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(idea 平成26年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
保存会会長:菅原 豊一さん
連絡先:〒029-3401 一関市大東町猿沢字宿通前15
電 話:0191-76-2411
一関市大東町猿沢の峠地区は、大町裏、宿通、山滝、大久保の4集落から成る、自然豊かな中山間地で、古くから伝わる神楽を受け継ぎ、住民一丸となって神楽衆の育成に取り組んでいます。
今年で継承150周年を迎える猿沢峠山伏神楽。正式には「早池峰系大償野口斎部流猿沢峠山伏神楽」といい、地域の言い伝えによると、「江戸時代の文久元年に同地区の峠金山が大変栄えたと同時に、若者の風紀が乱れ、青少年に悪影響がでた。このことを心配した地元の村上友十郎・新山久之助・菅原吉之助らが和賀郡東晴山(現花巻市東和町)に伝わる大償神楽の流れを汲む山伏神楽野口流の教えを横川瀬平氏から受け、峠地区の青少年に健全娯楽として教え、風紀の乱れを一掃した」とされています。同神楽は終戦後に廃絶寸前まで消えかかったことがありましたが、昭和31年に地元の神楽研究家である村上護郎氏が大償から佐々木直見、藤原貞治の両氏を招いて稽古をし直し、現在も大切に継承されています。
「昔は今のようにビデオなど、演舞の記録を残すものがなく、口で伝えられてきたんだよ」と語る神楽代表の小野寺さん。38年間神楽太鼓を担当し、その独特なリズムは見聞きして先代から教わったとのこと。受け継ぐ姿勢、守る姿勢、育てる姿勢が整い地域の絆として引き継がれていることが、取材から伺うことができました。
猿沢峠山伏神楽保存会は、昭和58年8月に峠自治会内に設立され、地区内の約80戸の全世帯が加入しています。神楽衆は、20代から60代までの16名と保育園から高校生までの子ども組で構成されており、特に、後継者対策として子ども神楽の育成に力を入れています。「集落の家庭のほとんどが、代々何らかの形で神楽に関わってきたからね。協力体制がしっかりと集落に根付いているんです。」と保存会会長の菅原さんは語り、「我々が小さかった頃、祭りと言えば神楽を見るのが楽しみで、神楽衆はすごく人気だったんだよ。今は、神楽以外にもたくさんの楽しみ方があり、価値観も様々になってきた。時代は変化しつつあるけれど、この地で代々受け継がれてきた神楽をこれからも支え若者の育成に力を入れていきたい」と続けます。
平成6年には、町の(当時の大東町)無形民俗文化財に指定され、峠地区だけではなく猿沢地域全体で保存事業を受け入れる体制が整い、地域の伝統神楽として、猿沢神社の例大祭を中心に、御祝事での演舞の他、市内外のイベントに出演しています。
取材を行ったのは、梅雨真っただ中の6月でした。神楽代表の小野寺さんから「7月21日(月・祝)に150周年を記念した神楽公演を開催するんですよ」という情報をいただきました。その様子を是非何らかの形で読者の皆様に提供が出来ればいいなと思っております。
昭和46年まで猿沢小学校峠分校であった跡地を改装した「峠自治会館」で、毎週木曜日の夜に神楽の練習を行っています。