開催日:平成30年7月11日(水)
講 師:小野寺浩樹 いちのせき市民活動センター センター長
菅原敏 一関市社会福祉協議会 地域福祉課長
全6回の本講座の初回は、まちづくりコーディネーターとして地域と関わっていく時に欠かせない考え方を共有しました。
地域づくり概論
前半は、当センター長の小野寺から「まちづくり」とはそもそもどういうことなのか、コーディネーターとして地域に関わる私たちのミッションを共有しました。
「地域おこし」にスポットが当てられる中、コーディネーターとして欠かせない「地域づくり」の視点とは何か、まちづくりは市民だけでも行政だけでもなくそれぞれの立場や分野の強みや役割を理解してみんなが主体となって関わること、人口動態や地域の変化を踏まえて「なぜ今まちづくりなのか?」という背景を説明。
そして、「コーディネーターとして地域に入るときは、何かをやらせたり、地域を引っ張っていくのではなく、『何が今課題や負担になっているのか』、地域の運営の仕組みに目を光らせなければいけないと指摘がありました。
地域福祉概論
後半は、一関市社会福祉協議会の菅原敏さんから地域福祉について、「地域づくりは『福祉』を実現させる営みではないか」という投げかけからスタート。
「どの現場でもまだまだ『分野の壁』を超えられず、住民が困惑していないか、負担が増えていないか」という指摘には、参加者からも頷きが…。
「『福祉』は身近な暮らしのことを考えること」とし、普段の自治会活動やサロン活動、ご近所同士のちょっとした助け合いなどが既に福祉の活動になっていること、そうした日常的にやっていることへの意味づけをしていくこと、そこに関わる縁者を増やすことで、「地域づくり」と「地域福祉」と無駄に区別せずに、同じゴールへ向かっていけるというメッセージがありました。
どちらからも「コーディネーターは住民に考えて決めさせて、活動を通して自信をつけてもらう」「できることを応援して、できることを増やしていく」という共通の話があり、地域との関わり方や目指すところは同じであると共有しました。
最後に、参加者の皆さんから活動紹介や告知をしていただきました。
講師を務めていただいた菅原さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
開催日:平成30年8月8日(水)
講 師:小野寺浩樹 いちのせき市民活動センター センター長
第2回・第3回は、まちづくりには欠かせない“話し合いの場”で参加者の意見を引き出すためのポイントを実践を交えながら学びました。
第2回は「ファシリテーション基礎編」として、具体的な手法の前に、話し合いの場を開く際の心構えや準備の大切さについて解説がありました。
はじめに、「うまくいかない会議あるある」を全体で共有。
「あ~」と頷く参加者。
地域づくりや団体運営における話し合いは、「みんなが参加して、みんなが納得すること」が大事です。一部の人の声だけで決まったことには、後から反対や批判が出たり、その後の活動にも関わってきます。
話し合いの「質」は「コンテンツ(資料、データ、主義主張など)」と「プロセス(場づくり)」の掛け合わせによって決まり、結論はあくまでも参加者が出すもの。
そこまでの「プロセス」をどう作るかがファシリテーターの出番となります。
会議の場づくりは、当日だけのものではなく、会議を開くと決まったときから始まっています。
テーマや参加者に合わせて、どんな会場レイアウトだったら話しやすいか?最終的なゴールまで、どのようなスケジュールで各回のテーマ(目標)設定はどうするか…。
『会議設計』をしっかりつくることで、参加者も安心して参加し、ゴールに向かって進むことができます。
今回は、「地域の運動会について話し合いを開く」というテーマで、グループごとに会議設計をつくってみました。
会議やワークショップのテーマや対象者に合わせて、しっかりと準備をしてみんなが納得できる話し合いにしていきたいですね。
ご参加いただいた皆さんありがとうございました!
