インアーチでは、平成27年度に一関市市民活動団体防災ボランティア活動推進指針を策定し、災害時にスムーズな連携ができるように普段からの顔が見える関係づくりのためインアーチ参観日を開催してきました。
今年度は、参観日の他に災害時に役立つ知識や技術を学べる防災勉強会を開催します。第2回目は、一関消防本部からご協力いただき、救命講習(入門コース)を開催しました。
開催日:平成30年2月27日(火)10:30~12:00
講 師:一関消防本部 本吉秀敏さん(田村分遣所)
会 場:旧祭畤大橋
参加者:千田康子 NPO法人いちのせき子育てネット
小野寺克洋 NPO法人レスパイトハウス・ハンズ
鈴木太一 NPO法人レスパイトハウス・ハンズ
佐々木恭平 パカポコクラブ
佐藤英男 いちのせき若者サポートステーション
村上美智子 ジョブカフェ一関
亀井了子 ジョブカフェ一関
中村美佳 ジョブカフェ一関
畠山信禎 いちのせき市民活動センター
佐々木牧恵 いちのせき市民活動センター
金野尋世 いちのせき市民活動センター
佐藤大輔 いちのせき市民活動センター
1.一関市の消防署について
はじめに、一関市消防本部田村分遣所の本吉秀敏さんから、一関市消防本部の管轄等について教えていただきました。
・一関市消防本部の管轄地域には、分署・分遣所を含む10カ所に消防署がある。
一関市消防本部の管轄地域(一関市消防本部ホームページより引用)
・管轄地域全体で保有している救急車は10台。
・管轄地域内での年間出動件数は約6,600件。多い日は1日に10件以上出動要請がある。
その内約3,000件は西消防署(保有救急車2台)で対応している。
保有車両が出動中に119番通報があった際は、近くの消防署から順に出動指令を出す。
例)西消防署の場合は、平泉分署⇒東山分署⇒花泉分署
近くに消防署があるのに、救急車が来ないという時は先に入った要請に対応中で、他の分署から向かっている場合もあるということを理解していただきたい。
⇒救急車が来るまでの間に心肺蘇生などが必要となる。
※救急車のタクシー代わりの利用も増えてきているとのことで、本当に必要としている人のもとへ救急車が少しでも早く到着できるよう適正利用に協力しましょう。
2.心肺蘇生の手順
・心臓が止まってから約15秒後に意識がなくなる。
・心臓が止まると全身に血液が送れなくなる。脳が身体の中でも非常に酸素を使う部分であり、4分間脳に酸素がいかないと再生不可能といわれており、心肺蘇生できても脳の回復は難しい。
・心肺蘇生法は、全世界共通のガイドラインが設けられており、5年ごとに見直しがされている。(現在は2015年版が最新)
※以下、配布された資料に掲載されていない部分を補足する形で、講習で教えていただいたポイントを掲載します。資料と合わせてお読みください。
【1】心肺蘇生の手順
1 安全を確認する
・震災時などは倒壊やがけ崩れの危険もあるので、左右だけでなく上の安全確認もする。
2 反応を確認する
・呼びかける際は、たたかれてもあまり痛くない肩をたたきながら、最初は小さな声で意識があるか呼びかけ、反応がなければ大きな声で呼びかける。
3 119番通報をしてAEDを手配する
・近くにいる人に応援を求める場合は、指さしで1人1人に「119番」「AED」など役割を与える。(「誰かお願い」という形だと「誰かがやってくれるだろう」と誰も動かないかもしれない)
4 呼吸を観察する
・以前は、「顔を近づけて、脈を触る」などの手順があったが、今のガイドラインでは、
「胸やお腹が動いているかを見ての判断」でよい。(お腹の方がわかりやすい)
・資料には「10秒以上かけない」とあるが、6秒を目途に判断してよい。
5 胸骨圧迫を行う
・胸の真ん中に「胸骨」があり、その下を圧迫する。(以前は「乳首と乳首の間」などの確認方法が言われていたが、だいたいの場所でよい)
※胸骨の最下部に「剣状突起」という骨があり、そこを強く押して折れると内臓に傷がついたりするが、万が一胸骨圧迫により骨を折ったりしても、訴訟の心配などはない。
