(idea 2015年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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対談者 (一般社団法人)一関観光協会 会長 岩井 確司 さん
聞き手 いちのせき市民活動センター センター長 小野寺 浩樹
【小野寺】岩井さんは、一関観光協会のほか、全国地ビールフェスティバル実行委員会、一関・平泉バルーンフェスティバル実行委員会の会長、そして厳美渓レストハウス、いつくしだんごの館のオーナーとして日々忙しい中ですが時間を取っていただきました。さて、一関観光協会の視点から、現在の一関の観光と地域の関係をどう捉えていますか?
【岩井】一関市は12万5千の人口を抱え、温泉地・景勝地や飲食店など観光の資源はたくさんそろっています。それを考えると、もっといろいろな分野の方が観光協会の会員として入って頂いても良いのかと思います。市民全体で一関市を盛り上げる感じです。私は現場の人間で、お客さんに団子を提供しています。観光客が来て「どこか団子を食べる所はありませんか」と聞かれた時に、まちじゅうの方が「あそこはこんな団子がありますよ」と教えてくれる。それがおもてなしにつながると思います。また、「どちらからいらっしゃいましたか」と声をかけ、「倉敷からです」「そこは私も何年か前に行ってきました」と会話ができる。そんな観光地になっていければと思っています。
【小野寺】先日ある会合で、副市長さんが「世間話のできるまちを目指したい」と言っていました。まちなかですれ違った方と「団子はどこがいいですか」「私はあそこがお勧めです」と話ができる人が一人でも増えるのはいいですね。
【岩井】市内にもガイドの会があり、専門的に案内をされていますが、専門家でない一市民がちょっとした案内ができるまちが必要だろうと思います。都会の雑踏の中で人が無言で通り過ぎる時間でなく、田舎に来ればこんなゆったりと過ごせる時間もあるんだなぁと感じてもらえる。時間の流れの違いを感じ取れるまちでありたいと思います。
【小野寺】一関に来て時間の流れ、季節の移り変わりの違いを楽しんでもらえる、そんなまちになってほしいですね。
【岩井】海外に行きましたが、ハワイで過ごすまったりした感覚、パリで雲の流れを見て何百年も前の絵と同じだと感動する気持ちになります。それとおなじように。さらに一住民がおもてなしできるようになれば黙っていてもまちなかのゴミを拾ってくれるまちになるのではないでしょうか。
【小野寺】MICE(マイス)という考え方があるとおっしゃっていますが。
【岩井】最近の観光業界の動きはMICE抜きに語れません。Mは各種の会議(Meeting)、Iは研修や招待報奨などの旅行(Incentive Travel)、Cは国際会議(Convention)、Eは展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとってあり、それらが結びつくことで多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントです。
【小野寺】観光業者だけが頑張るのではなく、観光の現場の周辺にいる人たち、自治体、企業などが関わってやることが大切ですね。今進めている地域づくりと同じ構図だと思います。区長さんや一部の人だけが頑張るのではなく、取り巻く様々な人や組織が一緒に取り組むことが必要ですね。これまでの物見遊山から着地型の転換が背景にありますよね。
【岩井】着地型というより目的を求める。私の中では受動的なものでなく能動的なものと考えています。今回の旅行では何を求めるか、Mはミーティングだが会議プラス何か。会議で一関に来たら○○しようとか食べようとか、今日はたまたまバルーンフェスティバルの日だから見に行こうかとか。そういう付加価値というかプラスの部分がある旅行を考える。観光協会は旅行業の免許を取っているので、将来的にはそこまで持っていきたいと考えています。
【小野寺】現在、私たちも平泉観光客を広域に広げることやリピーター増を目的とした広域観光推進ワークショップに3年関わり、新たな視点で検討しています。観光協会が旅行業を活かして取り組むことに期待しています。
【岩井】例えば、地ビールフェスタに来た方々を温泉・平泉・沿岸に運ぶアイディアもあります。そのための宿泊先もこちらで確保する。旅行目的だけでなくそれに合わせていろんなことをすれば旅行の質が高まるので、来てよかったなと思ってもらえるかと思います。
【小野寺】今は付加価値を求める時代なので、観光でただ物を見るだけでなく、物はついでに見る、何を食べるか、体験するかが大切ですね。
【岩井】今年の冬にはしご酒大会がありました。一過性ではなく定番でやることで地域貢献度が高くなるだろうと考えています。
【岩井】今年の一関・平泉バルーンフェスティバル2015は、国内最高峰の熱気球の大会・ホンダグランプリ3戦目に組み込まれることになりました。昨年までは約15機でしたが、今年は25機飛ぶ予定です。ホンダグランプリは一番少ない大会でも6万人の動員数があります。一関では昨年は2日間開催で天気も悪かったため、2万の人出でした。今回は3日間の大会なので人出はもっと増えるだろうと思っています。平泉観光のついでにお越しになる方もいるだろうし、イベントの目的の大きな柱に震災復興もあるので沿岸地区に足を延ばしてもらえる機会を考えていかなければと思います。
【小野寺】バルーンフェスティバルは切り口としては大きいですが、市民レベルの動きもありますね。千厩のひな祭りや大原の水かけ祭りなどを盛り上げようという取り組み。
【岩井】地域資源を活かすために旅行業を活かして内部的に、市内の伝統行事やイベントにも、食事や泊まりや体験なども加えてこの地域を楽しんで頂けることを検討しています。
【小野寺】一関観光協会さんが果たす役割は大きいものだと思います。これからの抱負をお聞かせください。
【岩井】全国に観光協会はありますが、最近の潮流としては自治体などの補助金を当て込むのではなく、自前でいろいろな事業を行い、かつ独自の色彩を発信していくことになっています。新たな発想が出来る職員が増えれば組織内も違ってくるでしょう。職員のモチベーションを上げていきたいと思います。また、一関市は観光地としての条件はそろっています。しかし道具はあるが横のつながりが弱いと光輝かないので、もっと横の連携を強化していきたいと思います。
私のこだわりですが、日本各地に地酒や地ビールがあります。地産地消や地産外商が叫ばれていますが、
地方の「地」ですが、自分の「自」の「自産」があっても良いのではないかと思います。こだわりを持って多くの光り輝くものを発信していきたいと思います。
【一般社団法人一関観光協会】
住所 〒021-0867 一関市駅前1番地
TEL&FAX 0191-23-0066