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新年交賀会の様子(令和2年度)
(idea 2022年11月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
行政区は「弥栄4区」。52世帯133人が暮らす。行政区長が民区長として自治機能のトップも担い、総務・会計、班長(5班)、衛生委員、監事などで事業を行う。
富沢村と楊生村が明治8年に合併して誕生した旧弥栄村。富沢村側に位置する弥栄第4民区には、かつては診療所や商店、小・中学校、幼児園、公民館などが建ち並び、弥栄村の中心地だったと言います。
令和4年度現在も、同民区内には一関市弥栄市民センター、幼稚園などがありますが、「当時は商店が並び、とても栄えていた。現在は当時の面影があまり残っておらず、今年度には幼稚園も閉園となり、さらに寂しくなる」と、区長の高橋東喜さんは切ない表情を見せます。
東西に広がり、北上川にも隣接しているため、富沢堤防が出来上がるまでは洪水常襲地帯だった同民区ですが、なぜか昔から地名としては存在しない「日向」と呼ばれています。その理由について高橋さんや総務・会計の須藤新一さんは「この民区は山の上(高地)に位置し、他の民区よりも日当たりが良かったからではないか」と推測。実際、現在も事業所の農場が立地するなど、農環境に恵まれたエリアです。
同民区内には様々な組織が横並びで存在し、「弥栄第4民区」としての事業(春・秋の一斉清掃や地区内環境保全活動、新年交賀会など)以外にも、同民区住民が広く参加協力する活動があります。
毎年1月に行われる「日向どんと祭」は、「日向どんと祭実行委員会」を中心に開催され(コロナ禍で2年中止)、民区としては賛助金という形で支援します。民区内の子どもが神の使いとなってお焚き上げの点火という大役を担います。
また、民区内にある金昌寺で行われる「節分豆まき会」もその一つです。「せっかく地元にあるお寺なので何か活用ができないか」と当時の「金昌寺読経会」が中心となって始めたもので、「弥栄日向地区PTA子供育成会」と、金昌寺の日頃の管理を行う「日常管理委員会(≒檀家)」、前述の「日向どんと祭実行委員会」が開催に協力。民区としては賛助金のみですが、ほぼ全戸が関わるため、自ずと民区全体の行事となっています。
約40年前に始まった豆まき会(コロナ禍で3年中止)には、民区内外の子どもとその保護者などが集まり、人の背よりも高い赤鬼と青鬼の人形に豆を投げ、1年の幸せを祈ります。
須藤さんは、「民区としての行事は少ないかもしれないが、各々での活動はあって、そこには子どもも絡んでくる。自分の子どもがそこで経験して、『こんな行事そういえばあったな』って思い出してくれたり、その経験が子から孫へとつながれば、なお嬉しいね」と笑顔で語ります。
同民区内には「日向子供会」があり、多いときは20人以上の子どもが子供会の構成員でした。夏は海水浴、民区内のお寺で合宿、冬は凧揚げなど、数多くの行事がありましたが、時代とともに民区内の子どもが減少。小学生を対象としていた子供会も、現在では中学生まで対象年齢を広げ、3世帯4人が構成員となっています。
そんな子供会が40年以上続けている活動が「かわさき夏まつり花火大会」の翌日に行うゴミ拾いです。今年で50回を迎えた花火大会ですが、当初は簡易トイレも設置されておらず、堤防の上ではバーベキューを楽しむ人などで多くのゴミが散乱していたと言います。
「捨てられたゴミは風に飛ばされ、いずれは川に落ちて環境汚染の要因になりかねない。自分たちの地域を景観の良いものにしようと始めた」と振り返り、「今では民区住民の有志も参加し、一緒に活動している。また、運営側の対策等で年々捨てられるゴミは減っていますが、今後もこの活動は継続していきたい」と続けます。
花壇整備も同様に子供会が長年取り組んできましたが、子供会構成員の減少を鑑み、3年前からは民区行事にも取り入れました。花苗の植え付け、草取り、後片付けの各種作業を、班毎に割り当てし、子供会と一緒に取り組みます。
「子どもが減少し、子どもたちと交流する機会が少なくなっている中でコロナ禍に。地域の子どもたちとの交流がさらに制限されてしまったが、この花壇整備は子どもと交流できる貴重な機会につながっている」と、高橋さん。
「横並び」で維持してきた地域のバランスも大切にしながら、子供会はじめ、各種組織の在り方を少しずつ検討し、時代に適応させていきます。
たかはし とうき
高橋 東喜さん
5期10年目。区長の前は会計を2期務め、民区運営に長年携わるほか、弥栄地域の地域協働体「弥栄地区まちづくり協議会」の会長も務めています。
A.協力
すとう しんいち
須藤 新一さん
5期10年目。各戸一人は委員となっている「日常管理委員会」の委員長も務め、区長と一緒に民区運営を支えています。
A.「日向」という明るい地区
赤鬼・青鬼の人形は住民が手作りしたもの。鬼たちが着用している服は、各家庭で着れなくなったものを着せています。
毎年、弥栄地区福祉活動推進協議会と一緒に取り組む敬老事業。今年度は、民区内の27名に記念品が贈られました。
今年度の花壇整備には、子供会と民区住民の15名ほどが参加。子どもたちも大人に負けじと一生懸命作業に取り組みました。
サロン実施時には、「日向お茶呑み会の唄」を熱唱していましたが、コロナ禍で歌は休止中。また歌える日が楽しみです。