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例年10月に開催している自主防災活動の一コマ
(idea 2020年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
県道19号一関大東線沿い(摺沢駐在所やドラッグストアの並ぶ辺り)及びそこから山間部にかけて広がる集落で、65世帯143人が暮らす。JR摺沢駅にも近いため、集落内に新築アパートが建設されるなど、新旧住民が入り混じる中で活動を展開中。
「昔は民家7軒ほどで、この辺りは田んぼや畑だった」と振り返るのは自治会長歴4期8年目の松川栄一さん。バイパス開通や駅への近さから、徐々に宅地化され、商業施設も進出、移住者が増えたという同地区。5年前には1棟(8室)だったアパートも、現在は3棟(24室)に増えるなど、現在もなお新住民が地域に入ってきます。
そうしたアパートへの新規入居者には無理に自治会加入を進めない方針のため、自治会費も徴収しませんが、ゴミ置き場の管理費として月600円の協力金はいただいているのだとか。松川さん自身も17年前にこの地に家を建てた移住者ですが、自治会加入の翌年(加入後1年間は自治会役員免除の猶予あり)には自治会副会長となり、現在に至ります。
自治会発足は平成4年のこと。それまでは隣接する下摺沢集落・沼田集落と一緒に自治会を組織していましたが、平成元年に当時の大東町が自治会の組織づくりや運営の強化対策(国の「ふるさと創生事業」の一環)を打ち出したことを受け、「自分たちの集落は自分たちで振興していこう」と、3つの自治会へと独立しました。独立後も、公葬地の管理は3集落で行うなど、住民同士の協力関係は引き継がれています。
7つの部会(総務・経理・婦人・環境・納税・自主防災・運動)と、各班の運営委員5名により組織を動かしている同自治会。自主防災部は、設立当初は独立した組織でしたが、7年前に活動の効率化を図るために自治会内の部会へ編入。大雨、台風、地震等、災害の恐れがある場合には自主防災部と各班の運営委員が協力して見守りや声がけを行います。
毎年10月には自主防災部の事業として一関北消防署職員から消火器訓練の指導をもらうなど、基本的な防災知識を再確認する機会を地域住民に提供。この際、運動部や婦人部とも連携し、バケツリレーや「身を守るための〇×ゲーム」、炊き出しや非常食の試食など、楽しみながら学べる内容の企画を同時開催し、住民の交流や参加率アップを図るための工夫をしています。
同自治会には活動拠点となる自治会館はありませんが(会議やサロン活動等は摺沢市民センターを利用)、12年前に「なかよし広場」を整備。リサイクルセンター(資源回収所)とバレーボールのコートがあり、資源回収事業はもちろん、各種活動で利活用されており、住民の交流の場として定着しています。
深刻な表情で「地域づくりとは何かを新型コロナウイルスが教えてくれた」と語る松川さん。「三密を避けながらどうやって自治会内の交流を図り、運営をしていくか、大変考えさせられました」と続けます。
緊急事態宣言下に自治会員から寄せられたらマスクが確保できずに困っているという相談。そこで婦人部が敬老会に参加している80歳以上の住民11名に手作りマスクを配布することを考案。そこから自治会内の手芸が得意な人を中心に活動が広がり、全世帯分のマスクを製作することに!生地やゴムは自治会で調達し、出来上がったマスクには「新型コロナウイルスでマスクが不足しています。(中略)自分と社会を護ってください。ゴムを調整し、洗ってお使いください」というメッセージとともに、高齢者の安否・見守り活動も兼ねて全世帯に配布しました。
「少子高齢化の影響もあるのか、個人の自由や主張が少し目立ってきており、地域で生活するという意識が薄らいでいるのでは」と、近年の住民同士の関わり方に危機感を抱く松川さんですが、今年初めには嬉しい出来事も。子どもたちの登下校を見守る「見守り隊(同自治会内には3人)」に対し、荒屋敷子ども会の保護者から「日頃の感謝を伝えたい」という申し入れがあったのです。
そこで、既存の自治会行事の中に、子ども会が主体となった感謝の会を設けたところ「お互いの心が満たされるような素晴らしい交流会となった」のだとか。「ちょっとした心の気遣いが続けられる自治会として、三密回避も含め、今後の自治会運営の在り方をみんなで考えながら振興を図っていきたい」と、苦境をバネに進んでいく姿を見せてくださいました。
まつかわえいいち
松川栄一さん
4期8年目。着用しているのが自治会で配布した手作りマスク。適材適所で自治会の役割をお願いし無理のない範囲で協力してもらうことを心がけています。
A.仲よく人を間にいれて楽しく活動ができる会です
まつかわとみこ
松川富子さん
1期2年目。令和元年に発足したサロン「ひまわりの会」の世話人。今年は新型コロナウイルスの影響で一時活動を休止しましたが、7月から再開しました。
A.皆で仲よく協力して活動しています
昨年はバケツリレーを実施。パン食い競争や、リンゴの皮むき大会など、老若男女が楽しめる企画を毎年考えています。
自治会内に2か所ある花壇。4班を2つに分け、それぞれ7月に花植えを行い9月頃まで環境美化整備を行っています。
各部や有志の余興で盛り上がる恒例行事。今年は子どもたちから見守り隊に、感謝のメッセージが手渡されました。
全世帯に2枚配布。「集落内にドラックストアがあるのにマスクがない」そんな状況に対応した素晴らしい自治会力!