隊として「総務」「曲ろく」「行列」の3部会を設け、さらにその元で実際の行列参加者が練習を行うため、総勢100名以上の大所帯です。
(※)平成30年10月26日(金)~28日(日)に開催
室根神社祭は旧暦の閏年の翌年が開催年であり、2~3年に1度の開催頻度。そのため袰先陣行列の歩き方や道具の作法など、経験者でも忘れてしまうことが多いということが課題でした。そこで、保存会の立ち上げを機に、「毎年何かしら練習の機会をもとう」という声があがり、今年は室根の夏祭りの中で袰先陣行列を行うことになりました。
「20代の新人も加わった。会ができたことで関わりやすくなったんじゃないかな」と千葉さん。順調に見える活動ですが、その活動にあたっては金銭的には文字通りの‘ゼロ’スタート。「切手代すらなかったよ。今は室根まちづくり協議会からも支援をもらい、市民に協賛金も募ることで、みんなでやるものだという意識付けをしていきたい」と、「祭りはみんなのもの」という熱い想いが千葉さんはじめ保存会の根底にあります。「1300年祭は二度とない。この機会に室根大祭を全市のものと位置付けていきたい」と抱負を語ります。
袰先陣行列は当日を迎えるまでに必ず20回の練習を持つこととされており、現在夏祭りでの行列に向けて練習の真っ最中。また、行列の練習以外にも、袰先陣・袰まつりにかかせない「曲ろく」と呼ばれる牡丹を模った巨大な造花の製作に「曲ろく部会」が取り組んでいこうとしています。
「祭りは人と人のつながりであり、生きる力・生きる喜びだ」千葉さんの心からの笑顔に、祭りの成功が見えた気がします。
初の試み・夏祭りでの袰先陣に向けての練習風景