※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
左:集落会長 張替(はりかえ)義春さん
右:集落公民館長 千葉敏昭さん
(idea 平成30年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
四日市場集落は29世帯約100名の小さな集落です。行政区は蛭沢集落と併せて老松第1行政区。昭和12年には集落内の共同作業場として現在の集落公民館を建てており、集落活動の歴史は古いようです。
『じゅっと煮汁が染みて、こっくりと甘く煮ふくめられた油揚げ、硬めに炊かれた地元・張替さんちの極上ササニシキで仕上がったすし飯、もう、たまりません。
さぁ「恋する稲荷寿司」の時間です。』
そんな素敵な文面が書かれているのは四日市場集落名物の「金剛山稲荷」。集落内にある金剛山様神社で観桜会も兼ねて開催している春季例大祭においてふるまわれるお稲荷さんです。1年で最も集落のみなさんが集まるお祭りなので、子どもから女性、お年寄りもみんなが食べられるものを出そうと8年前に誕生。冒頭の名文句はお稲荷さんのパックにパッケージとして添えられています。これらの文言は毎年変わり、今年はなんと「日本で2番目に売れている」という文言まで!
「こういうことをさ、勝手にやってくれる人がいるんだよ。面白いよなぁ」と、誇らしげに笑うのは「集落会長」の張替さん。四日市場集落は古くからの小さな集落で、花泉に集落公民館制度ができあがる以前から「集落会」として活動していたため、「集落公民館長」はあくまでも集落内の役職の1つ。集落公民館長の千葉さんは集落公民館そのものの維持管理や、市民センター関連の会議等に出席。それらが報告され、集落そのものをまとめるのは「集落会長」の張替さん。
四日市場集落では「農林連絡員」や「交通安全委員」等、各種団体の役職も集落会の役割分担として位置付け、集落会内には役職がズラリと22も。各戸から1人は何かしらの役員が出ているような状態ですが、一度集落会に役割を集約してから分担するので、1人の人が何役も背負うような状態を回避することができます。
小さな集落ならではの工夫やアイディアがたくさんつまっている四日市場集落。50年ほど前からは、お盆の際には「盆会」として、初盆の供養を集落公民館で行っているとのこと。御位牌を集落公民館に持ち寄り、「豆腐1丁」が各自にふるまわれ、みんなで食べながら初盆の供養を行うというのです。それぞれの負担軽減のために生み出されたという四日市場集落独自の習わし。その他、年祝い・厄払いを兼ねた新年会や地区民運動会後の焼肉ビアガーデンの開催、金剛山様神社秋季例大祭等、行事数は多いものの、負担感は少なく、楽しみながら行っている様子を伺うことができました。
「『やー』『おー』と集まれる関係性を続けていきたい」という会長さんの言葉通り、今回の取材に際しても会長さんの他に3人の役員の方が集まってくれました。このメンバーは長男会のメンバーでもあり、毎月の飲みニケーションを40年以上続けています。
驚くべきは集落内の女性陣もお食事会を行っていること!毎月第4土曜の夜は女性陣が集落公民館を借り、仕出し弁当をとってのお食事会を続けているそうです。
また、取材の中では「今はなくなった‘演芸会’をまた集落でやりたいなぁ」など、前向きな話題がたくさん飛び交いました。観桜会の会場となる金剛山様神社も、一時は荒れていましたが、別当さんが帰郷したことを機に集落民の手で整備し、桜を植えた場所。ささいなきっかけを逃さず、集落一丸となって取り組み、課題を楽しみに変換する四日市場集落のみなさん。来年のお稲荷さんのパッケージが今から楽しみです。
観桜会の様子と御稲荷さんのパッケージ