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(idea 2020年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「高齢になっても生き生きと地域で暮らしたい」という思いと「豊富な地域資源の活用」を目的に発足。空き店舗を利用した集いの場の運営のほか、地元の蓬莱山(通称よもぎ山)で自生しているヨモギを練りこんだ乾燥麺などの開発・販売等を手掛けています。
〒029-0602 一関市大東町鳥海字西丑石86-1
TEL 090-7526-2856 (隊長・佐藤)
写真:平成29年に開設した「ほっこりカフェ」と隊員たち
大東町興田の中心地から北に6㎞弱、旧丑石小学校区の有志が中心となって発足した「H28レディース『蓬莱の郷』地域活性化隊」。その名の通り、集落の女性たちが地域資源を活用し地域を元気にしていこうと平成28年に立ち上げた団体です。
隊長を務めるのは丑石自治会の自治会長でもある、佐藤真由美さん。佐藤さんは千葉県出身で、結婚後、子育て環境を考え、旦那さんの地元・大東町興田に移住してきました。「移住当初は生まれ育った環境とまったく違った世界(農家)に戸惑いがありましたが、今となっては自然の恵みに生かされていることを実感。生活しているだけで四季を感じられる」と丑石の魅力を表現します。
団体を立ち上げるきっかけは職場(高齢者介護施設)の同僚との何気ない会話でした。「定年退職後はどうするか」「高齢になっても地元で収入を得て暮らせないだろうか」「なんだか最近地域に元気がなくなってきた」「山に山菜を取りに行く時期になった」など、たまたま同じ集落在住で年の近い同僚が職場内にいたことで、「こうしたたわいもない会話の中身をつなぐと私たちにも何かできるんじゃないか」という発想にたどり着いたのだとか。
当時、一関市では「農村地域活性化モデル支援事業」の実施団体を募集しており、「退職後、地域を元気にするためにできること」を探すべく説明会に参加。参加者同士の情報交換で刺激を受け、「丑石の自然資源を活用した特産品の開発」と「それらが飲食可能なスペース=集える場を運営」することを軸に掲げ、5名の地域内有志で団体化し、同事業に手を挙げました。
丑石と奥州市江刺にまたがる蓬莱山は、「よもぎ山」とも呼ばれ、ヨモギが豊富に自生。独特の香りがあるヨモギは、若い葉は食用に、生葉は止血材に、干した葉は健胃、下痢、貧血など多くの薬効を得るためにお茶として利用されてきました。
この薬効に着目し、粉末にしたヨモギを様々な食材に練りこみ、商品開発を行ってきた同隊。その成果として商品化させたのが「蓬莱山のよもぎうどん」です。平成30年からは、市内の産直や道の駅で販売しているほか、市内の各種イベントへの出店も行っており、ほのかなヨモギの香りとつるんとしたのど越しの良さが好評を得ています。
半面、商品化したことで発足当初の意欲が減退した感も否めないという同隊は、活動の一助を担ってもらうことを期待し、令和2年4月から「緑のふるさと協力隊」を受け入れました。
派遣されたのは奈良県出身の金山周平さん。来年3月までの1年間、地区内の空き家に居住し、同隊とともに農作業や地域行事、伝統芸能活動など様々な活動に取り組みます。
金山さんは「初めて一関に着いたときは『意外と街だな』と思ったが、大東町に向かうまでの間に山が増え、摺沢を越えて興田地区に向かう頃には見事に何もなくて……」と冗談交じりに同地区の第一印象を語りながらも「地域の方々から声をかけていただき、色々な経験をさせていただいている。残り期間は少ないものの、少しでも活性化隊のPRに繋げられるよう情報発信にも努めていきたい」と同隊における自身の役割について語ります。
商品開発と並行して同隊が取り組んできたのが「集いの場」の創出。地区内の空き店舗(元美容室)を改装し、平成29年5月に開設したのが「ほっこりカフェ」です。カフェと言っても月に1回、参加者が季節の野菜などを調理し、お茶飲みをするサロン的な集いで、高齢者の介護予防が主軸。健康体操、創作活動、遠足、季節行事なども織り交ぜながら、同隊員が企画運営を行います。将来的には高齢者だけでなく、各種世代が交流できる場として展開していきたいという構想もあるのだとか。
現在は7名の隊員で活動する同隊。「発足から5年。当初は『あれもしたい、これもしたい』とみなぎっていた力も、様々な取り組みが形となる中で満足してしまっているところもある。高齢者の手仕事や地元での収入源の創出のために、さらなる商品開発を行うとともに、地元食材を使った農家レストランのようなものも視野に、前進していきたい」と隊長の佐藤さん。女性ならではの視点とパワーで今後も蓬莱の郷を盛り上げます。
さとうまゆみ
佐藤真由美さん
若い頃は、千葉県の合唱団に所属しており、よく通る素敵な声が印象的。趣味は山菜取りで「地元の山は宝の山」とのこと。
A.人生の糧
かなやましゅうへい
金山周平さん
田舎暮らしに興味を持つ地元の友人を呼ぶことが任期中の野望。夏野菜を上手に栽培できたことに感動したのだとか。
A.心のビタミン♡
毎月第3土曜日に開設。地域の方々が地元食材を用いた料理を持ち寄ります。いずれは農家レストランへの発展が目標!
丑石で体験するほとんどのことが人生初の体験だという金山さん。若い力を見込んであちこちから声がかかります。
4月にパッケージを新調。よもぎうどんを使った料理教室なども企画中!よもぎパウダーやよもぎ茶も商品化、販売中です。
女性有志による団体結成秘話、地域資源への着目、カフェの運営等、話題性あふれる同団体。視察研修も快く受け入れます。