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東山町松川出身の初代(現店主の祖父)が、大正時代に地元松川村(当時)産の里芋を摺沢村内(当時)で販売し始めたことをきっかけに、戦前から酒類の販売許可も取得し、個人商店として展開。昭和50年頃に、2代目(現店主の父)が取扱商品を充実させ、コンビニエンスストア(小規模の小売店)化。昭和59年に2代目の急逝により現店主(3代目)が店舗経営を引継ぐと、手作り惣菜を充実させ、店舗運営のほか、町内の施設等や一般宅に食材の配達も行う。
店名の「パサージュ」はフランス語で道と道を結ぶ「通り抜け」を意味しており、3代目が命名。
(idea 2024年2月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
大東町摺沢の「四つ角商店街」を通過する際、信号停止線横にある「手書きの看板」に見入ってしまった経験がある人は少なくないはず。「地域の台所」として愛される「パサージュ松川屋」3代目店主の鈴木公夫さんが約10年程前から手書きしているものです。店内では、酒類、食品、鮮魚、精肉、旬野菜や果物、手作り惣菜、日用品等を取り扱っており、特に妻・紀恵子さんが作る出来立ての惣菜が人気なのだとか。
「大東バイパスができ、スーパーなどが立ち並ぶと、昔からの商店街はだいぶお客さんが少なくなりましたね。うちは、家内が作る惣菜が人気で、煮物もすごく美味しいんですよ。お客様からリクエストがあった惣菜を作ることもあります」と語る鈴木さん。同店の強みは「新鮮なものを新鮮なうちにお客様に提供すること」だと続けます。
お得意さまの好きな食材を把握しており、「『活きが良い○○が入ったよ』と入荷の連絡をすると、待ってましたと言わんばかりに、晩酌の『あて』を購入しに来る男性客も多い」のだとか。イカを仕入れると店内で塩辛にして販売することも。
そんな鮮魚や惣菜等の目玉商品を販売する日に活躍するのが、入り口の立て看板。「地域の小さな商店だから、多くの人に情報発信をする手段を使わなくても、伝わる人に伝えたい」という思いから、時にユーモラスな表現も交えながら、アナログな「お知らせ」を続けています。
店舗経営において鈴木さんが何より大切にしているのがお客様とのコミュニケーション。103歳になるおばあさんや、押し車を押しながら歩いてくる90代後半のおばあさんなど、高齢の常連客(ご近所さん)もいます。店内の一角には休憩スペースとして反射式ストーブとイスが置かれ、冬は購入した商品(お酒やコーヒーなど)を温めて飲むことも可能。
「夏は、ここでビールも飲みますよ。それが楽しみで来店するおじいさんもいます。私も人と話すことが大好きなので、配達がない日は一緒に飲むこともあるんです」と笑う鈴木さん。「夫婦二人での経営ですから、店番に配達に慌ただしいですが、お客さんと話語りをしながら、『この食材はこうして食べるといいよ』『今必要なものはない?』など、会話を通して出来るだけ寄り添った対応をしたい」と続けます。
取材日は「えびす講」の準備に追われていた同店。「えびす講の時には『どんこ』を仕入れ、みそ焼きにして販売している。今年もすでに20匹ほど予約注文が来ている」と、立て看板も「どんこ」のお知らせに。
同店には後継者がいませんが、「コンビニエンスストアとは謳ってはいるが、実際には小さな商店であり、お客様が喜ぶ商品を通して、地域の方々と会話しながら夫婦二人三脚で頑張っていきたい」と語る鈴木さん。今日の目玉商品は何なのか、信号待ちが楽しみです。
大の相撲好きで錦木のファンである店主の鈴木公夫さん。
大人気の手作り惣菜。
当初は店主の一言日記だった看板。大相撲が始まると錦木の情報を掲示することも!
DATA
〒029-0523
一関市大東町摺沢字但馬崎15−1
TEL 0191-75-2437