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舞草地区民運動会で総合優勝を飾ったときの様子(平成30年9月)
(idea 2022年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
舞川地域は「舞草地区」「相川地区」に分けられ、舞川3民区は舞草地区。行政区長が民区長として自治会活動も束ねる。「水無沢」「蓬田」「竜ヶ沢」「林」の小字があり、37戸約100人が暮らす。4班体制。
平成28年に一関市指定無形民俗文化財に指定された「蓬田神楽」。蓬田一族の氏神である大威徳天満宮に奉納する神楽として、明治25年に初代庭元蓬田大助氏が創設したものです。
この大威徳天満宮が立地する舞川3民区には、850年に慈覚大師が開創(吉祥山東城寺)し、1638年に当地に移ったとされる「東光山観福寺(天台宗)」もあり、民区の境には刀剣マニアには聖地として知られる「儛草神社」の参道入口があるなど、歴史・文化要素が多く存在します。「百萬遍念仏溝中」が現在まで続けられていることも集落の自慢です。
そんな同民区の事業運営は、区長、副区長、会計、監事、納税組合、農家組合、女性部、班長、三愛クラブ(かつての青年部)で構成する運営委員会で話し合います。
区長の佐藤信之さんは、「運営委員会の集まりは年3回ほどだが、毎回活発な意見が交わされ、一丸となって民区運営に取り組んでいる感がある」と笑顔を見せ、「散歩がてら缶を拾う人や、ゴミ集積所の見守りをみんなで協力して行うなど、日頃からの環境整備のおかげで民区内はとても綺麗。春・秋の一斉清掃では、回収するゴミが少ないのも自慢」と続けます。
毎年12月に実施しているのが「世代間交流事業」。子どもからお年寄りまで50人ほどが参加し、観福寺へ奉納するしめ縄づくりやまゆ玉ならし、女性部が手作りした餅バイキング、景品つきのゲーム大会など、盛りだくさんの内容です。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大してからは、飲食を伴う事業や大勢で集まることを民区全体で自粛。世代間交流事業も同様に、2年連続で「交流」要素を大幅にカットした規模縮小
を余儀なくされ、残念がる住民も少なくなかったと言います。
唯一、取り組み続けているのが観福寺へ奉納するしめ縄づくり。元々は檀家有志(同民区住民)が行っていたものですが、その方が高齢となり、続けていくことが困難に。そこで当時の民区役員たちが「せっかくの風習・文化を絶やしてはいけない」と、約10年前からは民区で担っていくことを決意し、民区事業として取り組んできました。
しめ縄づくりには子どもも参加しますが、40~70代の男性陣が主体。しめ縄づくりの経験・知識のある70代から、次の継承世代(50~60代)へ伝承していきます。
「しめ縄づくりやまゆ玉ならしなど、昔は当たり前に行われていた行事が生活様式の変化とともに触れる機会が減り、今では、お金を払えばしめ縄も購入できる便利な世の中となりました。そんな時代だからこそ、自分たちで作ることの意義を次世代に伝え続けたい」と、佐藤さんは語ります。
舞川地区文化祭や舞川地区自治公民館大会など、舞川地域全体で行われる行事にも参加する同民区。その中でも舞川地区民運動会(舞川体育協会主催)では持ち前の団結力を発揮しています。
舞川地区民運動会は、舞草地区と相川地区それぞれ別会場で行っていましたが、参加者の減少もあり、令和元年度からは同じ会場で開催し、舞川住民全体の親睦を深めることに。舞草地区では何度か優勝経験のある同民区は、開催前から注目の的。そして見事、同民区が総合優勝という栄冠を手にしたのです。
佐藤さんは、「3民区の団結力が総合優勝という成績を生んだ。コロナ禍になってからは地区民運動会を開催できていないが、次も総合優勝を目指したい」と、気合十分です。
その一方で、行事参加者の減少、進学や結婚を機に地元を離れる若者、高齢者の一人暮らし、空き家、未婚者の増加など、様々な問題が顕在化し、民区運営そのものに危機を感じていると言います。「先輩たちが繋いできた伝承文化などを継承していきたいという思いはあるが、1つの区として続けていくのは難しい。いままでは『民区の活動=住民参加型の事業を行うこと』だったが、コロナ禍でそうした事業も止まっている状態。この機会に現状の見直しやこれからのことを民区内で話し合っていきたい」と語ります。
神楽や年中行事など、民俗文化の継承を通した世代間交流で住民同士の繋がりを育みつつ、民区を超えた連携の在り方も模索していきます。
さとう のぶゆき
佐藤 信之さん
区長を務める前も民区運営には関わってきた信之さん。奥さんも昨年度まで会計(5期10年)を務めていました。区長は1期1年目。
A.全員参画型
さとう まさき
佐藤 政喜さん
1期1年目。副区長になる前は納税組合長を務めていた政喜さん。これからも信之さんとともに、民区を支えていきます。
A.話(輪)が大事!
外部講師を招いての講演会。今年度はシクラメン栽培などを営む佐藤修司氏から植物の栽培方法等について学びました。
女性部(各世帯から1名は加入)が中心となって行う花壇整備。毎年色鮮やかな花を咲かせ、民区内を明るくします。
無病息災を願いながらつくるしめ縄。住民の想いが詰まった約7mのしめ縄は、菩提寺である観福寺本堂へ奉納されます。
毎年恒例の研修・親睦会はコロナ禍で自粛。「来年こそは!」と期待を寄せます。写真は平成30年6月の集合写真。