東京国際マラソン、びわ湖毎日マラソンなど2月、3月は国際級のマラソン大会が毎週のように開催されています。そんなマラソンの季節に合わせたわけではないのですが、マラソン大会を題材にした小説をご紹介します。
作者の名前は 菊池幸見さん 聞いたことある名前。
そうか地元IBC岩手放送の人気アナが本を出したのか。しかも盛岡を舞台にしたマラソン小説を。これは読んでみるかと、帯書きを見ると。
このレースはどこかおかしい、何かが違う――
先頭集団が5キロのチェックポイントを通過したとき、地方局アナウンサー桜井剛は奇妙なことに気がついた。 盛岡初の国際マラソン大会。
スタートから男がずっと走っているのだ、沿道を。しかもトップについて! たった一人、誰の声援も受けず、なぜ彼は走り続けるのか? 実況が成功すれば、キー局への移籍も夢ではない桜井は男の存在を無視するが……。
快調にレースを引っ張るマラソン界のエース、大会を後援する大手スポーツメーカー社員、アナウンサーの妻、多くの人たちの想いが、謎のランナーに絡まっていく。 熾烈なレースの行方は? そして男のゴールとは?
やがてその走りは、観る人の心を変えていった――。爽快マラソン小説誕生!
マラソン大会の実況をテレビで見ていると、テレビカメラを意識して沿道を走るにわかランナーを時々見かけます。この物語ではトップランナーと競うように42.195kmを走り切ります。まさかと思いますがこれが物語なのです。
著者はIBC岩手放送の菊池幸見アナウンサー。岩手県人なら誰もが知る、岩手弁を駆使し面白い話をする有名アナ。この方は多彩な芸を身に着けているようで、これまでにも「泳げ、唐獅子牡丹」「翔けろ、唐獅子牡丹」を書いていることを知りました。
全260ページの内、優に200ページはマラソン大会のスタートからゴールまでの様子を登場人物と絡めて描いています。
中継を担当する事になった地方局みちのく放送のアナウンサー、実行委員会に出世をかけて出向してきたスポーツ企業の社員、出場している選手など、大会に関わる様々な人々の人生、心理が描かれています。
大会前までの部分では物語に入って行けるか微妙でした、レースが始まってからはどんどん引き込まれ、休日午後の一気読み。
滝沢ニュータウン、小岩井農場など盛岡はもちろん、滝沢、雫石の地名がコースの中に出てきます。そして、この物語には悪い人は誰一人出てきません。だからなのか読んでいて気持ちが安らぐ1冊です。
この本、一関、川崎、千厩、室根、藤沢の各図書館で借りることができます。
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