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写真: 利用者の作業風景
(idea 2021年3年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
昭和59年1月法人認可、同年4月に「知的障害者更生施設ふじの実学園」開設。以後、藤沢町を中心に事業所を複数開設し、平成21年4月には川崎町にも事業所を開設。現在、大別すると6施設で複数の福祉サービス事業を展開中。
〒029-3402 一関市藤沢町新沼字西風46番地8
TEL:0191-63-5321 FAX:0191-63-5325(法人本部)
知的障害者の教育、福祉、就労などの施策の整備・充実を求め、昭和30年前後、全国で「手をつなぐ親の会(通称)」が結成され、障害者福祉施設の設置運動が行われました。
昭和55年、当地域においても「東磐井郡手をつなぐ親の会」が同様の運動を展開。広域圏事業として動き始めると、いち早く設置に手を挙げたのが当時の藤沢町。「地域の財産」という位置づけで、財政支援のほか、職員派遣でも協力し、町をあげて立ち上げに尽力したのが「社会福祉法人ふじの実会」です。
昭和59年、軽中度の知的障害者入所施設(ふじの実学園)を開設しますが、「この頃は障害者福祉のあり方が大規模障害者収容施設型から地域生活型へと切り替わった頃。そのため、大規模な障害者入所施設としては県内最後の施設かもしれない」と、常務理事の畠山弘一さんは振り返ります。時代に逆らうような50人定員での開設でしたが、すぐに定員に達し、定員の増員や重度棟の開設(後の第二ふじの実学園)が続きます。
大規模入所施設も残しつつ、現在は地域生活型のグループホームの拡充にも力を注ぐなど、地域のニーズに寄り添いながら、「地域の財産」という位置づけを守り続ける同法人の沿革とこれからを伺いました。
同法人の最大の特徴とも言えるのが、旧藤沢町内の全戸が後援会の会員になっているということ(原則)。地域の財産を「みんなで支える」という旧藤沢町の想いの表れであり、自治会を経由して会費が集められます。また、法人運営に評議員制を導入していますが、そこにも町内の43自治会が参加。
こうした「地域を巻き込む」姿勢について、畠山さんは「ふじの実会の『原点』であり、『存在価値』だと思う」とした一方で、「残念ながら近年では『なぜ自治会が法人運営に協力しなければいけないのか』という声も上がり始めている。地域にも、職員にも、『原点』を忘れて欲しくない」と、地域との関係性の変化を課題視しています。
「地域の財産」であり続けるため、「意図的に地域との関係を創り出している」という同法人。「ふじの実会3大行事」の盆踊り大会(8月)、ふじの実祭(10月)、どんと祭(1月)では、地域住民も多数参加。盆踊り大会においては実行委員会形式とし、後援会側が主体となることで、地域住民と一緒に作りあげるイベントという位置づけにしています。
顕在化してきた課題にもう一つ、利用者の高齢化が挙げられます。利用者の保護者も高齢化する中で、同法人施設を我が子の「終の棲家」として捉えられがちであると言う畠山さんは「施設の本来の意味合いとして『看取り』はできない」と否定した上で、「指定障害者支援施設は介護保険適用除外施設であり、現状では介護保険の被保険者にはなれない。そのため80代になっても介護保険サービスを利用できず、最期は医療機関に行くしかない利用者も出てきている」と苦しい現実を語ります
。
また、グループホーム需要が増す中で、地区内の空き家活用の声が寄せられることが増えており、実際に民家や空き物件を利活用したホームも。しかし、グループホームは自立支援の一環であり、利用者は徒歩や公共交通での移動が原則であるため、「立派な物件でも、インフラが整わないと活用できない」と、期待に応えられないことも多いのだとか。さらには朝・夕の食事提供等を担う世話人さんの確保も容易ではない現状が……。
課題は多くありますが、「就労継続支援B型事業所」である「ワークジョイふじの実」「ワークジョイかわさき」では、利用者の出勤率も90%以上、受託作業等も途切れることなく入り続けるなど、利用者と職員が一丸となって作業に取り組んでいます。
「大人気のシフォンケーキや菓子パンなど、当事業所は出店担当のような位置づけ。他法人主催のイベントや地域行事にも出店し、地域に『参画』するようにしている。当事業所が立地する高成自治会の活動にも積極的に参加しています」と、笑顔を見せるワークジョイかわさきの阿部卓郎施設長。
「地域に根差し、地域に開かれた施設運営」を法人理念の一つに掲げ、同法人の歩みは続きます。
はたけやま こういち
畠山 公一さん
旧藤沢町で町会議員を務めていた畠山さん。議員として法人を見守り、平成21年からは常務理事として法人運営を支えています。
A.支える
あべ たくろう
阿部 卓郎さん
数少ない生え抜き職員の阿部さん。ワークジョイかわさきは同法人新入職員の所属先になることが多く、人材育成にも力を注ぎます。
A.教えるのではなく利用者から教えられる‼
法人本部は平成12年に開設された「第二ふじの実学園」の中に。現在の法人理事長は元藤沢町長の畠山博氏が務めています。
ヘルメットのパーツ製造など、地元企業からの受託作業も多い同法人。利用者は自分の希望する作業を選択しています。
「シフォンケーキまつり」を開催するほど大人気の看板商品。季節限定の味も合わせると13種類ものバリエーションが!
現在、グループホームは藤沢町に7戸、千厩町に1戸。各ホームの定員は3~10人と物件規模に応じて幅があります。