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「花クラブ」のみなさん
(idea 平成29年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆事務局長:佐々木康博
◆連絡方法:毎週土曜日の練習の際に直接お越しください。
◇練習日時:毎週土曜日 朝6時~7時半
◇練習場所:永井小学校グラウンド(花泉町永井岫前148)
10月のとある土曜日、千厩野球場にて0対17の5回コールド負けを喫した野球クラブがあります。何と声をかけようか悩んでいる私に「今日のは良い方だよ。36点取られたこともあるからね。2時間以内で終わっただけ優秀」と笑顔を見せてくれたのは「花クラブ」事務局長兼監督の佐々木さん。花クラブを立ち上げるための声がけをした当事者でもあります。
花クラブは花泉で唯一の40歳~60歳代を対象としたシニア軟式野球チーム。現在のメンバーは27人、その平均年齢は約56歳。この日の試合に出場したのは全員が50歳以上。対して相手はほぼ40歳代だったということで、惨敗も無理はありません。
「勝ち負けが問題じゃないんだよ。良い反省会ができるかが問題。今日は反省会に持ち込める良いプレーがあったからそれで充分」と佐々木さんは笑います。
3年前に佐々木さんの呼びかけで発足した「花クラブ」。きっかけとなったのは東日本大震災でした。花泉は大きく7つの地域に分かれていますが、7つを横断するネットワークが身近になく、町内の他地域の情報がなかなか掴めなかったのだとか。そんな時に感じたのが「電話一本で動ける‘人間的なつながり’」の必要性。「みんな孤立してしまった。連絡できる相手がすぐに見つからない状況。普段から気楽な付き合いをしている人がいれば電話しやすいのに」そこで目をつけたのが野球でした。
花泉には地域を越えて40歳までが加入できるチームが1つありますが、その卒業後の受け皿がなく、野球を辞めてしまえば自然と付き合いも減っていくのが現状だったそうです。しかし、40歳以上の野球チームができれば、野球を続けることができるだけではなく、地域を越えた横のつながりも持続させることができるのではないかと考えました。「いざという時には、形式ばった組織よりも、人間的な付き合いをしている人同士の方が動きやすいし声をかけやすい。あえて‘地域づくり活動’などと意識しない活動をしていた方が動けることもある」と、佐々木さんは語ります。実際、飲み会の席では野球以外のことも「やってみっぺし」という声があがると言います。
「花クラブ」は毎週土曜日に永井小学校の校庭を借りて練習を行っています(参加人数が少ない時にはお休みする場合もあり)。普段の練習参加者は約10人。大会は年に5つあるそうですが、シニアのチームは数が少ないため「そのうち3つは即県大会なんだよ。だから練習来ないんだよね」と、笑う佐々木さん。
飲み会にしか参加しないメンバーもいると言いますが、「野球」だけが共通点であり、地域も職業も年齢もバラバラなメンバーが集まって話をするというだけでも充分有意義なこと。「うちは野球経験なくても入れます!勝ち負けは気にしていませんから」佐々木さんをはじめ、メンバーのみなさんの表情はやんちゃな少年そのもの。そこには確かに「人間的なつながり」がありました。シニアになっても大好きな野球を続けられる受け皿であり、有事の際の即戦力として、「花クラブ」の‘守備’に期待しています。
2失点に抑えた最終回(5回裏)。
疲労感が漂う中、グラウンドには佐々木監督の愉快な声援が響いていました。