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(idea 平成25年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
理事長:佐藤静雄さん
事業局:〒029-1201 一関市室根町折壁字篠原149-1
電 話:0191-64-3439 担当/市嶋豊さん
法人認定日:2010年2月22日
NPO法人とーばんふうどくらぶは、東磐井地域内外の住民に対し、グリーンツーリズムの推進と食材の生産加工に関する事業を行い、地域活性化と交流人口拡大に寄与することを目指し活動しています。主な事業内容は、農村・農家体験、物産展や景観向上を目的とした竹林整備等。近年は、国で進めている絆プロジェクトやニューツーリズム協議会の行事に協力し、国内外の学生や修学旅行生の民泊を受け入れ、日本古来の農家の生活を体感してもらうと共に、東磐井の魅力を伝えています。
「農村に目を向けてもらう、関心を持ってもらうお手伝いがしたい。」そう話すのは、団体理事を務めて7年目になる佐藤静雄さん。自宅である観樂樓は、平成19年に開業以来、宿泊や行事を通じて多くの人が訪れています。観樂樓は藤沢町にある築約130年の古民家で、台所には囲炉裏があり、天井には茅葺屋根の名残も見られます。奥座敷の客間は、大人8名が布団を敷いて寝られるほど広く、3.7mもある天井の高さを見ると、都会から来た宿泊客は特に感動するとのことです。
お客様に食べてもらう朝夕の食事は、佐藤さん自らが心を込めて手作りしています。朱色のお盆に盛り付けられたおかずは、お煮しめ、漬物、刺身、納豆、焼き魚等、日本人が昔から親しんできた家庭料理がメインで、夕食では佐藤さんが製造したどぶろくも振る舞います。刺身は、気仙沼から魚屋さんが当日の朝に仕入れてきた新鮮な物を使っているため、食べたお客様からは「自分の地元の刺身より活きがいい」、「藤沢は蛸の産地だ」と絶賛されるとのこと。
また、観樂樓の裏にはフラワーガーデンがあり、花桃、つつじ、サツキ等の花木や植木が7千本以上植栽されています。毎年5月~10月は季節に応じた体験メニューを用意しており、5月上旬は「花祭り」を開催。200本もある花桃の木の花が開き、美しいピンク色に包まれたガーデンを写真に収めるため、毎年多くのカメラマンやメディアが撮影に訪れます。ここを訪れたお客様に、「初めて来た気がしない」「何度も来ているようだ」「懐かしい気分になる」と言われた時は、とても嬉しかったと佐藤さんは顔をほころばせました。
このほか、佐藤さんは「あんちゃんのどぶろく」という濁酒を製造・販売しています。平成22年から製造を始め、登録銘柄は三種類。どぶろく工房の中に保蔵してある醪を特別に味見させてもらうと、柔らかい醪の感触と一緒に、甘く優しい味と香りが口の中に広がりました。この味を出すために毎日温度管理を徹底し、美味しくできるようにと願いを込めて作っています。
佐藤さんは、「私達の活動の狙いは、都市との交流です。田舎や農村への知識を深めてもらうために、地域に足を運んでもらえるような環境づくりをしていきたい。時間が経っても、またこの風景を思い出してほしい。」と想いを語ってくれました。宿泊者との思い出話を嬉しそうに話す佐藤さんの笑顔からは、地域を愛し、人と人との繋がりを大切にしている気持ちがしみじみと伝わってきました。