(idea 2016年8月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
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対談者・聞き手 各地域の自治会長さん・民区長さん・役員の方々
今回は6月に開催した「自治会長サミット」の開催報告とあわせ、ご参加いただいた自治会長さんたちが話した二言三言についてご紹介いたします。
自治会長サミットは、旧市町村の枠を超えて自治会長さんや民区長さんの交流の場をつくろうと初めて企画させていただいたたもので、自治会活動の自慢や取り組み事例の紹介、悩みや困りごとを発散して、その中から今後の地域づくりのヒントを持ち帰っていただくという目的で開催しました。サミットは6月17日(金)~18日(土)の2日間で、市内各地域から31名の方にご参加いただきました。
サミットの前半は、いちのせき市民活動センター長の小野寺浩樹より「協働のまちづくりにおける自治会長のポジション」と題し、協働のまちづくりが制定された背景を将来の人口予測や地域の課題から解説し、協働体設立後の推進体制や事業推進の考え方について話題提供。持続可能な地域であるために今は仕組みを再構築する転換期であり、地域住民に地域づくりへの興味関心を持たせ役割分担をしていくことが大切とまとめました。
一関市社会福祉協議会の菅原敏さんからは「まちづくりと地域福祉」を題に、まちづくりと地域福祉の考え方について講話をいただきました。福祉とは「幸せ」や「豊かさ」を意味し、考え方はまちづくりと同じく、地域で互いに存在を認知し役割や生きがいを持つことが豊かな生活を送ることであり、足りないところは互いに補完し合う「自立するための支援」が大切との話がありました。住民同士の”つながり”を意識することで“気になる”が生まれ、それが「支え合い」や「見守り」になるというところでは、参加者の方々はそれぞれ頷き共感している様子が伺え自治会長として支援の本質を深く考えさせられるお話となりました。
後半は、ご参加いただいた自治会長さん・民区長さんや役員の方々でワークショップを行いました。テーブルではできるだけ同じ地域の方で固まらないようグループ分けし、「自治会活動の自慢や取り組み事例」と「自治会活動の悩み・困りごと」の2つのテーマで自由に発言していただきました。以下、ワークショップで出されたご意見を紹介いたします。
【自治会活動の自慢や取り組み事例】
●運営に関すること
「定期的に各部の事業見直しを行っている」「役員改選では組閣型(トップを先に決め、その人が役員を次々指名する方法)を取り入れたら改選時間を短くスムーズに行えるようになった」「役職は人の目を気にしてもちたがらないため、役割を持たせることを大事にしている」「自治会と民生委員が連携し高齢者の把握と連絡網をつくった」「自治会独自の自治会憲章をもっている」「清掃や草刈り活動に参加できない方から、気持ちとして少額のお金を集めそれを自治会活動費に充てている」「地域の中で何か一芸に秀でた方や技術を持っている方を講師にしている。(剪定作業の講習会→実地作業→花壇づくり等といった流れ)事業に伴い作業も皆で楽しむことで参加率が上がっている」「空き地を利用して『畑の会』という集いの場をつくっている」「今年で28回目になる『森は海の恋人植樹祭』は行政の力を借りず自治会で運営しているが、中山間事業など収入に結びつくものは何にでも食らいつくようにして『お金づくり』を大切にしている」。
行事のマンネリ化に対して、「スポーツ大会を競技性を薄くしたレクリエーション大会に変更した」「実施時間を短くした」「自治会単独でできないものは、協議会単位で運営するようにした」。
●地域コミュニケーションに関すること
「回覧板に書き物を添え呼びかけを頑張っている」「自治会報は写真を多く載せ、行事の予定や振り返りを楽しめるようにしている」「写真を活動アルバムにしたり、集会所に掲示したりしている。そうすると記録を残すことで引き継ぎがしやすくなる」。
●若者の参加に関すること
「自治会に独身者を含めた40歳以下で構成する『未来部』を置き、夏祭りを任せた。若手リーダーが育ち3年かけて活発に動けるようになった」「自治会敬老会で小学生にも役割(受付・誘導など)を持たせたことで、子どもの参加者が増えた」「隣・近所の民区と合同で子ども神輿を復活させた」「子供会育成会に自治会から補助を出している」「年8回『わんぱくひろば』(ハイキング・キャンプ等)を実施している」「土曜の夜に卓球大会を企画してみた。活動が軌道にのるまではお世話し、後は自由にやらせたい」「盆踊りを大幅にパワーアップさせた。トラックの舞台、スリッパ飛ばしなどの呼び水になるものを工夫し、世代間交流に繋げている」。
【自治会活動の悩み・困りごと】
●運営に関すること
「後継者や役の成り手不足」「活動のマンネリ化」「自治会長・民区長の仕事が多すぎる」「少子高齢化により地域行事の運営が難しくなってきている」「住民同士の絆の薄れ」「さまざまな課題に対して、地域ではなく行政がやるものという意識からの脱却」「子どもが少ない上スポ少でとられる」「PTAなどの若者世代との関係構築が難しい」「女性の参加が少ない」「ゴミ出しマナーが悪く、自治会長が仕分けし直している」。
ワークショップで使用した模造紙は7枚にもなりました
●協働のまちづくりに関すること
「役員の合意形成ができていない」「活動や話し合いの結果が地域に降りておらず、一住民まで情報が届いていない」「組織の動かし方がわからない」「話し合いの場において、自治会長・民区長の立場で発言するべきところを個人の意見で発言する人がいる」。
ワークショップでは、皆さん熱心に意見・情報交換をしていただきました。それぞれ皆さんの地域に持ち帰り活動に役立てていただければ幸いです。今後も自治会長さん・民区長さん、役員の方の意見・情報交換する場をもちたいと考え、第2回目の開催を検討しています。