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(idea2019年6月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
当初「市内で一番太い木」を探すというシンプルなミッションで調査を開始するも、木(樹)とは「単純な太さ」で比較できるような存在ではないことに調査の最中に気づいた私たち。樹種別に全国比較をしてみることで、単純な太さ比べでは見えてこなかった「全国に誇れる可能性がある木」を探してみました(3回シリーズの2回目)。
※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。多少の誤差や調査漏れ、順位の変動等はお許しください。
【 市内の巨樹・目通り周ランキング 】
※5月号掲載の表を組み替えたもの
「目通り周」(地上から1.2mの太さ)と呼ばれる高さを実測し、「市内で一番太い木」を探していた私たち。ところが、いざ調査結果を並べてみた時に、樹種を無視したランキングの「ナンセンスさ」に気づき、市内での単純な太さ争いには参戦できない木にも視野を広げていったところ、驚くべき結果が!単純な太さでは市内で8位の木が、その樹種の中で全国比較をすると、全国1位の可能性が出てきたり、太さではさほど珍しくはないとされた木が、高さ(樹高)では全国でもトップクラスとされたり……。「木」を「木」というカテゴリーで一括りにしてはいけないということに気づかされたのでした。
そこで今月号では、そんな「単純な太さ1位争い」だけでは気づいてあげることができなかったかもしれない「全国に誇れる可能性がある木」をご紹介!
ただ、私たちの木に関する知識が乏しいがゆえに、珍しさを太さや樹高、樹齢でしか判断することができず、「太さや高さはないが、珍しい木」を把握できずにおります。今回ご紹介する内容は、あくまでも太い木を探す中で集まった情報を整理したものですので、太さに限らず「うちにはもっと珍しい木があるぞ」という情報がありましたら、どうぞお寄せ下さい。「珍木探訪」に参ります!
惜しくもベスト10に入らなかった巨樹
(左:田河津・田ノ萱のイチョウ 右:奥玉の種蒔桜(エドヒガン))
右ページのランキングに掲載された巨樹の中から、全国50位以内の可能性がある木をピックアップしてご紹介します!(全国予想に関しては、環境省の「巨樹・巨木林データベース」というWEBサイトを元に独自に予想した順位です)
目通り周 6.88m
市内の全体ランキングでは8位のこちらのイトヒバは樹種別に比較すると全国1位の可能性(現在全国1位とされているのが6.2m)が!そもそもイトヒバ(正式名:ヒヨクヒバ)はヒノキの仲間であるサワラの変種。素人でも気軽に管理できる庭木として、小さく管理されることが多いようです。また、成長が遅いため、一般的な幹周は20~70㎝程度に留まり、岩手県内では大木が珍しいとのこと。
こちらのイトヒバも、遠目には木が2~3本あるように見えるため、根本近くがこれほどの太さであることは室根住民でも知らない人が多いようです。
目通り周 9.5m
岩手県の指定文化財にもなっているこちらのカヤの木。市内の全体ランキングでは2位ですが、樹種別に比較すると、県内では最大(1位)とされ、全国で見てもトップ10には入るのではないかと予想されます(全国1位は大崎市のカヤで17m!)。
カヤは極めて成長が遅いのですが、長寿であるため、長い年月を経て巨樹化することがあるようで、このカヤも樹齢は700年以上とされています。幹は直立することが多いようですが、このカヤは、根本は1本でありながら、地上2.5m付近で太い枝が10本程に分かれており、その姿が箒のようであることから「箒カヤ」と呼ばれるそうです。
目通り周 6.4m
上でもカヤをご紹介しましたが、カヤは雌雄異株の樹木です。ところが、この夫婦カヤは雄の木と雌の木が融合してしまっています(複数の幹が合体した「融合木」の場合も、目通りよりも低いところで枝分かれしていなければ、1本の木として計測してOK)。そのため、現在この木を管理している方のお父さんが「夫婦カヤ」と名付け、手作りの標柱も立ててあります。
ちなみにこの木の下にはこの家で代々祀ってきた「十人塚(伊達家に追われた10人兄弟が祖先におり、その生き残りの1人が供養で作った塚)」があるとのことです。
目通り周 5m
サイカチは本来当地方には自生しない木です。しかし、かつてこの地方を治めていた葛西氏が豊臣秀吉によって滅ぼされた時、家臣などが離散しながらも「カサイカチ」と再興を祈り、屋敷の門口にサイカチの木を植えたとされており、樹齢300年を超えるサイカチの木が市内に10本程あるそうです。
この天神角のサイカチは市の指定天然記念物に指定されており、指定当時の幹周は7.9m。この太さは樹種別に見ると全国1位の可能性がありました。ところが!今回調査に行ってみると、木が割れて3分の1程が倒れていたのです(写真左下)。それでも全国トップ20位圏内。大事にしたいものです。