(idea 2017年1月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。

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おいまつ柿で地域を元気に

対談者 老松柿援隊 組合長 小野寺 義成 さん、事務局 小野寺 英雄 さん

聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺浩樹

昔の「おいまつ柿」を復活!きっかけは地域の方の声

【小野寺】「おいまつ柿」を作り販売する活動を行っている老松柿援隊さんですが、活動を始めた経緯やきっかけ、どんな思いがあって活動しているのかをお聞きしていきたいと思います。まず、活動を始めたのはいつ頃からですか?

 

【義成さん平成19年からですが、本格的に商品化に取り組み始めたのは今から5年前です。それまでは主に研修を行っていました。

 

【小野寺】なぜ老松で干し柿だったんですか? 

(左)組合長 小野寺 義成 さん (右)事務局 小野寺 英雄 さん

 

 【義成さん】昔の人たちは自分達で作ったおいまつ柿を北海道に出荷していたんですよ。しかし、その時に米の値段が上がって開田ブームになり、「米を作ろう!」と畑にあった柿の木を伐採してしまったんです。でも柿の木を全て切ってしまったわけではなく、今でも藪などに結構残っているんです。

 おいまつ柿は無農薬・自然乾燥で作るので、体に害のない健康食品なんですよね。地域にある休耕田を何かに活用させたいという想いもあり、私たちの先輩たちが昔作っていた柿を復活させようと思ったんです。

 

【小野寺】休ませている土地があるなら、おいまつ柿を復活させよう!と始めたんですね。

実際に、活動を始めるきっかけになるような出来事はあったんですか?

 

【義成さん】私はもともと産直に野菜を出していましたが、ある時試しに生柿を出してみたんです。すると好評を頂きたくさんの生柿が売れました。そのうちにお客さんから「干し柿はないの?」という声をもらったので、せっかくだからやってみようかなと。

事務所の庭に干されている1万個の柿 

 

【英雄さん】去年は1万4千個の柿を作ったんですが、天候が悪かったために商品にできたのは4千個でした。今ではおかげ様で県外からも毎年注文を受けるくらい人気を頂いてますので、注文を断るのに大変だったんですよ。

 

【小野寺】注文を受ける喜びはあっても、断る喜びはありませんからね。地域の産業を掘り起こし、始めるにあたって、収量が保てるほどだったのですか?

 

【英雄さん】実際に柿を育て始めてからは、平成23年に受託した市の地域おこし事業を使って接ぎ木をしたり肥料をまいたり、農業改良普及センターさんから剪定指導を受けたりして、今はだいぶ立派になりました。25アールの土地を借りて、130本くらいの柿の木を育てています。借りている場所は、昔、葉たばこを育てていた畑なので栄養のある土だし、傾斜地なので日当たりがよく水はけもいいんですよ。

 

【義成さん】古い木が残っていても思うように実をつけない木もあって、新しく接ぎ木をしてね。おいまつ柿は、長柿を使うのだけど、長柿以外の柿も入っているから、だんだんと品種も統一していかないといけません。

 残っていた柿の木は育ちすぎて背丈が高くてね。一番困るのは収穫です。傷をつけないよう、うっかり実を地面に落とさないよう丁寧に取らなければなりませんから、高いと作業が大変なので、段地に植栽することにしたんです。

課題は人手不足の解消と加工商品の研究

【小野寺】実際に活動していて一番苦労したことは何でしたか?

 

【義成さん】柿は地域の方から頂きましたが、それを干す場所がないことに困りましたね。最終的には旧JA老松支店の建物をお借りし、それから活動が本格的になりました。

 

【英雄さん】柿をもぐにしても、皮を剥くにしても結構労働力が要るんですよね。

作業は柿援隊の会員24名で行っています

 

【小野寺】今は1万個作っているということですが、数を増やそうと思えば増やせるんですか?木になっているのはたくさんあるけど、収穫作業に限界があって取り残しているというような話をよそでは聞きますが。

 

【義成さん】増やせますが、そのためには人手が足りないんですよね。期間内に工程をこなすために、その時期だけお手伝いして頂ける方がほしいですね。

 

【英雄さん】あとは、その期間内に収穫できなかったものや傷がついてしまったもの、そういうものは加工して別のかたちの商品にできないか研究しています。干し柿は秋冬限定ですが、通年で売れるような商品の開発に取り組んでいます。

周辺で起きた干し柿づくりの動き

【小野寺】実際に「おいまつ柿」を売り始めて、皆さんの反応はどうでしたか?

 

【義成さん】最初、近隣からは「本当に売れるのがや」と言われましたね。でも実際に商品が売れ始めると、辺りでも真似し始めてね(笑)ほったらかしにしていた柿の木の実を干し柿にして贈り物にし始めたり、今まで柿頂いていた家でも「私の家でも干し柿を作ってみるかな」なんて言われたりしてね。

 

【小野寺】それはすごいですね!前まではやっていなかったのに、おいまつ柿の人気が出始めてからそういう動きがでてきたんですね。

 

【義成さんそれに、地元の中でも「おいまつ柿」を買って贈り物にする方が増えてきていますよ。東京の方からは「お茶会のお菓子にいいね」と言われました。

 

【小野寺】おいまつ柿を作っていくことによって、地域の人たちもおいまつ柿の価値に気づいていったんですね。

箱詰めされた「おいまつ柿」12月15日から販売が開始されています

 

 

【小野寺】英雄さんは事務局を担当されてから、ここ3年間で大きな変化は感じられましたか?

 

【英雄さん】テレビや新聞など報道機関の方にはたくさん取材に来て頂いておりますので、これは簡単には辞められないなと思っています(笑)

 

【小野寺】マスコミの注目度もかなり高いんですね。

 

【義成さん】まず、私たちの会は儲けるためではなく少しでも地域が活性化すればという想いでやってますから。収入は自の小遣いくらいにしてね。皆で集まって和気あいあいと話したり、情報交換するのがよいところなんです。

 

【英雄さん】女性の方がおにぎりやお味噌汁を作ってくれて、それを皆でご馳走になったりもするんです。

 

【義成さん】もう少し活動が軌道に乗って機械化ができれば、若い人も活動に混ざってくれるようになるかなと期待して皆で頑張っていますよ。

 

基本情報

【老松柿援隊】

住所:一関市花泉町老松  

電話:090-2606-8808(小野寺英雄さん)

 

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