・以前は、圧迫のテンポは1分間に「100回以上」とされていたが、現在は「100回~200回」とされている。押しすぎると必要以上に心臓の伸縮・拡張のテンポが速まり、血液を送る量が少なくなってしまう。
・圧迫の際は押したら手を元の位置まで戻す。
6 胸骨圧迫30回と人工呼吸の2回の組み合わせ
・人工呼吸で息を吹き込む時間は1秒。
・息が入っていても、入っていなくても2回人工呼吸をしたら、胸骨圧迫をする。
・口に吐しゃ物や血液が付いている場合は、感染症の恐れがあるので、人工呼吸は省いてよい。
3.AED使用の手順
・AEDを使える傷病者とそうでない人がいる。
⇒電極パッドを付けると機械が判断してくれる。
使用できる)心室細動…心臓が細かく震えておりショックで普通のリズムに治るかもしれない。
使用できない)心静止…胸骨圧迫を続ける。
8 とくに注意をはらうべき状況(※番号はテキスト【AED使用の手順】の番号です)
・傷病者の胸が濡れている場合は拭いてからパッドをつける。
・地面が濡れていても大丈夫だが、雨が降っているときなどは傘をさしてあげるなどして傷病者が濡れないようにする。(AEDは雨程度なら濡れても大丈夫)
・AEDの箱の中にタオルやハサミが入っている。ハサミは衣類を切るときなどに使用する。
・パッドを貼る前に、シップなどの貼り薬を剥がす。(貼り薬に電気が流れてやけどする恐れがある)
・小児用パッドは大人には使えない(電力が足りない)
・子供には大人用使える。(心臓を挟むことが目的なので、1枚は胸の辺りに貼り、もう1枚を背中に貼る)
・パッドを貼ったら、救急車が到着するまで剥がさない。
⇒2分ごとに機械が自動で解析を行うので、1回目の機械の解析で電気ショックが不要とされても、胸骨圧迫を続けることで2回目に電気ショックの指示があるかもしれない。
・解析中は傷病者に触れない。
・貼る場所は心臓の位置でも大丈夫。ケガをしている場所は避ける。
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一関市消防本部では、各種救命講習の申込みを随時受け付けています。
心肺蘇生のガイドラインは5年に1度見直されているとのことなので、昔講習を受けたという方も改めて受講してはいかがでしょうか?
※お問合せ・お申込みは最寄りの消防署へご相談ください。
インアーチでは、平成27年度に一関市市民活動団体防災ボランティア活動推進指針を策定し、災害時にスムーズな連携ができるように普段からの顔が見える関係づくりのためインアーチ参観日を開催してきました。
今年度は、参観日の他に災害時に役立つ知識や技術を学べる防災勉強会を開催します。第1回目は、平成20年の岩手・宮城内陸地震で崩壊し、現在は災害遺構として保存されている旧祭畤大橋で行われた公開レスキュー訓練を見学しました。
開催日:平成29年6月17日(土)13:00~15:00
開催団体:日本空糸株式会社
IR3(一関市消防署有志)
会 場:旧祭畤大橋
参加者:小山峯雄 一関マジックの会
河島一男 個人
金野和則 NPO法人北上川サポート協会
菅原幸子 NPO法人北上川サポート協会
畠山信禎 いちのせき市民活動センター
佐々木牧恵 いちのせき市民活動センター
佐藤大輔 いちのせき市民活動センター
1.公開レスキュー訓練見学
・「祭畤大橋災害遺構」展望の丘に集合してから、訓練の会場である旧祭畤大橋へ移動しました。
・橋へ向かう道も震災の爪痕が残されていました。
・今回の公開訓練は、日本空糸と一関消防署有志の他、大船渡消防署などからも集まり、様々な状況を想定して、チームが交代しながらレスキュー訓練を行うという内容。橋のたもとへ到着すると、ちょうど日本空糸の訓練が始まっていたところでした。
・この時は「30代~40代男性が河川中洲へ誤って転落し、垂直降下以外のアクセスは不可」という想定で行われ、開始から15分程で救助されました。
