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集落内にある八幡神社の秋の例祭で集落を巡業する子供神輿の様子
(idea 平成31年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
堤下集落は油島地区で一番大きな集落で、65戸約200人が暮らしており、小学校や市民センターも立地。自治会発足後、「堤下集落公民館」は自治会の構成団体となり、集落公民館長とは別に自治会長を定め、自治会長が集落全体の総括を行う。
「集落全体を解決の場にできないか。」少子高齢化に「暮らし」の多様化も相まって、集落内に組織されている各種団体が弱体化。これまで個々の団体で課題解決を図ってきたものが、団体内では解決ができなくなってきた現状を受け、「課題解決の場」を創り出すことを目的に「自治会」を立ち上げた集落があります。
「組織構成は描けましたが、まだまだ道半ばです」と、冷静に集落の現状を見つめながら取材に応じてくださったのは、「堤下集落自治会」事務局の金野陸夫さんです。「自治会規約」として掲げた理想的な集落運営に向けて、少しずつ動き始めた堤下集落自治会の組織構成や、今後の課題についてお伺いしました。
堤下集落には昭和46年に「堤下部落公民館(現「堤下公民館」)」が設置され(その元となるような活動は昭和30年代半ばから行われていた)、「学級講座」として地域住民の教養につながるような各種講座の開催や、花壇整備、油島地域として行われる体育行事等への参加など、「集落公民館活動」として、集落レベルでの社会教育活動を担ってきました。
この「(集落)公民館」のほかに、集落内には衛生組合や農家組合、集落営農組合、婦人会、老人クラブ、子ども会育成会、その他多数の組織・支部があり、各々の活動を展開。そのため、構成員はほぼ重なっているのに、総会は各々の開催となり、総会シーズンは住民の負担が大きくなっていました。
そこで平成18年から始まったのが「堤下集落総会」です。大きく構成員が重なる団体の総会を同じ日時で開催し、議事の中で各団体の総会案件を取り上げます。
「議事の内容によっては議決権がない参加者も出ますが、そこは臨機応変にやっています」と金野さん。開催時期も1月の最終日曜日と一般的な総会時期よりも早いですが、これも集落住民の負担軽減を考えての設定。集落内の主要団体の総会を「堤下集落総会」で同時開催したとしても、集落外の組織に関わる人も多く、3~4月はどうしても忙しくなってしまうので、総会後に新年会を兼ねた懇親会を行うという名目もつけ、1月開催にしています。総会は10時に開始し、昼食としての新年会というのも、様々な層に参加してもらうための工夫といえるでしょう。
そんな堤下が目指した「自治会」は「連絡協議会」のような組織でした。各種団体にはそれぞれに上部組織等があり、簡単に解散や集約ができるものではないため、まずは各種団体の抱える課題を、集落として解決できる場を作りたいという想いで、平成23年9月に自治会立ち上げの検討会がスタート。各種団体の長や過去の団体長、班長など15名ほどのメンバーで約1年間検討を行い、平成25年1月、晴れて「堤下集落自治会」が発足しました。
組織内には7つの部会を置き、各部会には関係する各種団体の代表や役員が所属。前述の「集落公民館」は体育文化部に、環境整備を担ってきた衛生組合は環境衛生部に所属するなど、これまで個々に行ってきた活動が、自治会としての活動に集約されたように見えますが「実際にはまだカタチだけであって、7部会中2部会しか動いていないのが実情。その2部会も結局は従来の団体が従来通りに活動している状態」と、金野さんは改革の難しさを滲ませます。自治会化の目的の1つに、一部の人に集中していた役の分散もあったそうですが、その実行もまだ完全ではないのだとか。
とは言え、良かったことも。行政等から集落住民の推薦要請(行政区長、民生委員等)が来た時、これまでだと推薦者を検討する明確な立場の人・機会がなく、その都度誰がどうするか検討していましたが、自治会ができてからは地域全体に関わることとして自治会の役員会に諮れるようになりました。
また、各戸からの各種集金(衛生組合費や各種募金等)も、自治会として一括で集め、それを分配する流れに変更。何度もあった集金金が一度に済むようになり、集める側も集められる側も楽になったそうです。
自治会ができて6年目。「組織を動かす」ことを念頭に、堤下集落自治会の挑戦は始まったばかりです。
ささきまさかつさん
佐々木正捷さん
会長歴:1期1年目
前・油島第2区行政区長。
A . ①白鳥の飛来地として有名な「蒲沢堤」があります。②蒲沢館(下油田城)のあった地です。
さとうまさひろさん
佐藤正弘さん
館長歴:1期1年目
前・油島第2公衆衛生組合長。
A . 集落の一員としての自覚・団結力のある集落です。
オオハクチョウ、マガン、カモなど合わせて13~15種の渡り鳥が千羽以上も飛来するという地域住民自慢の堤。
小学校前と集落公民館前の2か所にある花壇は、公民館役員と老人クラブ、子供会とで管理。班長が住民代表として参加するスタイル。
油島地区として開催する敬老会では各集落が出し物を担当。婦人会+持ち回りで各班からも参加者を集め、交流の機会にもなっています。
自治会の役員会は必要最小限。年度初めに各部の方向性を確認し、その後は部長に一任。各部がそれぞれ事業を進めます。