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手芸の会の皆さんと住職の澁谷真之(まさゆき)さん
(idea 平成30年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆代 表:吉田てい子さん
◆住 所:〒029-3521
一関市藤沢町保呂羽字和田18
◆電 話:0191-63-3988(長徳寺)
藤沢町保呂羽地区の長徳寺では「慶壽庵(けいじゅあん)」という宗派・地域問わず、誰でも気軽に集まれる場を開いています。今回は、この慶壽庵から生まれた手芸の会や地域との交流などについて、会員の皆さんと長徳寺住職の渋谷真之さんにお話を伺いました。
会の始まりは、平成22年に現代表の吉田てい子さんが地域の人が集まって手芸をできる場として長徳寺を使わせてほしいと相談したのがきっかけ。徐々に参加者が増え、現在は毎月第2・4火曜日におやつを持ち寄り、手芸や会話を楽しんでいます。
人が集まるようになってからは「ただ作るだけでなく、目標を持とう」と毎年開かれる一関市藤沢町文化祭と長徳寺蘇民祭での作品展示を目標に取り組むようになりました。
特に蘇民祭の時にお寺の本堂に飾られる藤の花(藤沢町時代の町花)のつるし飾りの数は圧巻で「阿弥陀様もびっくりするくらい!」と会員の方は話します。お土産用蘇民袋にも藤の花を刺繍したり、先代の住職が亡くなられた際には生前使っていた白衣を使って和尚さんのぬいぐるみを作ったり、次々と出て来るアイディアに渋谷さんも驚かされるそうです。「みんなアイディアウーマンだから」と吉田さんは笑いつつも「こんなことが許されるお寺はないよ。こういう場を提供してもらい、長く使わせてもらえるおかげ」と感謝を交えながらこれまでの活動を振り返ります。渋谷さんも「場所を提供しただけで、会の皆さんが自ら動き出したことで活動が広がっている」と慶壽庵を開いたことで住民主体の活動が生まれたことを喜んでいました。
作品づくりだけでなく、活動が始まって翌年の東日本大震災の際には室根の旧津谷川小学校に避難してきた人達へお弁当を作ったり、千羽鶴のつるし飾りや裁縫道具を届けました。
また、デイサービスなどの施設にも作品を展示するようになり、渋谷さんが市外の施設に訪問する際にも作品を持って行き展示されたことがきっかけで、施設の方々が藤沢に訪れたり、交流が広がっています。
作品の展示だけでなく、特別養護老人ホーム光栄荘で行っている地域交流事業へも、参加できる会員がボランティアとして参加しており、施設利用者や職員、地域の人達と交流を深めるほか、昨年開催された藤沢病院ナイトスクールでの光栄荘の職員・地域の皆さんによる認知症や包括ケアについて考える演劇は、手芸の会が脚本のモデルとなり、会員や渋谷さんもキャストとして出演しました。
会員の中には「手芸の会に通うようになって気軽に話せる場ができた」と話す人もおり、渋谷さんは「私自身も手芸の会の活動を通して心のケアについて学ばせてもらっています。お茶っこ飲みやボランティアを通じた話し合える場づくりと交流、作品づくりや展示などの目的を持った活動とその表現による癒しなどが心の拠り所となっています。今の活動に限らず、男性も囲碁や将棋、俳句など何でもいいので、慶壽庵が人が集い、コミュニティが生まれる場になってもらえれば」と今後の発展にも期待を寄せていました。
長徳寺に飾られている藤の花のつるし飾り