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理事会後の集合写真(令和5年12月)
(idea 2024年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
平成2年10月発足、平成13年2月に法人化。主に4つの委員会(事業委員会・奨励委員会・子ども委員会・総務委員会)で独自の文化事業等を企画。現在の会員は、正会員が個人56名と4団体、賛助会員が個人34名と1団体(令和5年4月時点)。
住所 一関市大手町2-16(一関文化センター内)
TEL 0191-32-4333
昭和63年、「ふるさと創生1億円事業(通称)」で各市町村に1億円の交付金が配分されました。一関市(当時)においてもその使途を検討するため、平成元年1月に市民からの意見や提言を募集。188件もの声が寄せられました。
集まった意見等を基に使途の検討を行うため、平成元年4月、市内の文化・教育・福祉団体や学識者などで構成する「一関ふるさと創生懇談会」を設置。その中で必要性が高いと考えられたのが「行政では踏み込めない分野※1での市民が取り組む文化活動の推進」でした。文化活動の推進を図るため、1億円の交付金を「ふるさと創生基金」とする案で、平成元年9月、一関市長(当時)へ答申が提出されました。
※1 文化的な魅力あるまちづくりに関する提言、文化及び教育における表彰事業、芸術文化の推進、生活文化の向上に関する事業、文化活動に対する奨励等
同交付金が基金化されると、平成2年10月、基金の「果実(=利息)」を財源とし、「地域の特色ある文化を育み、潤いと安らぎのある郷土を創るため、一関市民が行う文化活動の推進及び支援に関する事業を行い、以て市民の生活文化の向上に寄与する」ことを目的とする「一関文化会議所」が発足。公設民営の団体ですが、文化活動に新たな息吹を吹き込む取り組みとして、多くの期待を背負ってのスタートでした。
一関文化センター内に事務所を構えると、平成3年度より助成事業を開始(平成8年度~平成27年度は奨励事業として展開)します。歴史、音楽、郷土芸能、美術等、市内で文化活動に取り組む様々な団体の活動を支援してきました。
同会の性格上、設立時から法人化を模索していましたが、当時は適当な法人がありませんでした。
転機となったのが、平成10年3月公布の「特定非営利活動促進法」。発足10周年を目前にして「手の届く法人格」ができ、10周年記念事業の準備と同時進行で特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を得るべく定款等の検討を重ねます。平成12年10月、記念式典開催同月に設立認証申請書を提出、そして平成13年2月、晴れて念願の法人化を果たします。
組織基盤が固まり、活動も20年目を迎えるという頃、一関市で公共施設の指定管理者制度が導入され始め、同会にも一関文化センターの指定管理が打診されます。「市民が芸術・文化に親しむ施設」である一関文化センターに加え、一関勤労青少年ホーム、一関市女性センターも受託し、「当市文化の拠点施設」として最大限に機能するよう、努めています。
発足当初から委員会形式で各事業の企画立案を行ってきた同会ですが、時代や実情に合わせ、委員会の形態や事業内容などをブラッシュアップしてきました。
現在は、理事を中心に、事業委員会(「一関ふるさと学習院」の開催、文化講座集録の編集・刊行等)、奨励委員会(顕彰事業「一関文化賞・奨励賞」の贈呈)、子ども委員会(「一関ふるさと子ども探検隊」の実施、「東大生出前科学授業」の開催等)、総務委員会(研修・視察事業、「会報」の編集・発行等)という構成で活動しています。
文化・芸術振興、まちづくり・地域づくりなどに顕著な功績のあった個人または団体へ贈られる「一関文化賞」は平成3年から続く事業です。理事長の内田正好さんは、「各分野で地道に活動している個人や団体に敬意を表し顕彰しているものです。私たちが活動で大事にしているのは、創設時の初心を忘れずに市内の文化活動や地域づくりなどで頑張る人たちを応援していくことです」と話します。
同会理事で一関文化センター館長の佐藤武生さんは、「発足当初は助成事業に力を入れていたようですが、今は顕彰事業に加え、ふるさと学習などの自主事業にも取り組んでいます。一関の文化活動をどのような形で支援したら良いか、先輩方は本当に手探りだったと思う」と、苦労をねぎらいます。
来年で同会は35年目。設立時の背景を知る人は少なくなりましたが、10年毎に記念誌をまとめてきたこともあり、今日まで活動の軌跡を繋いできました。これからも設立時に掲げた「『ふるさと創生』『文化創造の心』を基本理念に『潤いと安らぎのある郷土創りと文化的な魅力あるまちづくり』」を目指し、活動し続けます。
うちだ まさよし
内田 正好さん
平成26年から現職。市内の文化や歴史等、紙芝居を交えた講演が好評でサロンや市民センターなどからの講師依頼が絶えません。
A.心を豊かにする文化・芸術
さとう たけお
佐藤 武生さん
「NPO法人一関のなかなか遺産を考える会」の理事長でもあり、地元・達古袋(厳美)の歴史を伝える活動にも力を入れています。
A.市民の文化活動の黒衣役
平成14年から実施している「一関ふるさと学習院」は、市内だけでなく近郊地域の歴史・文化を学ぶことができます。
令和5年度「一関文化賞」は2団体が受賞。受賞者には、表彰状とトロフィー、金一封を授与し、功績を称えます。
東京大学の学生が講師を務める「出前科学授業」は、現役東大生と触れ合える機会とあって、子どもに人気の事業です。
記念誌はじめ、講座の集録集、市内の史跡や文化財をまとめた一関文化マップなど、10冊以上の書籍を刊行しています。