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平成10年4月に開所した「マルキの家」は、地域のお母さん方の声から生まれた託児所(児童福祉法第59条の2届出施設マルキの家ニコニコ託児室)と学童クラブ(一関市委託放課後児童健全育成事業所マルキの家学童クラブ)の運営を行う施設です。平成27年からは一関市の認可を受け、小規模保育園「丸喜の家にこにこ保育園」の運営も開始し、0歳児から小学児童までを対象とした施設になりました。施設管理者で同園の園長を務める千葉真美子さんは、これまで仕事として保育現場に携わる経験はなかったものの、各事業機能の必要性と向き合い、地域で安心して子育てができる環境づくりに努めています。
(idea 2019年12月号掲載)※掲載当時と現在では情報が変わっている可能性があります。
「嫁ぎ先の花泉町でさまざまな人と出会い、ともに育児を語り楽しんだ仲間に感謝」と語るのは「マルキの家」を運営し「小規模保育園 丸喜の家にこにこ保育園」の園長でもある千葉真美子さんです。託児所と学童クラブの運営が軌道に乗り、自身の子育ても落ち着いたと同時に、保育士を目指すため短期大学へ入学。保育士の資格を取得しました。
千葉さんは夫の転勤で子育てを仙台市でスタートさせ、平成9年に夫の地元花泉町へ。自身の地元ではないため、幼子2人を抱えて新たな地での子育てに不安を抱えていたところ、子育てサークル「どんぐりの会(現在活動休止中)」と出会います。
「当時は30数名の親子が参加し、月ごとの行事をみんなで考え、年度末には記念誌を作成するほど活動が盛んだった」と振り返り、「週一回の活動では物足りなく、毎日時間が空いたときに自由に遊べる場所、急でも託児をしてもらえる場所があったらいいのにね」などとよく語り合っていたのだとか。ちょうどその頃町内に子育て支援センターが併設された新たなこども園が建設されていたものの、千葉さんたちのニーズとは少し違うものであったことから、「この地域で子育てをするうえで、どんな機能を持った場所が必要か」を改めて話し合い、「ないなら自分たちで作ろう」と、平成10年、どんぐりの会の有志メンバーで託児所※と学童クラブを立ち上げたのです。
※国が定めた児童福祉施設最低基準に沿った保育所には該当しない、認可外保育所。保育施設を開設・運営するには一定数以上の保育士の資格保持者が必要。
「マルキの家」という施設内で3つの事業を展開する同園ですが、平成27年に認可の小規模保育園を開所する際、これまでの「託児所」を存続するか悩んだと言います。「保育園は所得によって利用料が定められているため、託児所よりも保育料が安く済みます。半面、入園までに時間がかかり、様々な手続きも必要です。託児所は園長との契約なので手続きも簡潔で、親御さんの通院などの急用時や里帰り出産の保育にも対応できます。そのため親御さんから強い存続希望があり、継続することにしました」と振り返る千葉さん。
学童クラブについては「平成10年頃は、家に祖父母が居る家庭がまだ多く、放課後の児童の居場所づくりが必要との声はごく少数でした。学童クラブの立ち上げには当時の花泉町も消極的だったのを覚えています。しかし、少ない声だからこそ地域の課題を見過ごすことはできませんでした」と続けます。
現在の学童クラブ利用人数は50人。「時代は変わるものですね。あの時課題にしっかり向き合えてよかった。子育て環境の充実や子どもたちの居場所づくりは体制が整ってきました。これからは地元での出生率が上がることを期待し、出会いの場創出のお手伝いができるといいな」と次の目標に向けての意欲も語ってくださいました。
園長の千葉真美子さん。今年5月には、AED講習を受け、AED設置事業所として認定されました。
街のほぼ中心と利便性の高い場所に広い園庭と施設があります。
保育園の朝の一コマ。学童を利用する児童とも交流しています。
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