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(idea 2019年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
昭和45年発足。地域内の各自治会(26自治会)から3人ずつ隊員として選出します。地域の消防団、自主防災組織などの関係団体と連携し、安全・安心な火災のないまちづくりを目指しています。
(事務局)
〒029-0202 一関市川崎町薄衣字町裏65-5
TEL 0191-43-0119(一関東消防署川崎分署内)
写真:視察研修の様子(宮城県名取市閖上地区「閖上の記憶」前にて)
来年で設立50周年を迎えるという川崎町婦人消防協力隊(以下「婦協」)。日々、川崎町内の防災活動に尽力し、今年9月1日(防災の日)、長年にわたり火災予防意識の高揚及び啓発に多大な貢献をされた功績を讃えられ、令和元年度岩手県幼少年婦人防火委員会から優良婦人消防協力隊として会長表彰を受賞しました。
「私達はそんなに特別なことはしていない。日頃の活動に隊員たちが一生懸命に取り組み、関係機関・団体が協力してくれたおかげで受賞できた」と謙遜しながら話すのは隊長の小野寺さち子さん。そして、「隊長は隊と地域のことを優先的に考え、率先して行動してくれる。だから婦協の隊員だけではなく、消防職員、消防団、住民からも信頼され、川崎の元気印にもなっている」と話すのは副隊長の石川文子さん、千葉恵美子さんです。今回はそんな3人に婦協の活動についてお話を伺ってきました。
「川崎は昔から防災意識が強い地域」と話すのは副隊長の千葉さん。現在、川崎には北上川、砂鉄川ともに立派な堤防が造られていますが、昔は堤防がなかったために水害が頻繁に発生し、多くの人々が大変な思いをしました。そのような経験から、川崎に住む人たちの防災意識は堤防ができた今も高く、関係機関・団体だけではなく、住民との協力体制もしっかり構築され、婦協の活動にも大きく関わっています。
婦協の主な活動は、火災予防への意識を高めるための啓発活動と、春と秋の年2回一人暮らし高齢者世帯を訪問(1地区あたりの訪問件数は平均4~5件)する防火査察。査察内容は、住宅用火災警報器が正常に作動するか、消火器の設置状態、火気使用器具などの確認ですが、婦協隊員だけでなく、民生児童委員、消防職員が3人1組となって訪問し、必要に応じて相談などの対応をとります。「火災予防だけではなく、高齢者の安否確認にもつながり、高齢者にも優しい『安全・安心なまちづくり』の推進にもなっている」と皆さんは話します。
そのほか、水防訓練や応急手当、応急炊き出しの演習、県内外への視察研修など、隊員自身の災害への備えや防災知識・意識向上につながる活動も行っています。
「婦協は消防団のバックアップをしながら、住民を安全に避難誘導させることも役目の一つです。そして、避難した人たちの支えに少しでもなれるように炊き出しをして美味しいご飯を提供する。いざ!という時に動けなければ婦協の意味がない。だからこそ訓練や講習は欠かせない」と小野寺さんは話します。
女性ならではのきめ細やかな配慮や、精神的な強さも含めた力強さが、避難者だけではなく、前線で活躍する消防職員と消防団にも安心感を与え、「背中を預けられる」そんな頼もしい存在となっているのかもしれません。
消防団や婦協のシンボルともなっている「法被」は昔、火消しの人たちが着用し、その上から水をかぶり、火が燃え移るのを防ぎながら消火にあたっていたと言われています。
一関市では合併をきっかけに、平成25年から全域の消防団や婦協の法被を統一していますが、合併前は各地域オリジナルの法被がありました。「昭和45年から使われてきた婦協の法被には様々な思いが詰め込まれている。これを失くすのはもったいない」とその法被に目を付けたのは隊長の小野寺さん。「川崎」の文字が印字された法被を使い、隊長自らが約3か月をかけて全隊員の手提げバックを作製。このバックは、婦協の活動のときには持って歩くようにし、隊員を交代するときはバックがバトンの役割を果たします。副隊長2人は、「隊長が作ってくれたバックは川崎の婦協にしかないもので、他の地域からも羨ましいという声を聞く。これは隊員全員のお守りにもなっている」と話します。
「昔の人たちがつないできてくれたバトンは後世へしっかり受け継ぎ、これからも防災活動に尽力します。『女性だからできない』ではなく『女性にしかできないことをやる』。女の人の力はすごいですよ」と話す小野寺さん。今日も元気印の隊長を中心に、川崎の「安全・安心なまちづくり」に貢献しています。
おのでらさちこ
小野寺さち子さん
隊長歴:11年目
本職は看護師!さち子さんが作るきゅうりの「からし漬け」は、消防職員や婦協の隊員からも好評。川崎の“お母さん”的存在。
いしかわふみこ
石川文子さん
副隊長歴:5年目
隊長を支える副隊長の1人。文子さんも仕事をしながら婦協の活動に尽力。隊長とともにこれからも川崎の安全を見守っていきます。
婦協同士の集まりでも「川崎」の文字を目印に隊員を見つけることが可能。A4サイズの書類がスッポリ入ります。
応急炊き出し訓練の様子。食材があるとは限らない緊急時、最も身近にあるお米でおにぎりを作り、避難した人へ届けます。
令和元年度一関市消防団川崎地域消防演習で行った応急手当と心肺蘇生法。すべては大切な命を守るため!
宮城県仙台市消防局若林消防署六郷分署へ視察研修に行き、他地域の防災の取り組みを勉強。真剣さが伝わる後ろ姿です。