・日本空糸の訓練終了後、代表の伊藤徳光さんから解説していただきながら消防署の皆さんの訓練を見学しました。
・日本空糸は「普段の仕事で行うロープアクセスの道具でできる救助活動」、消防署メンバーは「消防署が持っている資機材を使っての救助活動」とお互いが持っている技術や道具などのマッチングも今回の訓練の目的です。
・扱うロープも日本空糸はヨーロッパ系、消防署はアメリカ系と種類が違うそうなのですが、現場で協力を求められた時などに知っておかないと混乱してしまうし、両方の特徴を知っておけば状況に合わせて応用が利くとのことです。パッと見ではすぐに違いは分かりませんが、レスキューやロープアクセスの奥深さやプロの方々の技術や知識を垣間見ることができました。
・消防署チームは高齢者が斜面を滑落してしまった場面を想定し、木に支点を取り、タンカを用いたレスキュー訓練を行っていました。
2.講話
佐藤奈保美さん 祭畤温泉かみくら女将
震災当時の状況や経験から学んだことなどをお話いただきました。
・地震が発生した平成20年6月14日午前8時43分。かみくらでは、朝の食事の片付けと宴会の準備をしていたところに「ドーン」と大きな音が鳴り、外を見ても何も見えず、何が起こったのか考えていた1分後くらいに「ダダダン」と上下に突き上げられるような大きな揺れが始まった。
・玄関の扉や厨房の鍋などが落ちる音や停電。自分の旅館が震災現場に化していくのが見えた。
・電話が鳴り、お客を迎えに行っていたバスが送迎場所に着いたとの連絡があったが、「この状態でお客を迎えていいのだろうか」と思い、その場では「キャンセルしてください」と伝えるのが精いっぱいだった。
・以前行った防災訓練で「地震が起こった時は避難口を確保」と教わったことが頭によみがえり、玄関を開けてお客の避難誘導をした。外に出てから、「建物付近は危険」と教わったことも思い出し、災害時の避難場所となっていた健康の森へ行って大丈夫か確認した。
日頃訓練していたことが、災害時の場面ごとに思い出され、行動することができた。
・浴衣1枚とサンダルで外に出たお客を見て、「やってはいけない」と思いつつも、従業員は入れず1人で旅館に戻り、お客の服や貴重品を運び出した。
・健康の森と連絡が取れず、駐車場で車の中で待っててもらう際に、食べ物や飲み物を配ろうとしたが、水は出ず、自動販売機も動かず、厨房のビンや缶も壊れていた。
緊急時に飲み物を確保することの難しさを感じた
・電話も通じず、情報がないことの孤立感を感じたが、「健康の森に人が集まり始めた」という情報が入り、外部からの情報に救われた。
・旅館のガラスが割れ、山奥だと動物の住かになってしまうと従業員や板前にも手伝ってもらい、できるだけ塞いでから、午後に健康の森へ向かった。
・健康の森についてから、旅館をいつも利用してくれていた近隣5軒のお年寄りが来ていないことに気づき、家まで声をかけに行ってもらったが、集合場所が分からず1人の家にみんな集まっていた。
緊急時には身動きが取れずにいる人もいるので、声を掛け合うことの大切さを感じた。
・旅館業には、年2回以上の避難訓練の義務があり、シチュエーションを変えながら行っている。実際の被害をイメージして訓練することで、10年前に経験した訓練でも災害時には思い出され、訓練の大事さを学んだ。
日本空糸株式会社、消防署有志の皆さん、かみくらの佐藤さん、ご協力ありがとうございました!
<協力団体・企業情報>
日本空糸株式会社
〒021-0102 一関市萩荘字谷起島北方194-13
電話 : 0191-48-4046 / 090-9747-8367(代表直通)
FAX : 0191-48-4047
メール:info@japansoraito.com
祭畤温泉かみくら
〒021-0101 一関市厳美町祭畤32
電話:0191-39-2877
FAX:0191-39-2364
メール:info@m-kamikura.com