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7(idea2019年7月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「市内で一番太い木」を探すというミッションに対し、木(樹)とは「単純な太さで比較できるような存在ではない」という気づきを得たことから、種類別に全国比較をしたり、単純な太さ比べでは見えてこなかった「実はすごい木(貴重な木)」を探してきました(3回シリーズの最終回)。
※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。多少の誤差や調査漏れ、順位の変動等はお許しください。
「市内で一番太い木」を特集しようと調査を開始するも、いざ調査結果を並べてみた時に、種類を無視したランキングの「ナンセンスさ」と、「木」を「木」というカテゴリーで一括りにしてはいけないということに気づいた私たち。
5月号でひとまず種類を無視した単純な市内の巨樹ランキングをご紹介(下記表)した上で、前号(6月号)では「種類を無視した単純な太さでは市内でのランクは低くても、種類別に見ると全国に誇れる太さ」という巨樹たちをご紹介し、それぞれの種類の持つ特性を加味して考えることがいかに大事かをお伝えしました。
3回シリーズの最終回となる今回は、もはや「巨樹探訪」というミッションから逸脱し、「太くはないが貴重な木」をご紹介!
というのも、ここまでの調査で「単純な太さだけを追っていくと、樹齢を重ねても太くならない木を見落とす」ことや、「木の特性を考えると、太くなくても一関にあるという存在自体が珍しい木がある」ということなどが分かってきたからです。
また、調査の過程では、見に行った木が朽ちていたり、すでに切られていた、という切ない結果が少なからずあり、「木を管理する」ことの難しさを痛感。そこで、勝手ながら木を管理されている方を「樹守(きもり)」と命名し、尊敬の念も込めてご紹介させていただきます。
※5月号・6月号掲載の表を組み替えたものですが、今月ピックアップした木の中にランキング入りする巨樹(門崎のアズマヒガン、藤沢のモミ)があったため、9位以下が最新情報に更新されています。
場所:川崎町薄衣字柏木
樹齢約600年とされ、典型的な傘型をしたこの松は、「薄衣の笠マツ」として県の天然記念物に指定されています。アカマツは長寿で知られますが、近年は松くい虫等の被害により、長寿だった松が枯れてしまったという事例が少なからずあるようです。薄衣の笠マツも3本の巨木があったところ、最も太かった木はすでに伐採されてしまっています。伊達政宗がその美しさに見惚れたという言い伝えも残っている貴重な松です。
場所:花泉町日形字上通
シダレグリは青森県から岡山県に及ぶ中でわずか22か所でしか生存が確認されておらず(平成16年当時)、県内では5か所あるうち、日形のシダレグリが老木かつ最大級であることから平成16年に花泉町の天然記念物として指定されました。その昔この地に宿泊した法師がお礼として置いて行った実を植えたところ、シダレグリになったという話があるそうですが、残念ながら、この木になった実からは芽が出ないのだそうです。
場所:藤沢町藤沢
岩手県はモミの木の天然分布の北限地帯であり、その中でもこのモミの木は指折りの老大木といわれています。藤沢病院裏側の森の中にある愛宕神社への参道を進んでいくとあちこちにモミの大木が見えてきますが、その中でもひときわ大きなモミの木を発見。地上1.5m程のところから幹が4本に分かれており、幼時に寒害か雪害を受けた後にも成長し続けた結果ではないかという説もあるようです。目通り周は5.4mでした。
場所:室根町津谷川大森
岩手では方言で「もだ」等と呼ばれているシナノキ。シナノキ自体は県内にも広く分布していますが、巨樹化しているものは少ないそうで、この津谷川のシナノキは県内3位ではないかともいわれています。「八人ばらし」と呼ばれる巨石を目指して大森山を登り、そこからさらに尾根を目指して登った先に大きく樹冠を広げたこの木が待っています。樹齢約400年とされ、根元部には大きな石(岩)を抱え込んでいました。
場所:川崎町薄衣字矢作館
目通り周87㎝と巨樹とはいえないこの木。ただ、アカガシの天然分布の北限は宮城県中部までとされており、主な分布域も東海以西・四国・九州であることから、このアカガシは最北の可能性があるという面で貴重な存在なのです。かつて県会議長や川崎村の村長を務めた故・髙橋國治さん宅(現在の所有者はお孫さん)の敷地内にあるこの木。すぐ横には若いアカガシの木もあり、自然に増えていっている様子が見られました。
場所:川崎町門崎
目通り周6.8mと県内最大級の(3位以内)アズマヒガン(=エドヒガン)。根本には「おふねさま」という神様の祠が3つあり、紙で作った舟を中に入れ「病気など悪いことが外にいきますように」と祈りを込めて参拝していたこともあるそうです。幹中央に見える色の明るい部分はケヤキの木で、その成長でアズマヒガンが弱ってきたため、20年程前にケヤキの根本は切られています。樹齢は450年程とみられています。
エゴノキの突然変異(節ごとに折れ曲がる枝と八重咲の花が通常のエゴノキにはない特徴)によって発生したもので、大学の研究により新変種と認められた世界的にも珍しい木。昭和51年に県指定記念物に指定されています。初代の木は現所有者宅近くの森林で発見され、自宅庭に移植されましたが、昭和47年に枯れてしまいました。現有木は初代のヒコバエ(切り株から出た芽)で宅地内に設けられたフェンスの中で管理されています(個人宅内のため見学は所有者に要相談)。