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区長 三浦善昭さん
(idea 平成29年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
◆区長:三浦善昭さん(1期2年目)
◆達古袋4区は12戸47人が暮らす中山間地域です。江戸時代後期に起きた天保の大飢饉で、食料
を求め住民の約半数が秋田県に移住したという歴史があります。
一関市博物館から国道342号線を西に3.2km進み、「樹木葬」の看板が立つ十字路を南下した先にある長倉集落(達古袋4区)。東西に細長い地形をしており、山林に囲まれ、主要道路を沿うように流れる久保川は地域の自然や田畑を潤しています。
平成27年度に区長に就任した三浦善昭さんは、若い頃から農業一筋で、県から「青年農業士」の認定を受けるなど地域農業の振興を担い技術向上や高い農業経営を目指す取り組みを行ってきました。「長倉集落では中山間事業が盛ん。農家の中には、稲作を休み牧草をつくっている転作農家も多い」と三浦さんは話します。地域の高齢化は進んでいるものの、農作業で体が鍛えられ丈夫な方が多く、行っている支援は見守り程度だといいます。人口は厳美21行政区の中で最も少ないですが、人口が少ないためお互いの顔がわかりまとまりがあるのが強み。「一声かければ皆が相談にのってくれる」と笑みをこぼします。
長倉集落は豪雪地域で、市街地の2~3倍の積雪があります。季節になると集落内の道路を除雪車が通りますが、土側溝への脱輪を避けるために除雪し残した雪を、地元有志で組織したスノーバスターズがトラクターで除雪する取り組みを4年間継続。農村地域での主な交通手段は車なので、道路に関する問題は住民の関心度が高く「いざという時は皆で力を出し合い団結する」と力強い言葉をいただきました。15年前から道路の拡張工事を始め、今では緊急車両や市営バスが余裕で通れるまでになっています。このほか、過去に起きたボヤ騒ぎでは消防車が到着する前に住民がポンプで初期消火を行ったり、冬は「屋根からの落雪を年配の方だけで片づけるのは大変」と周辺の方たちが積極的に手伝うなど、日頃から「近助」が当たり前にできている様子を伺いました。
三浦さん宅の向かい側には「ながくら『美しい里山』」という山林に囲まれた広場があります。そこは昔、三浦さんの祖父が観光栗園にしようと9町歩の面積に栗の木を植えた場所であり、周辺では椎茸などのキノコ、木の実や山菜といった山の幸が豊富にあります。その場所を活用し、地域の方に自然と触れ合う楽しさを体験してもらおうと15年ほど前から「ながくら里山まつり(ながくら地区里山づくり協議会主催)」を毎年秋に開催。三浦さんのお父様が同協議会の代表を務め、山仕事をしている方々を中心に組織し、間伐体験や薪割り、竹細工、自然散策、鉄製の炭窯で行う竹炭づくりなど、里山の多面的機能を活かしたイベントを企画。
当日は地区内外の子どもや若者30名ほどが参加し、山に明るい声が響きます。三浦さんは「里山の山頂から見える須川は、イベントに参加した方しか見られない絶景。集落に人が集まり、里山が人の交流に役立っているのは嬉しい」と語っていただきました。
ながくら里山まつりの会場には、手作りの小屋や炭窯があり子どもたちが元気に駆け回ります。