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(idea2019年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「河童伝説」と言えば遠野市が有名ですが、実は当市にも河童伝説があり、さらにはその伝説にちなんだキャラクターまでもが誕生していたことをご存知でしょうか?今回は地域づくり活動を盛り上げる大役を担わされたかっぱのキャラクター「そげっぱ」誕生の由縁となった「曽慶川かっぱ伝説」の真相を現地調査してきました!
今回の河童伝説の舞台は一関市大東町曽慶地区。平成27年5月に発足した地域協働体「結いネットそげい」では、曽慶地区をPRすべく、子どもからお年寄りまでが親しみをもてる地域のマスコットキャラクターの作成に取り掛かりました。
同会内の「曽慶PRチーム」が主体となって検討を続けてきた結果、キャラクターを地域住民に公募することに。18点の応募の中から選ばれたのが、地域に伝わる河童伝説に由来した「河童」のキャラクターでした。
また、キャラクターの愛称には19点の応募があり、「そげい」と「かっぱ」を掛け合わせた「そげっぱ」に決定。木彫りの「そげっぱ」が製作されると、協働体が復活させた「そげいの夏祭り」にてそのお披露目が行われ、さっそく地域内を盛り上げました。
現在、同会フェイスブックの顔となり、曽慶地域のPRに欠かせない存在となっている「そげっぱ」とは、はたしてどのような伝説から誕生したのでしょうか。
曽慶住民の故小山秀夫さんが、婿に入った先のおばあさんから聞いた話を文章として残したものです。※原文のまま記載します
むかしむかし、この曽慶川上(大石平)と下(川口)に二組のかっぱ連中がたむろしており、「俺達は一番偉くて強いのだ」と、双方ともに信じ込み威張っていたんだと。
なにもたいした違いはないかっぱのことだから、両手足とも指はそれぞれ3本づつで頭にはハシッコのあたりに若干のふさふさ毛のあるお皿をつけていたが、ただ1つの違いは大石平組は背中当てを着て、川口組は腹当てみたいなのを着用してたと。
ある年、さっぱり雨の降らない日が続いたと。なにせ、頭のお皿が干からびてしまえば終わり、生きていけないかっぱの定めなんだと。
これぁ大変だと思案しているところへ、誰かがこの川の中ほどに「滝」というところがあって真平らな畳石が敷き詰められてあり、そこには、どんな干ばつでも干からびることなく清水がこんこんと湧き出る井戸があると言う。
それを聞いた連中、なにせ命に関わることだからそれ行けとばかりに滝の畳石を目指して大忙し。大急行したらどうだ同じ噂を聞いたのか、大石平組も川口組を同着だったと。
で、どっちが先にこの井戸の水を飲むか、まだ今のジャンケンを知らない連中だから、それではお互いから代表を出して先方の頭のお皿を落としたほうから飲むこととしたと。
そしたらどうしても大石平組の勝ち。川口組は残念でくやしいし、頭のお皿の水もますます干からびてくる。
一計を案じて先に引いたその線はあまりにも大石平組に有利だから、少し斜めに引き直せとなったそうだ。人のいい大石平組も可哀そうになって現在の線に引き直したんだと。
それからは、双方とも五分五分でお水も公平に飲み、これからは毎満月の晩にこの滝畳石に集まり、お皿落としのお遊び等をして仲良しとなり、それぞれ楽しくお家に帰ったと。
▲「かっぱ井戸」とも呼ばれる「滝畳石」。伝説に基づき、付近に相撲土俵を作ったり、川魚を放流したり、地域の子ども達に喜んでもらうような仕掛けをたくさん行ってきました。
今はなき曽慶小学校の子ども達に授業の一環で曽慶河童伝説をガイドしたこともあるという岩渕良治さん(曽慶在住/81歳)にご案内いただきました!
※衣装はその時のもの
<かっぱ井戸橋エリア>
平成10年、国道343号線の開通に伴い、曽慶川に橋を架けることに。橋の名称を土地所有者らが検討できることになり「子ども達が少なくなり、集落に活気がなくなってきた」という地域の現状から「昔話を語り継ぎ少しでも盛り上げよう」と「かっぱ井戸橋」と命名。
橋の付近には「曽慶川かっぱ伝説」の案内板設置や有志が作った休憩スペース(ベンチ)、河童モニュメントも設置されているほか、誰が設置したのかは謎だという立体「そげっぱ」が鎮座しているとかいないとか…!?
「曽慶はキビが日本一だから、キビ団子を作ってみんなでここで食べたんだよ」by良治カッパ
<カッパ桜橋エリア>
平成26年またしても曽慶に新しい橋が完成し(曽慶7区地内)命名の機会を与えられました。「ここで地域のみなさんと河童伝説を語り合いながら、賑やかに交流ができるように」との願いで橋のたもとに桜を植え、「カッパ桜橋」が誕生しました。
<曽慶市民センター>
曽慶市民センターの玄関で住民たちをお迎えする木彫りの「そげっぱ」。季節ごとに衣裳を変え、地域に笑顔と話題を振りまきます。
↓実際の誌面ではこのように掲載されております。