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(idea2019年9月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
昨年から続いている人気の(?)『巨石』シリーズ第4段!読者の方から「大東町興田地区に『立石』という巨石がある」という情報をいただき、いざ現地調査へ!
同地域は、周辺にゴロゴロとした大きな石が転がっているのをよく見かけますが、比較にならないほど大きな石が蓬菜山にあるということで、今回も体を張って調べてきました!
※記載内容はあくまでもセンター独自調査の結果です。多少の誤差や調査漏れ、順位の変動等はお許しください。
『立石』について情報提供をいただいた背景には、興田地区振興会の教育文化部会が作成した「興田まっぷ~神社・仏閣・史跡編~」が大きく関わっています。
昔は小学校の授業などで地元の文化財等に触れる機会が多かったそうですが、最近は昔に比べてその機会が少なくなり、また、地域の方から「興田の良さが知られていない」という意見が寄せられたこともきっかけに、興田の文化財等を紹介するマップを作成することに。
部会員が、マップに載せる文化財等を全て現地調査したところ、〝鳥海三名石〟の1つ、『立石』が圧巻の大きさだったため、当センターが発表した「巨石ランキングトップ10(平成31年1月号掲載)の順位を塗り替えるのでは!?」と、期待を込めて情報提供してくださいました。
名石と言われている立石の調査にご協力いただいたのは、西丑石行政区区長 武田文一さん、丑石自治会会長 佐藤真由美さん、興田地区振興会事務局 千田秀明さんの3人です。調査前に「立石までの道のりはとても険しく、熊などの野生動物が暮らす道を通るので1人で行くのはとても危険」というお話を伺い、思わず不安に襲われましたが、それ以上にどんな巨石が私達を待っているのか・・・高鳴る気持ちを抑え、突撃調査してきました!
山登りを始めて40分程・・・ついに立石が姿を現しました。立石を見た瞬間、あまりの大きさと存在感に圧倒され、私達スタッフは息を呑みます。そして驚いたのが、ほぼ垂直な平面。「何か鋭い道具で割ったのでは!?」と思うほど、キレイに整っています。同行者の3人によると、「人の力で石を割ったような痕跡はなく、雨風などによって削られたのではないか」と考えられているそうですが、本当の成因は謎に包まれたままとのこと。また、立石の傍らには石が積まれ、何かを書いたような跡がある木片が立っていますが、こちらは「立石は昔、神仏か何かを祀っていた可能性があるかもしれない」と話しながらも、本当の理由は謎のままということでした。聞けば聞くほど、謎が深まる「立石」に心が惹かれていきます
冒頭に、立石は〝鳥海三名石〟の1つとお伝えしましたが、「残り2つの名石は一体何?」と気になっている方もいるかと思いますので、ここでご紹介します。
鳥海三名石については、興田に古くから伝わる『鳥海風土記』(明治5年)、仙台藩の『封内風土記』(明和9年)に記述が残されています。1つ目の名石「鬼石」は、田原峠近くの尾根の上、標高約630mの所に石群があり、それが鬼の角のように見えるため鬼石といわれています。2つ目の名石「牛石」は、正法寺(奥州市水沢)の和尚が畑にあった巨石が牛が寝ている形に見えたので牛石と名付けたようです。そして、3つ目の名石が今回調査をした謎多き「立石」です。特に由来等はないようですが、大きくたたずむ姿から「立石」となったのではないかといわれています。
今年3月に、“鳥海三名石”がインターネットサイト『日本の奇岩百景+』(※1)に県内で初めて登録され、全国的にも有名となりましたが、同行者の3人曰く「立石は『鳥海風土記』(明治5年)の時代から計測をしていない」とのこと。こんな話を聞いたら計測しないわけにはいきません!早速、同行者の皆さんのサポートのもと、計測を行いました。(※2)
鳥海風土記の記述では「高三丈壱尺(約9m)、廻六丈三尺(約19m)」とされていますが、今回の計測結果は・・・高さ9m、廻り29.7mでした!
鳥海風土記の「廻約19m」に対して10m以上も記録に差があった理由については、「当時の計測部分と今回の計測部分が違う場所なのでは?」という予想が出ましたが…真相は謎のままです。
※1:全国各地にある奇岩や奇怪な名称の岩石などを選定し、掲載しているサイト
※2:計測は許可のもと行いました。無断で石に登る行為はお止めください
今回の調査により、「巨石ランキングトップ10」(2018年「idea12月号」掲載)を更新!
「立石」は室根の「屏風石」と同率第4位に順位付けさせていただきます。
※巨石の「高さ」をランキングで表しています。
※同所に複数の石がある場合、最も高いものを掲載しています。