(idea 2016年3月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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・対談者 一般社団法人 一関市体育協会 会 長 佐山(さやま) 昭(しょう)助(すけ)さん
・ 同 事務局長 佐藤(さとう) 甲子夫(きねお)さん
・聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺 浩樹
【小野寺】佐山さんは一関市体育協会(以下、体協)の会長としてご経験が長いようですが、合併後の組織体制や業務など詳しくお聞かせください。
【佐山】平成19年、旧藤沢町を除く7つの体育協会が統合し一般社団法人一関市体育協会が発足したわけですが、もともと私は旧大東町の体育協会会長をしていたので、平成17年の市合併以降から体協統合に向けた準備会に携わってきました。組織内容を決めるのに、丸2年かかったわけです。なぜなら、旧一関市は昭和56年から法人化していましたし、各旧町村の場合は教育委員会が事務局を担っているなど温度差があったからです。さらに、各市町村・各地域なりの特色があるので、それを活かしたり残したりする工夫が必要でした。合併して10年経ちますが、地域の特色を生かすことは今でも我々の基本としていることです。
【小野寺】なるほど、十分な協議の上で合併がなされたのですね。現在の施設管理や職員についてはどのような規模なのでしょうか?
【佐山】現在ユードームを含めて58施設の指定管理を受けています。正職員は16人、嘱託職員が27人でパートタイマーを含めて100人以上を雇用しています。
【小野寺】各地域にあるスポーツ施設の指定管理では、職員数のバラつきもあるような気がしますが。
【佐山】施設長を含めて二人体制のところもあります。施設長は地域間で兼務している所もあるので、それは解消しなければと考えています。限られた人数の中で組織しているからこそ、施設管理業務と事業業務を円滑に遂行できる機能的な組織体制を事務局長と検討しているところです。組織としては、各スポーツ少年団が139団体、地区体育協会が39団体、競技協会が31団体です。
【小野寺】体協の日常業務で主となる部分は?
【佐山】市民が生涯スポーツで健康に暮らすことが我々の目的としているところですから、各年齢層が興味をもって運動等に関わってもらえるよう普及活動を常にしています。特に“いちのせき体操”は小さな子どもからご高齢の方まで参加できるようバージョンを分けておりますし、指導員の養成にも力を入れています。施設については利用者が快適な環境で利用してもらえるよう安心安全な施設運営を徹底していますし、各係長や施設長の他、地域担当者などで構成する連絡調整会議で現状や課題の共有も行っています。各種目については、競技協会が自主的事業を行い、我々はその共催や後援という形でサポートしています。
【小野寺】“一体感の醸成”というのが合併時の特徴だと思うんですが、体協としての“一体感の醸成”とはどのようにとらえていますか。
【佐山】競技協会や地域の強化と考えています。強化を図るためには、自分から行事があれば足を運び、実際に競技を見て役員の方々と話し合いをすることですね。事業費がもっと多くあれば地域の強化や職員を多くおくことが可能ですけれども、課題と紙一重になりますが、「最小の経費で最大の効果を生む」このことが大事なことです。
【小野寺】一関市も合併してから、どうしても本部に集中しがちで、地域が弱いというところがあるなと感じますが、その地域の強化というのが“お金がなくとも強化できる仕組み”が必要なんだなと感じています。やっぱり体協もそこが課題なのですね。
【佐山】市合併後、一関市には地域のスポーツ団体を束ねる組織がないから、一関市にもそれがあれば良いと感じますね。“市民体育大会”は、一関地域以外はその地域の組織が主催となって運営していますが、一関は本部主催。私が思うにはやはり別なんじゃないかなと思う。一関にもその地域の長がいて、他の地域と同じように行事開催することが望ましいと感じるのです。
【小野寺】確かに、本部機能と現場をみる地域の機能とは全然違いますからね。では、「地域ごとの特色を」と言ったときに、「この地域にはこのスポーツ」というのはあるんですか?
【佐山】スポーツ振興に関わる特色は各地域に任せています。いままでの歴史伝統を踏まえて各地域が自主的に計画を立てています。
【佐藤】本部の自主事業としては、中東北の関係で栗原市、登米市、一関市でのスポーツ大会で交流を図ろうと計画中です。
【小野寺】最後になりますが、これから体協としてどんな地域づくりをしていきたいですか?
【佐山】市長が進めている協働のまちづくりについて、まず我々も理解し、職員自らの意識改革が必要になってくると思います。体協の職員は若い人たちが多いから、その発想を取り入れ、地域と一体になってやるために「どうしたらいいか」をみんなで考えていきたいと思っています。行政ができないことを我々がやるのですから、「行政と同じでは体協はいらない」とならぬように。まず、新しい発想が必要。合併して10年ですから、平成28年度は“新しいスタートの年”にしたいと思い、各団体と絶えず連携を取りながら地域づくりにも参画していきたいと思います。センターさんでは各地域を回って多くの住民の話を聞ける体制が整っているので、さまざまな意見がでることでしょう。ぜひ地域で出た意見等を共有して頂きたい。
【小野寺】もちろんです。繋いでいきたいと思います。
大きい体協の夢としては、「一関市からオリンピック選手を」だと思いますが、オリンピック選手一人出すにしても、その地域で環境が整ってないと人材を育成できないという事ですよね。そういえば、事務局長がFMあすもで情報発信を広く行っていますね。
【佐山】メディアの活用も、「体協はこういうところだよ」というのを分かってもらうための一つの手段。まずは体協を理解してもらわなければならないから。
【佐藤】体協というのは、組織が大きくなればなるほど市民から離れていってしまう。下に来れば来るほど地域に密着するから、なるべく密着する機会を多くしなければと感じています。
【小野寺】10年一区切りといいますから、“体協のスタート”を楽しみにしています。地域協働体が立ち上がり、体育とか運動、健康面は体協との連携が不可欠ですから。体協も地域づくりの一緒の仲間ですからね。
【一般社団法人 一関市体育協会】
会 長 佐山 昭助さん
〒021-0131 一関市狐禅寺字石ノ瀬25-3
(一関市総合体育館内)
電話 0191-31-3111 FAX 0191-23-2108