(idea 2016年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
※お願い※
記事内の写真や資料は、当情報誌での使用について許可をいただいて掲載しております。
無断での転載などの二次利用はご遠慮ください。
対談者・聞き手 ほかの地域から一関市に引っ越されてきた方々
「ヨソモノさんいらっしゃい」は、転勤や就職、結婚、UIターンなどにより一関住民となった市・県外移住者=「ヨソモノさん」に、一関市で暮らし始めてから皆さんが感じたことや悩み、思いなどをお互いに発散し共感し合うことで、新規ネットワークや仲間づくり、この体験を通してこれからの暮らしがより暮らしやすいものになればという思いで初めて開催させていただきました。このワークショップには、北海道から九州までの各地から転入してきた方々16名にご参加いただきました。
アイスブレイクではバースディサークルを行いました
テーマは「ここが好きだよ一関」「ここが変だよ一関」「ヨソ自慢」の3つです。最初に自己紹介を交えたアイスブレイクを行い、3つのグループに分かれてのワールドカフェ形式でワークショップを行いました。以下、「ここが好きだよ一関」と「ここが変だよ一関」で出されたご意見を抜粋してご紹介します。
●食べ物
「『がんづき』や『はっと』など、郷土料理が地域に残っている」「ごますり団子、亀の子せんべい、大福屋さんのお団子をお土産に買っていくと必ず喜ばれる」「もちタレの種類が豊富、じゅうねやクルミが好き。もちが美味しい」「北海道にはない『加熱用マグロ』がある」「山口県では食べられなかったホッケやニシンなどの魚が食べられる」「気仙沼でとれた新鮮な魚が食べられる」「ご近所さんから熊の肉やアユの差し入れがもらえる」「干し柿など季節ごとに色々な物がつくれる」
●施設・建物
「産直に置いている物が安いし美味しくて大好き」「空き家物件が多く、しかも家・庭が広くて豊かな自然に囲まれているところが多い。昭和30年代の頃の家もあり、それが今に残っているのは貴重。宝の山に見える」「温泉が多く身近に感じる。気軽に利用できる」「最近はまちなかにカフェが増え、ペットショップがオープンするなど色々な建物が建っている」「地域のラジオ(FMあすも)があり、地域の情報がすぐに聞ける」
●暮らし
「人口密度が低いので、交通渋滞がなくてスイスイ運転できる、お店に並ばなくてよい、暮らしの中で静かな時間をもてる」「まち中が整備されている」
●環境・風景
「イグネ(屋敷林)の景色が大好き。見ると『一関に帰ってきたな』と思える」「一関の田舎の風景が好き。外国人を案内したことがあるが、田畑の風景に感動していた」「ほんにょ(刈り取った稲束を乾燥させるための棒掛け)の形が地域によって違う。「ねじりほんにょ」はつくるのに技術がいると思う。他の地域の人から見ると珍しいのでこれで人寄せができるのでは」「田んぼの中に人の営みが見える」「美しい棚田がある」「野生の動物や生き物が身近で見られる」「虫が少なくてよい。大分県では体長10センチのゴキブリが生息している」「家の庭から星の観察ができる」「気軽に登れる山がある」
●人
「昔からの文化(食文化、行事など)を大切にしている人が多い」「よそのお家におじゃますると、出される食事の量が多く“おもてなし”の心を感じる」「飲食店で『少な目で』と注文しても普通~多めの量で出される」「お家に長居してもイヤそうな顔をしない。おじゃましている間はお茶やお菓子をローテーションでずっと出してくれる」「怒りっぽい人が少なく心が温かい」「忘れ物、落とし物が戻ってくる」「人に相談(頼みごと・お願いごと)するとすぐ引き受けてくれる」
●交通
「仙台と一関を往復する高速バスがある。値段が安くて運行本数も多い」「東京までバス一本で行ける」「新幹線が通っている駅がある」
●文化
「各地域にそれぞれのイベントがあり、それを盛り上げようとする元気な人が多い」「『馬っこ』『お茶っこ』『お湯っこ』など、語尾に“こ”を付ける方言がかわいい」「同じ内容の会話でも、訛りや方言が入ると優しく聞こえる」
●食べ物
「やたらと餅が出てくる」「食べきれないくらいの量で出てくる」「一関の団子には餅粉が入っていて粘り気のある触感。一般的な団子と違う」「平らなフォルム(糸きり団子)」
●施設・建物
「英語表記の看板が少ない。駅前で外国人観光客が呆然と立ちすくんでいる姿を見かける」「観光協会の場所がわかりにくい」「よくある商業施設はあるが、専門的・個性的なものが少ない。水沢、仙台、もしくはAmazonでとなるので地域にお金が落ちない」「博物館が少なすぎ」「まちなかに駐車場がない。このご時世駐車場がないとどうにもならない」
●文化・習慣
「小さい単位のお祭りがありすぎ。前に住んでいた地域では民区単位の運動会がなかった。お母さんたちが忙しそう」「やたらとお茶っこを勧められる」「お茶っこと言っても出てくるのはコーヒーだったり緑茶だったり」「たばこ=休憩するという意味で使われていること」「『いづい』がヨソでは通じない」「忌引きの拘束期間が長い。隣組制度による相互お手伝いの関係が永遠に続く。どこかで見直して簡潔な関係にしてもよいのでは」「指定された時刻に行くとすでに活動が終わっていたことがあった。本当の集合時間は何時だったのか」
●人・地域性・感覚
「ヨソモノさんに対しウェルカムじゃない」「地域の中でグループががっちり固まっているのでドアをノックしにくい(ハードルが高く感じられる)」「逆にその活動の中に入ったら入ったで、どっぷり引き込まれて抜けにくい。人付き合いに『サラッと感』がほしい」「若者の暮らしやすさがない」「若者を育てるシステムがない」「『すぐそこ』が全然すぐじゃない。何km離れていても『すぐ』という認識」」「保守的な人が多い。『あれやりたい』『これやりたい』という人がもっといてもいい」
●交通・交通マナー・通勤
「まっすぐ行けばいいのにドラゴンレールが迂回しすぎ」「終電が早すぎて『飲まないで帰ります』」「公立の学校なのに公共交通機関では辿り着けない」「始発に乗らないと学校に間に合わない(遅刻する)」「川崎は門崎にしか止まらない」
●サービスなど
「農家民泊体験なのに農家との交流がなかった」「家を借りられなかった。働いていない高齢者には不動産屋はアパートでも貸さない」「農家の敷地が広すぎて、使えなくなった農機具や機械をその辺に放置している」
皆さんの意見でいっぱいになった模造紙
話し合いでは他の方の意見に「うんうん」とうなづいたり、笑い声が何度も会場に響く楽しいワークショップとなりました。今回の話し合いでの気づきや発見をこれからの地域づくりにも生かしていければと感じております。