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 idea3月号でご紹介した「センターの独自調査!方言特集①」はいかがだったでしょうか。今回は、紙面に掲載しきれなかった調査の結果をこぼれ話としてご紹介したいと思います。

 調査の対象は、各市民センターを中心に地域の方々質問①については139人から、質問②・③については127人、質問④については122人の方々から回答をいただきました。

 調査では、各地域担当スタッフが下記の資料を持ち歩き「あなたの地域では、方言でなんと呼んでいますか?」と4つの質問をしました。

質問① 路面がツルツルに凍っている状態

◆こちらの結果は、idea3月号の紙面でご紹介した通り、ダントツに多い回答が“たっぺ

しかも、この調査をきっかけに「たっぺ」の認知境界線(旧西磐井郡が認知率「7%、旧東磐井郡が認知86%)や、認知度が高かった旧東磐井郡では年齢が高いほど認知度率が高いということが判明したのです。(60代以上認知率100%)

 

さて、ここからは質問②と③の結果、そして紙面でも紹介していた標語(調査の質問④)の解説についてご紹介いたします。

 

 

質問② 屋根などから垂れ下がっている氷柱

※質問②の回答者数(調査対象者数)は旧西磐井郡50人、旧東磐井郡が77人合計127人

 

◆約半数以上の方が”たろひ・たろし”と回答しました。古くは全国的に「たるひ(垂氷)」と言っていたそうですが、なぜか東北地方の方言として「たろひ」に変換され残っている言葉だそうです。“たろし”の「し」は“たろひ”の「ひ」がさらに訛った形で、意味合いは同じ。発音は「シ」ではなく「スイ」。「イ」の音は短い。

◆たろひ認知率(「たろし」も含む、たろひと回答した人の割合)旧東磐井郡で63.6%(77人中49人)に対し、旧西磐井郡では28.0%(50人中14人)と、こちらの結果も“たっぺ”程ではありませんが、ある程度東西で境界があるのかなと予想。

 

◆1人の方が「すご」と回答。「すご」の「ご」は鼻から抜けるような発音とのこと。ちなみに千厩地方の方言※1だと「すご」は「俵」のことを表すそうです。ちなみに氷を表す方言に「すが」とありました。

やはり60代以上の方々93.8%とすごい認知率です!

 

続いては・・・・

 

 

質問③ 泥が跳ね返り靴やズボンにつくこと

※質問③の回答者数も(調査対象者数)は旧西磐井郡50人、旧東磐井郡が77人合計127人

 

◆泥が跳ね返り靴やズボンにつくことは、方言で「すっぱね(あげる)」と言います。「きゃっぽり」と回答する方が一関、花泉地域に多かったのですが、それは「靴に水がはいる」ときに使う方言のようで、そのことを旧東磐井郡では「たごつった」と言います。

◆すっぱね認知率は、旧東磐井郡で66.2%(77人中51人)に対し、旧西磐井郡では38.0%(50人中19人)と、こちらの結果も質問②と同様の結果に。しかし、20代~30代の若者はあまり知らないようですね。

◆その他は「はねた、ぐじゃぐじゃ」という回答でした。

40代、50代もけっこう認知率ありますね~

 

最後の質問が・・・

 

 

質問④ きゃあどさではっと おっかねぇごどあっとおもって   よっぽどきいつけなはりゃせ

 

この標語の意味が何だか分かりますか?

※質問②の回答者数(調査対象者数)は旧西磐井郡45人、旧東磐井郡が77人合計122人

 

◆紙面でもご紹介した通り、この意味は「道路(街道)に出ると 危ないことがあると思って よほど(かなり)気を付けてくださいね」です。43%の方は、標語の真ん中以降を基に「道路に出たら危ないから・・・・」と回答してくださいました。が、やはり「きゃあど」という言葉が分からないと回答する方が多く全文正解は少なめでした。

 

◆「きゃあど」は「街道=かいどう」の訛り。文章として表すと難しいです。回答者の中には「角」「門口」「今日は」と解釈する方もいましたし、「全く分からない」と答えた人も多かったです。また、「きゃあど」ではなく、「きゃど、“あ”はいれない」という意見や「きやぁど、”や”が重要」というご意見も。さらには、「「きゃあど」は舗装されていない細い道に使うんだよ」と教えてくださった方もいらっしゃいました。

 

 

全文正解は半分にも至らず・・・「きゃあど」が難しい・・・

以上、「idea3月号センターの○○ センターの独自調査!方言編①」の調査結果でした!!今回、地域の言葉“方言”を調査してみて改めて「方言って面白いなぁ」と感じました。実は・・・idea4月号も方言編②として10代の若者に「普段使っている方言はなんですか?」と質問しています。結果はぜひ紙面でお楽しみください。

 

最後に、今回方言を調査するにあたり様々な資料をお借りしたり、いただいたりしました。特に私たちスタッフのバイブルとなったのが、菅原幹郎さんの(2011)『千厩地方の方言となまり~方言は地域住民の温かい道具~』でした。「明治の初め頃までは、役人、医者、和尚などの特別な人を除いた一般の人たちは、読み書きを習う機会がなく、日常の暮らしの中から生まれた言葉が、伝承により次世代へ引き継がれてきた」というところに私は強く感銘を受けました。 

 実はこの本を菅原さんのご自宅から頂きました。残念ながら著者の菅原幹朗さんは、4年前にお亡くなりになったということでしたが、菅原さんの息子さんに事情をお話すると快く「使ってください」と譲っていただいたのです。これから私たちが引き継いでいくものの中に、“方言”という地域の言葉もあればいいな。残してきたいなと心から思いました。

 

さて、この菅原幹朗さんは平成10年に「馬物語(と千厩の方言)」という本も出版されています。菅原さんは生前、馬を飼って山仕事をなさっていたということで、大変千厩地域の歴史にも詳しいようです。

 この菅原さんが寄贈された馬にかんする資料等が、千厩酒のくら交流施設内にある「せんまや馬事資料館」にあるそうです。千厩は歴史上古くから馬との関わりが強い地域。菅原さんの息子さんも「地域にある資料館をぜひ多くの方に知ってもらい、見に来てもらいたい」と語っていました。

 方言特集の調査を進めているうちに、温かくそして素敵な出会いができました。

 

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