開催日:平成30年8月22日(水)
講 師:小野寺浩樹 いちのせき市民活動センター センター長
ファシリテーション実践編となる今回は、いろんなテーマで実際にグループワークを体験しました。
まず、話し合いでの記録の仕方を少し練習。
模造紙やホワイトボードなどにみんなが見える形で記録をすることで、意見を受け入れてもらったという安心感を与えたり、発言者と意見を切り離すことで客観性を高めたり、参加者の意見を揃えることができます。
後半は、テーマを設けてグループごとに話し合い体験をしました。
いろんな考えの人が参加する話し合いでも、それぞれの意見を引き出し、尊重しながらグループとしての共通項や大切にしたいことを話し合うことで合意が生まれていきます。
最後に、付箋に意見を書き出して整理しながら課題解決や活動の方向性などをまとめる「KJ法」を体験。
ワークショップといえばこの手法を思い浮かべる方も多いかと思いますが、必ずしも付箋を使ったやり方がどの場面でも最適というわけではなく、テーマや参加者などによっても使う手法を変えたり、アレンジすることも必要になってきます。
今回学んでいただいたことを現場で活用していただいたり、団体や職場の方々と練習してみたりしていただきながら、場面に合わせた話し合いの場づくりを実践していただければ幸いです。
開催日:9月12日(水)
講 師:畠山 信禎 いちのせき市民活動センター 支援員
本講座の後半戦は、実際に地域で事業を展開する上での考え方や人の募り方など団体や事業の運営の仕方を学びました。
今回のテーマである「人の集め方」は、「どんな人を集めたいのか」によってもアプローチの仕方は変わってきます。
イベントの参加者なのか、団体の会員や地域の役の担い手を増やしたいのか、ボランティアを集めたいのか…それぞれの場面で気をつけたいことを共有。
そして、団体を運営するためのルールブックにもあたる「規約」の必要性や重要性、「目的と目標の違い」などを解説しながら、人集めの前に団体や地域内で共有すべきことを確認しました。
後半は、参加者同士で地縁組織と志縁組織それぞれの視点での地域づくりや事業立案での悩み事共有。
「PDCAは回し続けることが重要」「これからは“共感”を意識する(SIPS)」というポイント解説
を受け、最後には実際に事業計画を作ってみました。
団体内での合意や共通認識を図りながら、地域にとって効果的な事業を考えていきたいですね。
開催日:9月26日(水)
講 師:佐藤大輔 いちのせき市民活動センター 支援員
「人の集め方」後半は、具体的な事業の運営や継続、情報発信などを学びながら、事業が終わった後の「振り返り」の仕方についても体験しました。
はじめに、前回みんなで共有した「事業立案の悩みごと」で共通していた「参加者集め」「ニーズに合った事業立案」について、ニーズ発掘から事業化までの事例を紹介しながら事業を継続するための考え方や理解者や協力者の拡大について解説。
情報発信の仕方について、対象者に合わせたツールの使い分けや組み合わせにが大切ということ他、近年地域づくりの現場で活用が増えているFacebookでの発信の際のポイントを紹介しました。
最後に「ペーパータワー」づくりを通して、振り返りの際に使える手法「KPT」での話し合いを体験しました。
振り返りや事業評価は、単なる反省会ではなく、成果や問題点を共有して次のステップを話し合っていく中で、団体や事業の本来の目的を確認したりより良いチーム作りにもつながります。
日々の事業や業務に追われ、振り返る間もなく次の事業…となりがちですが、しっかりと組織の中で振り返りの場を設け、地域のニーズに合った事業を組み立てていきたいですね。
開催日:10月10日(水)
講 師:小野寺浩樹 いちのせき市民活動センター センター長
全6回の本講座LASTは、事務局運営のポイントや仕組みづくり、人の巻き込み方などを学びました。
前半は、事務局の仕事についてのポイント解説。作業を細かく分解しどのように進めるかを考え、動きを可視化し、いつまでにその仕事を終わらせるのかを周りと共有することにより仕事の効率が良くなります。
また、事務局(=コーディネーター)の仕事は改善力、コミュニケーション力(ほうれんそう)、進捗管理、整理・収納力などのポイントを共有しました。
次に、設けられたテーマを基に「話をする人」「話を傾聴する人」を交互に行うペアワークをしました。その中で態度が悪い人を演じる場面もあり、参加者からは「悪い人間にはなれない」と終始笑いの交じったペアワークとなりましたが、どの会議や講演などでも全員が“そうだね”と分かりあえる人達ばかりではありません。
態度が悪い人や短気な人などがいる中で伝えるのを諦めるのではなく、一生懸命に向き合い話し合うことの大切さを共有しました。
後半は、参加者全員に細長い風船が配られスタート。
参加者には風船の使い道は教えず、センター長から文字が書かれたA4用紙がスタッフに渡され、スタッフが口頭のみで参加者に指示を出します。
参加者は文字を見ているわけではないので、スタッフが話す言葉だけを頼りに細長い風船とにらめっこ状態となりました。また、何も分からず書かれている文字だけを伝えているスタッフも風船がどう変身するのか想像ができませんでした。
そして、完成したのが犬でした(下写真)。しっかり犬になっている風船もあれば、あと少しで犬になれそうな風船など個性豊かな作品が出来上がりました。
次は犬の作り方の説明書を各グループに配布し、再度犬作りをしました。説明書を見ながらの犬作りは、各グループ苦戦はしながらもしっかりと犬になっていました。
犬作りで伝えたかったのは、話し方・伝え方の工夫が大事だということ。相手に伝わらないまま話や会議などを進めると、“参加しない”“集まらない”という事態になる可能性があるので、ただ一方的に伝えるのではなく、分かりにくいところは資料を用意するなどの工夫をして相手に寄り添うことが大事ですね。
次に会場を出てフロアでペアワークをしました。1人は目をつぶり、もう1人が手を引いてリードをする、手は引かず声だけでリードをするなどの内容を交互に行いました。
その後のグループワークでは、「リードをする方もリードをされる方も不安な気持ちはあり、それは安心感のある職場やメンバーなのかという話にもつながる」と共通する部分を見つけました。
最後に「地域にお茶っこサロン」というテーマでグループワークをし、相手の気持ちを考え、促し、引き出せるような場をつくることにより色んな人と繋がることができ、「まちづくり・地域づくりは、その場にその人がいても良いですよ」という雰囲気づくりが大切だということをみなさんと共有して本講座最終回は終了。
今年度の「まちづくりコーディネーター養成講座」は、昨年度よりテーマを細かく区切って開催しましたが、全ての回にたくさんのご参加をいただきました。
本講座で学んだことが少しでもみなさんの活動に活かしていただければ幸いです。
ご参加いただいたみなさんありがとうございました!