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(idea 平成26年4月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
代表者: 棚橋 とき子さん
住所:〒029‐0803
一関市千厩町千厩字町12 スカイビル1F
TEL&Fax:0191‐48‐3113
開業:平成22年12月12日
地元母ちゃんたちの愛情弁当を笑顔でお届け
平成22年12月から、いちのせき元気な地域づくり事業「新規店舗開店等支援事業」を活用し、一関市千厩町本町の空き店舗にオープンしている、「お弁当のまんまや」。スタッフは、地元に住む40代から50代の主婦の方10名で、今日も笑顔で愛情弁当を作りお届けしています。
しかし、スタッフの笑顔の裏には、さまざまな背景がありました。
平成21年の年末、一関市千厩町のソニー製造子会社「ソニーイーエムシーエス千厩テック」の閉鎖により、「県外への配置転換か退職か」と選択を迫られ、家庭を優先し退職を希望した地元の母ちゃんたち。「これから、どうしていけばいいのだろう」と不安を抱え、希望を失いかけていたころ、奥玉公民館を会場に、同社退職者の集まりを兼ねた「エンパワーメント講座」が開かれました。もともと同じ社内でも、部署が異なり交流が少なかったメンバーでしたが、情報交換を中心に地域活動や福祉ボランティアなどの講演の拝聴、視察研修などを通し、「この仲間で新しい仕事にチャレンジしたい」という気持ちが芽生えてきました。
開業のきっかけとなったのは、同講座の中で、女性の起業を学び視察研修に参加したことでした。
山形県酒田市の地元食材を使用し、手作り弁当を販売している農家主婦グループと出会い、「その活動に衝撃を受けた」と語る、まんまや販売促進マネージャーの千葉さん。「視察中、先輩女性の『要はやる気だよ!まだまだ若いんだから、絶対できる!』という言葉が印象的で、不安が希望へと変わり『前向きに挑戦しよう』と背中をグッとおされた気がしたのよ。」と当時を振り返ります。
研修後は、主婦として料理の経験を活かし、【地域の美味しいお米、季節野菜などたくさんの食材】に注目。また、【高齢化が進み独居老人が増えている】という地域の状況に気づき、高齢化社会に対応した「宅配弁当のお店」の立ち上げに絞り込み、勉強を重ね、スタッフの半数がホームヘルパーの資格を取得しました。
地元米と地元野菜を活かした「家庭の味」にこだわりを持っている「お弁当のまんまや」は、高齢者用に薄味で食べやすい大きさのお弁当を作るのはもちろんのこと、地域内外の企業、団体へボリュームのあるお弁当も製造、販売、宅配しています。
開店後は、市内でも珍しがられ取材が殺到。軌道に乗り始めたその矢先、東日本大震災が発生しスタッフも大混乱となりました。停電や断水の中「食材はある」「今立ち上がらなくてどうする」という思いから、手元にある食材を工夫し、お弁当づくりを再開。被災者や被災地へ向かうボランティア団体への宅配弁当を続けました。スタッフは不眠不休で疲労もピークでしたが、「困った時はお互い様」の近助精神を奮い立たせ、震災後は地域内の自治会と一緒に沿岸部へボランティアに向かい、豚汁などのお振舞を行い、地域を通り越し、人と人とのつながりも大切にしています。
店内には交流の場として飲食コーナーも併設。「私たちは、経営もお弁当作りも素人だから人一倍勉強しないと」と語り、「3年間の経験を基にこれからも進化を続けていきたい」と力強い今後の抱負を語る千葉さんの姿に、地域という大きな家庭の母として温かいまなざしが感じられる取材となりました。