(idea 2014年10月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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対談者 一関青年会議所 理事長 千葉 智充さん
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹
【小野寺】一関青年会議所[通称JC(junior chamber)]は、次の世代を担う20歳から40歳の青年層が、まちづくりに関する事業を通じてお互いに成長し合う活動をされていると思います。まずは、JCさんが行っている普段の活動についてからお聞きしていきたいと思います。
【千葉】JCは、基本「人のために活動するのが人生の喜び」だと考えています。まちづくりと、まちづくりを通しての自己研鑽、それを一緒に歩む仲間と友情を育むことを経験し、将来リーダーとなる人をつくる団体です。誰にでもリーダーになりえるチャンスはあるでしょうし、役どころが人を育てます。それをいくらかでもここで経験してもらう。私は先輩から、「JCは失敗してもいい組織」とよく聞いていました。「正解だけが答えではない」と。
一関JCが50周年を迎えた時の緑川理事長は、「ここに入る前は、まちのことを考えることがなかった」と話していました。私自身も、JCに入ったことが地域のことを考えるきっかけになり、これからも地域を知っていけたらと思っています。最初は、地域にはこんなにたくさんの祭りがあることも、一関の「時の太鼓」のことも、蘭学者の「建部清庵」のこともわかりませんでした。これらのことを初めて知った時は驚きましたね。
それから、活動していて一関のことを知るうちに、「自分が住んでいる川崎のことを知らない」ということにも気付いたんです。
【小野寺】合併で広くなった一関を全部理解しようとしても、実際は難しいですよね。そもそもは、住んでいる地域やまちのことを知っているようで知らないのがほとんどで、誰しも最初からまちづくりをするのではなく、何かしらきっかけがあるんだと思いますし、千葉さんにとっては、JCがそのきっかけだったのだと思います。
【千葉】こうしてみると、自分のまちを考えて活動したり、つくっていける人が増えていけば、自然とまちが築かれていくのだと感じました。一関には、まちづくりに取り組むNPOや団体がたくさんあり、何とかしよう、楽しくしようとしている人達がたくさんいますからね。これらの人たちが一堂に会して、何かしようとしたらすごいことができると思うんです。その時は、誰がリーダーシップを発揮するのか?と考えたら、相当難しいですけどね(笑)
【小野寺】たしかに。まちづくりに携わっている団体さんや人を一堂に会すのは難しいですね(笑)
でも、「自分のまちのことを考えて活動できる人がいる」という所が、まちづくりの一番大事なところかなと感じます。やはり、まちづくりってまちにいる一人ひとりが「やりたい」という思いとか、まちに積極的に出てくるという姿勢をもたないと続かないんじゃないかと思います。引っ張る人がいる時はいいですが、引っ張る人がいなくなったときに空中分解してしまうという事例を見て思っていて、「一人ひとりがまちづくりできる人になること」が大事だと思います。
【千葉】私がまだ役職を持っていない頃に、「一関青年会議所です」と挨拶しても、あまり話をしてもらえなかったりしたこともありました。大東の水かけ祭りや一関の夏祭りに連続して参加しても、なかなか認知が広がらず、悩んだこともありましたね。
その中で、対外的に一番認めてもらいやすかったのは青少年事業でした。去年行った姫神山の登山はしんどかったけど、参加者の方から「すごくよかった」と言ってもらえて。少しずつ口コミで「一関青年会議所の青少年事業がいいよ」と広まってきている。
【小野寺】そうですね、まちづくりは理解されてなんぼだと思います。人をつくる、人を育てつつ、なぜ?に理解されないと合意形成ができないので、理解されるということが大事だと思います。
僕達が行っている地域の会議では、地域の方々に理解していただき合意形成をとるために、何度も話し合いを重ねます。それを「また会議か」と、煩わしく感じる人が多いと思います。でも、会議がたとえ1年続いたとしても、合意形成がしっかりできていれば、2年目以降の進みが早いんです。話し合いに時間をかけることは、会社で働きまちづくりをしている人からすれば「そうじゃないだろう」と、もどかしさを感じるかもしれませんけれども。
【小野寺】千葉さんから見て、JCの課題とは何でしょうか?よく単年度というのは聞きますが…。
【千葉】単年度制に関する課題としては、責任を持続させるのが大変だということ。実施した事業が失敗して課題が見つかっても、翌年には役職が変わり、その課題に取り組めなくなってしまうことがあります。でも、責任の期間が明確になっていることはモチベーションの維持になると思っています。一長一短ですね。
それから、JCの活動費は、会費や補助金から賄わなければならないので、運営の苦しさはあります。でも、助成金をとるために事業計画を立てたり、プレゼンしたりするのは育成の場になりますね。
【小野寺】皆さんは、本業が忙しい中でJCの事業を行っていますよね。本業の仕事よりも事業のボリュームの方が多くて、仕事そっちのけで事務所に来たりとか…。
【千葉】一番の課題はそれですね。家庭と仕事。今は昔のように、お金持ちで時間にゆとりがあるわけではなく、会員が直接プレイヤーになるということが多いです。活動に割く時間はものすごくあるので、家庭と仕事のバランスのとり方は注意しなければなりません。活動に没頭しすぎて家庭を疎かにし、家庭を壊したなんてことになったら、本末転倒ですから。
逆にJCのよい所は、お互いに深く知り合えるというところだと思います。深い信頼関係を築けるということは強みですね。
【小野寺】JCさんでは、本来の企業活動とまちづくりをするという両輪をもっているのが、すごいと思います。JCさんの経営者目線で行うまちづくりは、私達には真似したくても出来ません。経営感覚がキラリと光るまちづくりですよね。
今回の対談を振り返り、誰でもリーダーになれるチャンスがあり、それを経験できるのがJCだということ。自分で自分のまちを考えて活動する人が一人でも増えていけばいいなと思います。でも、まちづくりに没頭しすぎて本業の仕事や家庭を壊さないようにということは、これからまちづくりを始める方々に対して、よいメッセージになると思います。
【一関青年会議所】
住所:〒029-0803
一関市大町4-29 なのはなプラザ4F
TEL :0191-23-8639 FAX 0191-23-6451
FB:一関青年会議所
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